進捗報告(2年目56週目_教官との訓練について②)
本報告では、教官との訓練がひとまず終了したので報告する。
心金入りの模造槍、魔術を使うアティ教官に一太刀当てる。これが、元問題児のディル、エーリ、クルージの課題である。ディルは曲刀を持ち、エーリは小手で、クルージは丸盾と直剣で臨んでいく日々だった。ディルが模造刀を雑に扱うことから、各自が持っている本身で行うことになった。
20週ほどで、3人は成長したと思う。すでに彼らは、身体能力だけに頼ってなく、同士討ちもせず、適切に魔術を使いこなす兵士になった。
3人が使う焦点具も初期のころからよくなったと思う。個人の体調変化で魔術が使えなくなったり、突然使用不能になることもなく、ひとまず形になった。メンテナンスが面倒くさいのが欠点だが。おかげで地球で学んだ高度な知識はすべて使った気がする。私は出涸らしとなった。
日頃の訓練では、3人が段々劣勢になっていくのを見るのが常だった。徐々に劣勢になる時間が延びていき、その日はディルが一瞬の隙をついてアティ教官の脇腹に渾身の一太刀を浴びせた。アティ教官は鎧を着ていないので大怪我かと思いきや、血は流れたが数センチ程度切った程度で済んだ。真剣で切っているのにこの程度で済んでいるのはやはりおかしい。授業補助員でこれならば、本職の軍属の魔術師はどれほどすごいのだろうか。
卒業までの課題をクリアした。3人は大変喜んだ。祝いの食事に行くそうだ。私は遠慮した。立場が違うので、同じ喜びは共有できないと思ったからだ。
その代わり、アティ教官に食事に誘われた。美人と食事だワッショイ。
とはならない。私を社会的?にも、物理的にも簡単に殺せる人との食事は大変緊張した。スープがおいしい食事処の2階での食事となった。身分の違いを判らせられる。灰汁を丁寧にとった澄んだスープはこっちに来て初めて食べた。いままでの経歴やら生まれについて、いくつか質問され、何とか答えた。こちらからも質問をした。3人の課題は、特別コースの課題だそうだ。卒業後の進路も他とは違うものになるそうだ。おすすめの仕事を聞いてみたが、アティ教官にはつてがなさそうだった。
今の仕事には不満がないが、この一年で知識的には出涸らしとなってしまった。今後成果は出せない。だましだましやっていくか、ほかの仕事を探すか迷っている。社会の最下層である5級市民には落ちたくない。




