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結末
散歩途中の公園で、〈考える人〉を見つけた。思わず、〈ロダン作〉というタグを探したくなる程のクオリティー。老眼だったら、公園のオブジェと見間違うレベルだ。阿部寛の顔を、所々、若き日のアラン・ドロンのパーツで補修したような、神々しいばかりの容姿に恵まれて、何を『この世の終わり』とばかりに悩んでいるのか? だから俺は、訊いてみた。
「悩み事ですか?」
「ええ、どうしても物語のオチが考えつかなくて」
なんだ、創作で悩んでいたのか。事が単純なので、俺も適当なアドバイス。
「そう難しく考えないで・・・あ、単純に『水に流す』なんてのはどうかな?」
「なるほど、それは面白い。ありがとう、さっそく試してみます!」
翌朝、俺は凄まじい雨の音で目が覚めた。