おじいちゃん、散歩する
「今日は全国的に晴れるでしょう。」
ふむ、今日は晴れか。
外に出るのはコンビニに行く程度になってしまったし、よし散歩でもするか。
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桜並木やイチョウ並木と、わりと近くに散歩に適した場所がいくつかあり、妻が体調を崩す前までは2人でよく出かけていた。
この遊歩道も久々だが、変わってなくてホッとしている自分がいる。
木漏れ陽がなんとも気持ちがいい。
しかし、すっかり体力が落ちてしまったようだ、この程度で疲れるとは。。。
所々にベンチがあるので、休めるのはありがたい。
はぁ。
もっと体力をつけなければ。さすがにこれはマズイ。
散歩も日課にしよう。
この時間だと、小さなお子さんを連れてる家族が多いんだな。
私たち夫婦には子供はいない。
私は妻と2人の生活に満足していたのでそれほど気にしなかったが、子供好きの妻はやはり欲しかったようだ。
あの時代は周りからのプレッシャーも相当だっただろう。
妻には本当に苦労をかけた。
私の兄には3人子供がいて、1番下の姪っ子は上2人とは年が離れているせいか、父である兄より、なぜか私のほうに懐いていた。
顔も兄より私に似ており、生まれるところを間違えたね、などとよく冗談を言っていたものだ。
妻にも同じように懐いていたため、妻も自分の子供のように可愛がっていた。
実際、おしゃべりできるようになると、パパママと言われたりしたこともある。
体の弱い妻のことを考えて、兄夫婦のところに生まれてきてくれたのかもしれない、と実は密かに思っている。
姪っ子も妻の入院中もよく来て世話をしてくれ、一緒に看取ってくれた。
おっ?噂をすればなんとやら。
ちょうど姪っ子から連絡が来た。
今日、夕飯を作りに来てくれるそうだ。
1人になった私を気にかけてくれる優しい子だ。
本人曰く、妻だけでなく、私も自分が面倒をみて看取ってくれるそうだ。誠にありがたいことだ。
さて、そろそろ散歩再開といきますか。
姪っ子に会えるのを楽しみに頑張って歩くとしよう。