調査報告(5週目_図書館、市民階級について)
本報告では、図書館と市民階級について報告する。
この都市には本があるが、幾分高いことがわかった。日本では、一日の食事代を我慢すれば買えるが、こちらでは十日以上我慢しなければならない。飢えて死んでしまう。また、本屋はハイソなお店である。清潔でない人間、教養のない人間が入る場所ではないことをひしひしと感じる。
幸いにも、この都市ラキエには、図書館が『市役所』の裏手にあった。デポジット5,000セルズ(何も問題を起こさなければ戻ってくる)、利用料100セルズ/時である。金銭的に少し余裕も出てきたため、時間があるときは来て、この世界、都市についての知識を得たい。
異世界に来て5週間、神によって「誰とでもコミュニケーションができ、読み書きできる」能力を得たが、社会の成り立ちは知らない。ルールも、文化も、ことわざも知らない。言語を話せるだけでは、社会に溶け込めないし、誰かとバカ話もできないことを強く実感した5週間だった。この状態はすぐ解消されないだろうが、少しでもマシにしていきたい。
図書館で得た知識で、市民階級についてわかったので以下に記す。
市民階級は以下の5つに分かれている。
1級市民:貴族など特権を持っているもの
2級市民:豪商、豪農など、税金の支払いが多いもの
3級市民:魔術師、士業、兵士職など一般的に偉い職種
4級市民:農民、商人、工商など一般市民
5級市民:外国人、難民、遺児など生活基盤を持たないもの。
私は、5級市民となる。今思い出すと市役所での微妙な空気も納得いく。難民もしくは外国人とみられる人をどうするか思案していたのだろう。5級市民から4級市民になる方法は一定期間の税金の納付(具体的な期間は書いていなかった)、もしくは4級市民以上からの推薦、その他と書いてあった。市民階級が上がるほど税の種類も額も増えるが、権利も増える。4級市民の権利は複数あるが、注目しているのが公共医療でつけ払いができることである。医療の値段はまだ調べていないが、ここは日本ではないので高いことは間違いない。4級市民になれば、感染症や怪我でひとまず治療を受けることができ、死ぬ危険性を減らすことができる。
当面の目標は以下である。
・4級市民になること、まずは今年の税金の納付方法についても調べること
・今の生活の中で、少しでも生活をよくするよう頑張ること
・病気にならないよう気を付けること
・生活の中で、楽しみを見つけること。心を折らないこと。
この世界のことわざも一つメモしておく。
「髭は白いど、背が黒い」
意味:自分で整えられる髭はきれいに整えているが、背中はきれいにできていない様子。独身者。孤独な人。爪弾きもの。
ある種の亜人にとっては最大級の侮蔑。殴られても文句は言えない。亜人の中には、背中に手が届かない種もいる。彼らは家族、友人に頼んで背中をきれいにしてもらうのが一種のコミュニケーションであり、文化である。それができていないことを示す言葉。
今、私の背は黒いのだろうか。




