続・GB
幾多の冒険の末、ようやく君は、この本(迷宮)の前へと辿り着いた。乱雑に転がる数多の人骨が、更なる危険を君に告げている。しかし君には、女神リーブラの守護がある。祈りを済ませたなら、さあ、その頁をめくりたまえ!【1】へ
【1】
目の前にタイムマシンが在る。この場に居るのは、今の所君一人だ。ブーンという音が響き渡り、この機械が作動中だという事も分かる。さてこの場面、君はどうする?
〔とりあえず乗り込んでみるなら【15】へ.暫く様子を見ようと云うなら【33】へ〕
【2】
君の悩める表情を読み取り、ロビンソンたちクルーは、敢えて事情を聴こうとはしなかった。しかし君が船の行き先を尋ねると、幾つかの外国の港に混じって、懐かしい名前も挙げられる。まさに渡りに船と、君は日本までの乗船を頼み込む。さて・・・
月の明るい凪の夜、船首に立って水面を眺めていると、どこからか美しい人魚が現れて、君に『オイデ、オイデ』と手招きをする。果たして君は・・・
〔無視して船室に戻るなら【8】へ.危険を承知で海へダイブするなら【29】へ〕
【3】
扉が閉まり、すぐに軽い眩暈を覚える。やがて機械の音が止み、君の目に未来の光景が飛び込んで来る。サルの軍隊に駆逐される人間達。既にタイムマシンの動力は落ちている。君はハラを決め、少ない知恵で、この世界で生きて行こうと決意する・・・【end】
【4】
「幸とは追ふもの、掴むに非ズ・・・」暗闇に消えて行く二人と一羽を見送る君の背後で、気障な台詞を吐くは、太宰治である。弟子を従え、これからドコかに出掛ける様子。何とはなしに不安を感じた君は、とりあえず声を掛けてみる事にする・・・
〔「戦の混乱・・・そんな刹那で、ようやくにして自我の化け物から解放された皮肉、更にその舞台が、束の間でしか無いと知り得る焦燥・・・先生の心中、察して余りあります」【16】へ.「一人で行くべきだ、いつもいつも、人を、巻き込むのは、君、卑怯だ!」【31】へ〕
【5】
祭壇に横たわる君を目指して、怪しい影が忍び寄る。君はローブの下に隠し持った短剣を握り締め、その瞬間に、意識を集中してゆく。が・・・突然、ゲドの呪文の奇跡を見るよう、影が揺らめき崩折れる。そして次の瞬間、ウツボは三枚にオロされている。見るとその上で、三つの人影も揺れている。君は・・・
〔ワンピースを知っているなら【19】へ.マンガなど子供の読物、と思っているなら【27】へ〕
【6】
箱を脱いだ途端に、君は何者かに頭を殴られ、その場にグッタリ倒れてしまう。と同時に、目の前の両親の体が裂けて、気味の悪い巨大な昆虫が現れる。
「ハヤクソノダンボールヲシマツシロ.コレダケガワレワレノ.ヒミツノジャクテンナノダカラナ!」 ああ…君はヤツラに勝つ、唯一のチャンスを失ってしまったのだ・・・【end】
【7】
君が『過去』のボタンを押すと同時に、入り口の扉がゆっくりと閉まり始める。君はそれを見て、戻れぬ旅になる事を覚悟する。不意に、狭い室内に、金属的なアナウンスが響き渡り、君は思わずギョッとする。
〔「イキタイノハ.ショウガクセイ?」【28】へ.「ソレトモ.チューボー?」【13】へ〕
【8】
心地よい船上の眠りを破るのは、乗組員達の阿鼻叫喚だ。「ダメだ、穴がデカ過ぎる、直に沈むぞっ!」 その『直に』は、ホントにすぐにやって来た。哀れ波間に溺るる君を、遠く冷たく見つめる影は・・・そう、例え人あれ人魚あれ、女を怒らすモンじゃない!【end】
【9】
青い鳥を手にしたままの君の体に、やがて変化が現れる。君の体が見る間に縮み始め、代わって鳥が、グングン大きくなってゆく。やがて鳥は、チルチルミチルの弟の姿となり、子供たちは大喜びの再会を果たす。一方の君は、頼り無くも小さな、鳥になっている・・・今や、世界一有名なお尋ね者たる君は、残りの生涯を、逃亡に捧げる事となってしまった!【end】
【10】
泣いて命乞いを始める君を見て、死神の形相が険しくなってゆく。
「つまらん奴め! 同じひきこもりでも、田中慎弥の奴とは大違いじゃわい!」 そして煙草に火を点けた不思議な人差指を、今度は君の鼻先へと突き付ける・・・ああ、マサにガスだね!【end】
【11】
別の公園で、君は偶然、チルチルとミチルに出くわす。キョロキョロしながら、やはり青い鳥を探しているようだ。不意に、頭の上に何かが乗ったのを感じた君は、それを手にしてアッと驚く、青い鳥だ! 君は迷わず、幼い兄妹を呼び、鳥を手渡そうとするのだが・・・何故か二人は、鳥を逃がして下さいと、泣き出しそうな懇願を始める。さて・・・
〔そうするなら【4】へ.このまま捕まえて置くなら【9】へ〕
【12】
君は兼ねてよりファンであったニコロビンの隣に座り、「ルフィの為に、君の能力を使って、シャンクスの手を再生してやってくれ!」と頼んでみる。「上手く行くかは分からないけど・・・いいわよ、試してあげるわ」 その返事に気を良くした君は、反対隣に座るウソップが差し出す果実を、ロクに確かめもせずに口にしてしまう。悪魔の実だ。それは『トリトリの実』で、小鳥に変身する力が在るという。
〔いっそ海賊団の一員になるなら【26】へ.そろそろロビンソンの船に戻るなら【18】へ〕
【13】
気が付いた君は、教室に居る。どうやらテストの時間の様だ。目の前の用紙には、頭痛を促す難解な方程式が並んでいる。加えて、君の学力は40才の侭なのだ。仕方が無い・・・君は自らの手で、『受験』と云う地獄に、再度舞い戻ってしまったのだ・・・【end】
【14】
何日眠りこけていたのだろう? 気が付いたらそうゆう話はすっかり出来上がっていて、「コンニチワ♪」って、鳥篭の向こうから云われて、も一度、気を~失って~♪ 気が付いたら貴方の軒先に、雨宿り~♪【happy-end!】
【15】
狭い室内に、人気は無い。見た事もないパネルが並んで、光がチカチカと明滅している。しかしその中に、見慣れた文字のボタンを見つける。
〔『過去』のボタンを押すなら【7】へ.『未来』のボタンを押すなら【3】へ〕
【16】
「人が・・・人が、その真なる慎みを発揮出来るのが、そんな非常時下だけなどは、何とも皮肉なものです。私にとっては、日々の暮らしこそが戦争でした。ただの・・・人間になる為だけの、戦争です。無論・・・勝ち目など有りません。その場凌ぎの冷や汗まみれ、道化た日々の連続なのです。しかし、長引きましたね、せめて幕引きくらいは、意志で決めたくも思うのですよ」 君は別れ際に、『走れメロス』が教科書に採用された事を告げるのだが、返った答えは…「アレは・・・私の、たった一つの、嘘でした」
〔【24】へ〕
【17】
さて、奇妙な格好で帰宅した君を見て、当然の様に両親が激怒する。
「箱に入っていいのは、娘だけだ!」と・・・が、冗談はさて置き、この侭行けば、勘当は避けられまい。さて・・・
〔説得に応じ、箱を脱ぐなら【6】へ.思い切って家出をするなら【20】へ〕
【18】
君は無事、ロビンソンの船で日本へと戻って来る。がしかし、相次ぐ事件の連続に、流石の君も参った様だ。下宿へと戻り、もう暫くは無用の冒険が訪れぬ様、扉の鍵を二重に締めて、布団の中で丸くなる、そして、夢の中、夢の中へと・・・
〔【14】へ〕
【19】
君は三人に助けてもらった礼を云い、今回の経緯を話すのだが、彼等は食材を探しに来ただけで、礼など云われる覚えは無いと云う。
「だいたいコイツが食い過ぎナンだよ!×2」二人に同時に小突かれた麦わらの少年が、照れたような笑いをこぼす。その気持ちの良さに、君は彼等を宮殿へと招く事にする。人魚達はこの国を救った英雄達を称え、船に残った皆も呼び寄せ、やがて・・・盛大な宴が始まったのである。
〔【12】へ〕
【20】
アテの無い君は、フラフラと夜の公園へと辿り着く。とりあえずベンチに腰を下ろし、ダンボールの小さな穴越し、苦労しながら煙草をくわえる。すると不意に、闇の中から指が現れ、ライターも使わずに、煙草の先端に火を灯す。
「どうも・・・」と振り返る君の目の前に、死神が立っている。さあ!
〔煙草を勧めるなら【23】へ.命乞いをするなら【10】へ〕
【21】
小さくなってゆく船に背を向けた君は、ロビンソンの元住居を探すべく、内陸へと足を向ける。しかし数歩と行かぬ内に、逞しく日焼けした海賊共に見つかり、哀れ、残酷な最期を迎える事となる。首が未だ胴につながっている最後の瞬間、君は泣きながらこう思う――(ああ、悩みなんて、どいつもこいつもチッポケなモンだ! 生きているから、悩む事も出来たのに・・・!?)
ハイ! 気付くの、遅すぎ~っ!!【end】
【22】
宴も終わり、君とプリンセスの二人は、深海の夜景を望むテラスに立っている。夜光性の深海魚たちが織り成す幻想的な踊りに、君はしばし言葉も失う。さて、そろそろ彼女に優しい言葉の一つも掛ける頃合、と振り返れば、うつむき震える小さな肩が・・・瞬間君は、無性に己に腹が立つ。偶然とは云え、男を必要としている場面に出食わし、君はコソコソ逃げ出そうとしていたのだから・・・
君は自身の頬を打ち、意を固めると、自然に沸き出す勇気にほころび、「だいじょうぶだから」と、驚き恥じろう、プリンセスを抱き寄せる
〔【5】へ〕
【23】
煙草を断った死神は、愉快そうに云う、「健康に悪い」そして問う、「お前、ワシが恐くないのか?」君が答える、「人間にとっての恐怖が、その侭私にも通用するなど、世捨てた箱男を、ナメて貰っては困る!」
〔更に説教をするなら【30】へ.何をしているのか聞くなら【25】へ〕
【24】
太宰と別れ、改めて自意識の深淵を知ってしまった君は、急に自分の存在自体を恥ずかしく思うようになってしまう。同時に、人々の日々の暮らしが、甲斐無き積木にも思われて、世界が暗転するのも覚うる。目を閉じ、(こんな世の中、無くなっちまえ!)と嘘ぶき、再度目を開くと・・・君は無人島の砂浜に立っている。
〔今まさに出航しようとしている、ロビンソンの船に同乗させて貰うなら【2】へ.天の配剤、この島で一人、第二のロビンソン・クルーソーになろうと思うなら【21】へ〕
【25】
君の問いに、「仕事だよ」と死神は答える。そして公園脇の車道にユラユラ歩き出すと、急ブレーキの大きな音が響き渡り、続いて何台もの車が爆発炎上し始める。辺りを恐ろしい悲鳴が支配し、その炎の中心で、逃げ惑う魂を狙って、死神が忙しそうに鎌を振っている姿が見える。君は己と人間の無力さに涙し、箱を残してその場を立ち去る。
〔【11】へ〕
【26】
グランドラインに出た君は、己の甘さを痛感する事となる。冒険とは、見た目華やかその実が、想像を絶する苦難の連続でしか無い。波乱の人生は、他人事を本で読むからこそ楽しいのだ、と痛感する君である。ある夜君は、タフな仲間に別れも告げずに、とりあえずはと船から逃げ出す。しかし、右も左も分からぬ小鳥に過酷な、海は情けも容赦も知ラズニ・・・魚の腹に納まる最期も、君が望んだ『冒険』なのだ!【end】
【27】
怪物を倒す者は又、怪物なり・・・咄嗟の判断でそう決め付けた君は、心細い剣を頼りに、三人の元へと突っ込んで行く。
「ゴムゴムの~!」それが・・・君が最後に聞いた言葉となる。三日三晩寝込んだ君は、ロビンソンの船が去った事、プリンセスが海賊達と一緒に冒険に出掛けてしまった事、故にもう誰も、君を地上へ戻す手助けは出来ない事等々・・・まとめて聞かされ、すぐに再び寝込んでしまう。君は一人、うわ事の様に繰り返す―― ああ、いっそ私は、貝になりたい・・・ 【end】
【28】
不意にタイムマシンはダンボールへと変身し、君は一転、『箱男』となってしまう。不思議に思いながらも君は、暫くはこの移動式の簡易住居に興味を覚え、近くを歩き回ってみる事にする
〔やがてコレを脱ぐなら【32】へ.暫く続けてみようと思うなら【17】へ〕
【29】
人魚に手を引かれ、君は水中の宮殿へとやって来る。豪勢なもてなしを受けながら、彼女がプリンセスだと知らされる。しかし君は、人々の表情がヤケに暗い事にも気付く。付き人に訳を尋ねると、王姫は明日、海神の生贄に召されると云う。そいつの姿形を尋ねれば、船をも食らう、大ウツボとの事。君は・・・?
〔プリンセスの身代わりになる気なら【5】へ.相手が悪い・・・せめて慰めの言葉を掛けようと思うなら【22】へ〕
【30】
「確かに人間、死ぬのは怖い。しかし誰あれ人は、時期が満ちては何れも死ぬのだ。どころか昨今は、人が人として生き難い世の中、命を盾に惑わす貴様のやり口など、時代錯誤もいいとこだ!」
己の弁論に酔った君は、死神がかざす鎌にさえ気付かない。
「なれば、早めるのも又、ワシの一存!」
その一閃で、ダンボールの外皮は敢えなく吹き飛び、寒さと恐怖で、君はようやく我へと返る。
〔【10】へ〕
【31】
云った直後、君は太宰らの背後で、もう一つの影が揺れるのに気付く。死神だ。君はしてはならない事、そう、他人の運命に介入してしまったのだ・・・
君は今や、太宰と二人、意志では無い力で歩みを続けている。きっと後世の研究家たちは、君と太宰との有り得ない接点に、生涯頭を悩ます事になるだろう・・・【end】
【32】
するとどうだろう!? 裸の上半身にピタリと張り付いたダンボールは、まるでそれ自体が皮膚の様、剥すに非常な苦痛を伴う始末。全く、筒井の畳男のそれにも近い。以後君は、『リアル箱男』として、湿気に弱い身体を労わり、ひっそりと生きてゆく事になる・・・【end】
【33】
君は慎重を期す為、物陰へと下がり、暫く機械の様子を伺う事にする。やがて扉が締まり、現れた時と同様、タイムマシンは消え去ってゆく・・・だが、何も悔やむ事は無い。明日から又、(君が内心望んだ)平凡な日々に戻れるのだから・・・【end】ー了ー