告白
カフェでの仕事に慣れた灯は、保護猫のボランティアをはじめ、うちにもハチワレの猫を連れてきた。二人で考えた猫の名前は「ハチ」だった。私たちは案外単純だった。
灯の佐藤さんへの思いは日ごとに強くなり、本当に食事がのどを通らなくなってきた。立派な恋煩いだ。週に5日も佐藤さんに会うのはつらいと言ってついにはカフェを辞めてしまった。そして絵子と一緒に客としてカフェに通った。
そしてある日、灯はその熱い思いを綴った手紙を佐藤に渡した。佐藤は黙って受け取った。店を出て灯は「僕は一億人から佐藤さんを見つけたよ」と悲しげに歌った。『私はその人を事故で亡くしたんだよ。』と
灯にLINEした。二人は黙って家まで帰った。
夜、悲しんでばかりはいられなくて絵子はマーボ豆腐を作った。灯はまだ自分の部屋から出てこない。
絵子ははふはふとマーボ豆腐を食べた。人間食べないとやってられない。これが恋人の死を半年悲しんだ結論だ。
灯ははじめから佐藤とは結ばれないとわかっているのだ。だからカフェを辞めた。
人生は頑張れは上手くいくわけではない。船のように進む人生には様々な障害物があり下手をすると命を落とす。そして絵子と灯の絆はさらに強くなった。