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当たり
交通事故が起き、俺の目の前で男が倒れた。驚く間も無く、男の体が溶け(?)始める。やがてすっかり消え去り、後に残るは洋服と、薄っぺらな板切れが一枚。拾い上げて見ると、ベタベタする板の表面に、『アタリ』と小さく書かれている。 当然のように、近くの駄菓子屋に持って行くと、ちょっと待ってね、店員の婆さんは、奥から新品の男を持って来てくれた・・・
翌日、今度は俺が事故に遭った。集中治療室のガラスの向こうで、俺のレントゲンを見ながら、どうにもならないと首を振っているのは・・・まさか、昨日の男だ!
薄れゆく意識の中、せめて俺に見易いようにと、気を使ってくれたのだろう、医師が掲げた写真には、『ハズレ』と大書された板切れが・・・