表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モータルワールド~現代チート?海兵隊超兵士の黙示録戦線~【修正版】  作者: うがの輝成
第4章 ライジングロード
90/161

第90話 まだまだだね!



 地下水路ステージ。ラウンド3 三局面中ボス戦。カレンVSキメヨ。


 背後の方では、トールとダミアンが至近距離にて激しく高火力の砲撃戦。

 ドッカンドッカン爆轟音が響き渡る中、カレン側でも【LBE-J88】【ロー婆イーター88(ババァ)】特異個体ネームドユニーク種【キメヨ】との熾烈な剣戟の戦いが行われていた。


 神狼(フェンリル)モード、カレンは漆黒の炎を纏う【獄炎刀メガデス】。対するキメヨは老婆型上半身両腕、黒々とした極瘴気を纏った兇悪ドでかい二刀出刃包丁を振るう。

 

 この瘴気とは、多くの生命に毒、疫病、遺伝子異常を引き起こす放射能汚染のような悪質な物質気体。

 加えて嫉妬、強欲、怒り、恨み、悲しみ、恐怖、絶望など様々な負の念の精神集合体。身体的にも精神的にも、多大な悪影響を及ぼす兇悪な地獄領域のエネルギー。


 嘗て人であったこの悪魔たちは、この瘴気による遺伝子異常と、負の念によって悍ましく強靭に変異。禍々しく生まれ変わった兇夢が具現化した存在。


 キメヨは、その濃密な瘴気波動を腕の出刃包丁に纏わせている。


 獄黒炎と獄極瘴気。黒と黒の鍔迫り合い。獄燃焼と獄波動のぶつかり合い。


 これまで、母親とトアとの戦闘訓練以外では防がれる事は無く、触れれば全て斬り伏せ獄炎で焼き尽くし、一切合切塵にしていた炎魔剣。

 それをキメヨの巨大出刃包丁は真正面から受け止め、憤怒の鬼面顔で悉く猛襲、斬り返してくる。それは刃に纏った瘴気オーラが成せる悪魔の(わざ)。                 

 

 キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!キン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!ガキン!!


 互いに超高速。爆風、嵐のように激しく弾き合う獄刀同士。振るわれる獄炎刀(メガデス)に連なる(ほむら)の軌跡は黒龍の如し。二刀出刃包丁の凶刃から連なる極瘴気の軌跡は、二頭の厄災猛毒大蛇の如し。


 黒龍と二頭の毒大蛇が、のたうち絡み、うねり合う。カレンとキメヨの周囲は、獄炎と瘴気が入り混じった、黒々とした暗黒領域と化していく……。



『ワーオ! いっちょめいっちょめ! ワーオ! いっちょめいっちょめ! ワーオ!

ひっ!がっ!しっ! 村なんちゃら! いっちょめいっちょめ! アイ~ン!!』


『なにこいつー!? すごく変なのー! なんなんだキミはー!?』


『ん!? なんだねチミはってか?ぅあ? そぉわです! わだすが変なキメヨです!変なキメヨ~だか~ら、変なキメヨ~! 変なキメヨっ!だから、変なキメヨっ!!フン!フン!フン!フン!ぅわはははははははは!!だっふんだ!!』


『きめぇよ!!』


 そんな某伝説的コント風なやり取りをしながら、瞬時の攻防。刹那の剣技。紙一重の命の奪い合いを息もつかせず、瞬く間に繰り広げている。


 鬼面老婆頭部の眼は、老眼の為に視力がかなり衰えているものの、上半身胸部から腹部にかけての、しわくちゃ乳房型3対6眼。それらが全て独立、触手のように蠢きギロギロとガン見し、脅威的な動体視力を発揮している。

 その中央の大きく縦に裂けた口部は大分空腹のようで、わちゃわちゃ動き、涎がダラダラのデロンデロン状態。

 

 キメヨの各剣技は基本技であるもの、人ならざる悪魔の膂力から振るわれる二刀超速連続技。常人であれば反応すら叶わず、一瞬で細切れにされていたであろう。

 例え達人でも一度受けに入れば、体力が尽きるまで暴風雨の如き兇刃が吹き荒れ、反撃に至るまでも無く、無残な憂いを味わう事になるであろう。


 そこからキメヨは、更に速度を上げて繰り出す剣技(ソードスキル)。二刀出刃大包丁を左右交互に袈裟斬りから、膂力に任せた叩き伏せるかのような縦の真向斬り、左右一文字斬り、下から逆袈裟斬り、右刀真向と左刀一文字合わせの十文字斬り。

 からの速度衝撃波(ソニックブーム)を発するほどの渾身の音速突き。──悪魔の二刀流奥義。



『──スター バスト. ストリップぅぅぅううう!! ぅあ?』


 某ソードアートな二刀流ユニークソードスキルのような技名だが、何やら微妙に違い、意味もおかしなものになっている。

 

 しかし、この悪魔の奥義に対するのは神狼。カレンは一刀ながらも神速で捌き、受け流す。そこから回転翼(プロペラ)のように超高速スクリュー回転。獄炎輪の盾と化し、暴風雨の如き兇刃を全て弾き返す。

 

 キメの音速突きを大きく弾かれたキメヨは、後方に勢いよく滑り下がる。歪に膨れた下半身胴体部から生える刺々しい、トカゲ型の6脚の爪を立て、ガリガリと踏ん張り止まる。

 カレンの獄炎回転翼も停止。くるりと華麗に床に着地。一旦仕切り直しの状況の立ち位置。だが、瞬時にカレンが動く。


『ぃよぉぉーし!次行ってみよぉー!!──ᚷᛖᛜᚾᚲᚨᚢ(ゲンナカウ)!!』


 ここで、神狼魔術(フェンリルギア)詠唱(コール)。すると、獄炎刀メガデスが分散。無数の獄炎の黒アゲハ蝶と化し、カレンの周囲を舞い飛ぶ黒桜模様。畏怖を伴い、描かれる荘厳な神狼幻想画。


 

『あんだってぇええええ!? ぅあ?』



「……フフフ、こちらはフォローのは必要は無さそうね」



 


  そして、この後方。トールを挟んで更にその先でも1体1(タイマン)で激闘。

 神狼(フェンリル)トアVS特異種(ユニーク)真魔のグリゴリー。



 ウィィィイイイイイイイイイイイイイイン!!パン!!バフッ!!ガキン!!

ガキン!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!

バリバリバリバリバリ!!ガリガリガリガリガリ!!ウィィィイン!!ウィィィイイイン!!パン!!バフッ!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!バリバリ!!


 トアの双獄氷剣メタリカと、グリゴリーの極瘴気を纏った右腕チェインソー&左手シミター5本爪。激しく弾き合い、回転と排気爆音。歪な剣戟の鈍い音が入り混じった、盛大な不協和音の協奏曲(コンチェルト)


『フハっ!フハっ!フハハハハハハハハハ!!吾輩のこの右腕【魔鎖鋸(ジェイソン)】と左手の【魔爪(フレディ)】。珍妙なる犬よ! これがお前を血の惨劇の館に(いざな)う、地獄への導き手の二つの名だ!! (とく)と吟味せよ!!』


『犬じゃないよ!ボクは護廷十三隊、十番隊隊長、日番谷トア獅狼(シロウ)だよ! 背の双両剣は、氷雪系最強の‶ワン魄刀〟。【ひょろりん丸】だ!!』


 バカ正直にこの相手に、真面目に名乗る必要は無いと思ったトアは、適当に思いついた某死神の文字った名前と武器名を連ねる。


『ほう、良き名乗り上げだ!フハっ!フハっ!フハハハハハハハハ!!いいだろう。‶ヒツガヤ トアシロウ〟とやら!(しか)と足掻くがいい! お前を微塵に切り刻んで、蝋人形にして喰らってやろう!』

『……いや、切り刻んだら蝋人形にできないんじゃないの…? そして、食べるのに人形にする意味あるのかな……?』

『…フ、フハっ!笑止! 吾輩の崇高なる言葉の意味が分からぬとは、やはりただの畜生風情か! フハっ!フハっ!フハハハハハハハハハハハハハ!!』


『……こいつアホだね』




「ん? トアの方でも大笑いする声が……。トールも何故かすごく笑っているようだし、いったい何が……」

 

 激しい銃砲撃に爆音、剣戟の金属音が打ち鳴らされる中に、何故か高らかな笑い声が混じっている珍事に、リディが疑問を抱きつつ各戦闘は続く。


 獄氷剣(メタリカ)は、腕で剣を振るうのとは違い、背に航空機の翼のような形態の為、細かで柔軟な振り回しができず、身体全体を使った大振りとなり隙ができやすい。

  対する俊敏性の高い、変幻自在に動ける生物。増して、剣技を行使する相手には大きく後れを取ってしまう。

 それに対応し補う為の、隙を埋める高速回転技であった。──と、思われたが否だ。


 その高い俊敏性は勿論、縦横無尽の神速高機動力は神狼(フェンリル)の真骨頂。そして、双獄氷剣(メタリカ)はただ背中に引っ付けているわけでは無い。


 剣自体は硬質の為に、鳥類の翼のような柔軟性は無いものの、垂直、水平、前後、傾斜を左右別々に複雑超速で可動。航空機で言うテーパー翼、前進翼、後退翼型に臨機応変に展開できる超可変翼。


 ガキィィィン!!と、トアとグリゴリーは大きく弾け合って一旦の距離を置く。そこに、トアの更なる追加武器が加えられた。

 否、元々備えらた標準装備武器。【狼爪(デュークロー)】と呼ばれる犬種が持つ爪。それが前脚に4本、両前脚で計8本。鋭利に曲刀のように伸び、蒼白く淡い光を放っている。


『──神狼爪(エッケザックス)


 神狼(フェンリル)狼爪(デュークロー)は、膨大な魔力が込められた神話級(ミソロジー)神剣に並ぶ性能強度を誇る。因みに牙は、キモく非常に汚い不味そうな相手には使用は却下。そして、更に──。



『──双獄氷剣(メタリカ) 第二形態(マーク ツヴァイ) ──堕天X氷翼(ヴァーテイン)


 すると、トアの背の魔紋から新たに1対の双獄氷剣が顕現。2対のクロス状4翼剣、後方に推進噴射口(バーニアスラスター)。そこから可変。前翼1対はV字に立て、後翼は水平状(テーパー)。更に纏う蒼白光のオーラを強め、後脚を曲げ準備(カタパルトオーライ)発射離陸(スクランブル)態勢。


 それに対してグリゴリーは、魔鎖鋸ジェイソンを回転数レッドゾーン。盛大な爆音と派手な火花を散らし、左手魔爪(フレディ)を後方に引き、わちゃわちゃキモく動かしながら迎撃態勢を執る。


魔力(マナ)エネルギー充填開始。セーフティリミッター解除。レティクルオープン。

──標的(ターゲット)ロックオン。エネルギー規定値充填完了。オールグリーン。カウント開始5・4・3・2・1』



『何をブツブツと!フハっ!フハハハハハハハ!!そんな苔脅し、吾輩の魔鎖鋸(ジェイソン)魔爪(フレディ)が一切合切全て切り刻み、蠟人形にっぬわ!!』


 グリゴリーが何やら言い切る前に聞こえる、カウント『ゼロ!!』の言葉。

 ドオオン!!とトアは十分バネを利かせ、水路床を爆蹴りカタパルトで発射離陸(テイクオフ)

 4翼のバーニアからは、アフターアイスバーナーを噴射。そこから砲弾のようにジャイロ回転。放たれた特攻砲撃。それにグリゴリーは慌てて魔鎖鋸(ジェイソン)を振るう。



『──ヤマ=トア波動砲斬!!』



 ウィィイイイイイイイイン!!バリバリバリバリバリバリバリバリ!!バキ!!

バキ!バキ!ハンマバキ!!バキバキ!!グラップラーバキバキバキバキバキ!!


 トアは超音速で車輪状、スピン、ジャイロと、複雑に球体状超回転。ローリングボムの砲弾。音速を超えたことにより、速度衝撃波(ソニックブーム)発生と上乗せ絶対零度の魔力波動。

 これに負けじと、振り下ろした魔鎖鋸(ジェイソン)の濃厚瘴気の強化を衝撃波動で搔き分け、獄氷4翼剣、8狼爪の12刃で一瞬で微塵切り。

 続けざまに振るった魔爪(フレディ)も同じく容易く粉砕。同時に周囲の水路床、連絡通路とその脇の壁は、衝撃波によって大きく抉れて破砕。そして氷結。

 

『フハ!? やめっあばっ!! ぐぼっほ!!くぁwせdrftgyふじこlp!! ひでぶあべし!!』


 その凶悪ローリングの猛威は留まらず、グリゴリーの全開瘴気オーラ防御の必死の抵抗も虚しく、刹那に腕から細切れ胴体に達した。無残にドス黒い血を撒き散らし、爆砕木端微塵。飛散し氷結。塵と化した凍結結晶が儚気に散り行く。


 この技は、トールらの使う銃弾を参考にし、トア独自でこの場で編み出した応用技。12刃の剣技による斬撃。獄氷技の為に熱エネルギーは無いながらも、爆発的な波動の高破壊力。

 斬、打、突の三大物理攻撃要素に加えて、速度+魔力による不可視の波動衝撃波の合わせ技。その破壊力は大戦時の最大砲弾、大和級戦艦主砲46cm砲弾に匹敵する絶大な威力。運動エネルギーは444,132,000[J]と、4億超えのえげつなさ。

 

 例えネームドユニーク種の悪魔であろうと肉体を持ち、物理攻撃が利く以上、この範囲殲滅級技には耐えるに至らず、憂き無残なこの結果。



『まだまだだね!ゴリゴリー!』


 トアは、珍妙なやり取りもそこそこに、ネームドユニーク種グリゴリーをゴリゴリと一蹴。

 某なんちゃらの王子様のようなキメ台詞をいれつつ、中ボス戦一局を早々に終わせた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ