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モータルワールド~現代チート?海兵隊超兵士の黙示録戦線~【修正版】  作者: うがの輝成
第4章 ライジングロード
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第89話 ラウンド3 中ボス戦 UREEYY




「あー、感知はしてたが、こいつらついに動き出したか」


「これは、少々厄介そうね」



 どの生物でも数が集まれば同種の中に、稀に他を抜きん出た優れた個体が現れる。

 それは、多種多様なる闘争の果てに辿り着いた覚醒進化。強きを求める本能からの渇望の成果。より苛烈な環境を生き抜く為に、各細胞が導き出した最適解。


 この変異原によるゲノム上の位置転移(トランスポジション)。遺伝子塩基配列の物理変化を『突然変異(ミューテーション)』と言う。


 悪魔に置いてもそれは例外では無かった。同種の郡を逸脱した膂力に殺傷力。

 より強靭に。より俊敏に。より鋭利に。より兇悪に。より狡猾に。


 そして、明らかなその異様な変容。面妖にして威容たる正に悪魔用。殺戮用仕様と言えよう。YO!と韻を踏む。


 ──悪魔の中の変異個体(ミュータント)。ネームドユニーク種。


 彼らは科目属的に下級に分類されるが、その性能(スペック)自体は中級種に該する。


 誰が名付けたか、悪魔にとって名は命であり確たる存在の証。

 名が与えられて、ようやく彼らは『真の悪魔』と称される。


 ──その【真魔】とも言うべき特異な殺戮者(プレイヤーキラー)。三体と対戦(エンゲージ)



『だ~いじょうぶだ~~~!』

 キキン! キン!

『だ~いじょうぶだ~~~!』

 キキン! キン!

『うえっ!うあっ!うわっ! んっ?なんだねチミはってか?そぉわです!あだすが変なキメヨです!──誰が変じゃあ、喰うたろかぁ!だっふんだ!』 


 出刃大包丁型両腕の刃同士を当て、金属音リズムの合いの手を入れながら、何やら某レジェンダリーなネタ風の名乗りを上げる。


 ──【ロー婆イーター88(ババァ)】特異個体ネームドユニーク種‶キメヨ〟



『フハっ!フハっ!フハハハハハハハハ!!吾輩はグリゴリー!そこの犬!

お前を蝋人形にしてやろうかぁ!!』 


  ウィイイイイイイイイイイン!!と、右腕チェインソーの回転数を上げ高笑い。右肩排気口(マフラー)からパンッバフッ!!とアフターファイア&瘴気黒煙を派手に排気噴出。曲刀爪左手では、人差し指と小指を立てるヘヴィメタルなメロイックサイン。


 ──【レッサーイビル2型】特異個体ネームドユニーク種‶グリゴリー〟



『こおんにちわぁあああああ!!うるせーよ!どうも~~!ダミアンで~す!

はい、ついに来ました、この地下水路ステージ! 雌雄を決する大判勝負!

互いに一触即発の雰囲気!この緊迫感、実にたまりませんねぇ!

では、ここはキメのご挨拶を一投!』


 ドドドドドドドドドドド!!!ボオオオオオオオオオオオオ!!!


 と、何やらな自己紹介と実況をしつつ、挨拶がてらに天井に向け、右腕『マウザーMG 213 20mm砲』連射&左腕『M35』の火炎放射をぶっ放し、ド派手にパフォーマンス。


『おわぁああああああ!!ヤバヤバっあぶあぶっ!めっちゃ降って来た!アカンアカンアカン!!』


 そして、破砕した天井の欠片が燃えながら自らに降り注ぎ、てんやわんや。


 ──【レッサーイビル3型】特異個体ネームドユニーク種‶ダミアン〟



 さすがは、ユニーク種と言ったところか。性分の方も中々のユニーク具合。

 三体とも珍妙な名乗りを上げる。そして、その命とも言うべき名を告げると言う事は、確実にその者に不幸を齎す呪詛。魂すら供物とする、完全絶対死の宣告。

 

 決しておふざけでは無い。彼らはシリアスすら喰い尽くす悪魔なのだ。


 だが、特異個体ネームドユニーク種は、トールらも同じである。地球人類最強個体で神の恩寵を授かった悪魔の天敵。ハイエルフの王女で勇者。子供とは言え神狼(フェンリル)ハイブリットの双子。相対するこのユニーク種同士の7個体。



『『……………』』


「どんなノリだよ! エグい見た目に反してなんか流暢にしゃべってるけど、言語形態はどうなってんだ?」


「……まぁ、その辺りを説明すると、物質は次元転移の際に、一度素粒子レベルまで分解し再構築される訳なの。おそらくこの時、遺伝子と脳機能の変革。自動翻訳アプリソフトのようなものが、脳にインストールされるのではないかしら? それで、本来言語が違うカレンとトアとも、あなたは普通に会話できたんじゃない?」


「は? カレンとトアは普通に英語で話していると思ったら、実際は別の言語だったのか?」


「ええ、勿論よ。全ての言語が翻訳できるわけでは無いけどね。おそらく、その言語の公用性の問題かしら? 地球でも通じない言語が幾つもあったわ。まぁ、この物語を綴った何者かの‶ご都合〟ね」


「オーケイ。その辺はよく分かんねーけど、こいつらとの選択肢は一つだ。

リディ、皆のサポートフォローを頼むぞ。俺はこの角付きガスマスクに20mmに火炎放射に…あーめんどくせー、仕様がごった煮なんだよ!えっと──『ダメヤン』だっけ?」

「……言いたいことは分かったわ。サポートは任せて」


「おーし、カレンとトア!ここは三体同時の中ボス戦だ!魔力配分に気を付けて、遠慮なくぶちかませ!気合い入れとけよー!」


『『了解!ビックボス!!』』

「やめろや、その呼び方!!」



 ──ROUND3 MIDDLE BOSS BATTLE

 

 ──GET READY!!



 ─────FIGHT!!



 ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!

 キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!

 キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!キン!!

 ウィィィイイイイイイイイイイイイイイン!! ガリガリガリガリガリ!!!

 ガキン!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!ガキン!!


 ラウンド3。開始火蓋が激しく切られた真魔(プレイヤーキラー)との三局面同時対戦。


 アサルトウインドレールガン88(アハトアハト)&20mm弾砲撃。獄炎刀(メガデス)&二刀出刃包丁。双獄氷剣(メタリカ)&チェインソー&シミター型5本爪が激しく撃ち合い、斬り合い、ぶつかり合い交差する。


「あークソ!こいつ反応がいいな。躱しやがる! 銃口を見て射線を読んでんのか!?それともマジで見えてんのか!?」


『はい、ドーン!雑魚決定!あなたの心の隙間、闇、全てお見通しですよ!よ~~く見えてますよー!あなた見えないんですかー?ダッサ!雑魚バーカ!死ねバーカ!!と、言うか、あなた人間ですよね~? 雑魚乙のくせに速すぎ! 何躱してるんですかー? キモいですねー!』


「てめーに言われたかねーよ! 何だこいつの煽り方!?アバターか?誰かプレイヤーが操作して、煽りボイチャでPK凸か!?」


『ちょっと、何言ってるかわかりませんよ!なんかヤバイ薬でもキメてんですかねー違法ですよー!』


「黙れクソハゲ!てめーの火炎放射器なんざ、違法どころか国際法条約で使用を禁止されてんじゃねーか!しかも、それをご丁寧に腕に埋め込んでるイカれたバカが、法を語ってんじゃねーよ!も一回生まれ直して、九九から学んで出直して来い!クソボケ!!」


『あ~~何ですか!そちらこそ、何ちょっと法を知ったかぶりでイキってるんですかー!何、九九とかって?しょうもない!引用が稚拙ですねぇ、クククク。それに口調がクソまみれで、品性の欠片も無いですね~!学の無いおバカ感が見え見えすぎですぅぅぅ~~!センスゼロのダッサダサ!お里の程度が知れますよ~~!マジきしょ!キモいんですけど~!!雑魚乙~~!は~い論破!』


「あ? ナノレベルで論破されてねーよ。こんなジメジメした小汚ねー地下の穴倉で、シコシコとドブ鼠をゴキブリみてーに喰い漁ってる、底辺中の最底辺の陰湿極まった奴が、何の程度を知ってんだー? とりあえず自分の珍妙奇天烈な見てくれを鏡で、そのよ~く見える目で穴だらけになるくれー拝んでろ! ついでに、品性含めて美的センスも頭ん中も完全修復不可!ぶっ壊れている事を痛々しいくらい思い知れ!あー、ぶっ壊れてるから分からねーか!ハハハハハハハ!!」


『はぁあああん!?な、ななな何笑ってんですかー!?ざ、雑魚に人の生活や、べ、びび美的センスをとにゃ、とやかく言われる筋合いはありぇ、あ~りませんからねー!!』


「人の生活って、てめーは人じゃねーだろ!美的も何も悪趣味そのものだろ!それ以前になんの生き物だよ!つか、噛み過ぎだろ。クソでも詰まってんのか? んな、ケツの穴みてーな口で、品性がどーのこーのと、よくベラベラとしゃべれてたもんだよ恥を知れ!もー名前自体が‶ダメやん〟!」


『‶ダミアン〟です!!いぎぃぃいいいいいいい!うっせっ!クソうっせー!!

クソムカつく!!!お前なんかク、クソ雑魚のくせに!クソぶっ殺す!!クッソ焼いて喰う!クソクソクソクソー死ねよクソカス!!』


「あーキレた。はい論破~!お前の負け~~~!雑魚乙~~!口調がクソにまみれて、何かブリブリ言ってんなーハハハハ!口がケツ穴仕様だから仕方ねーか!

アハハハハハハハハハハハハハ!!ウケる!!」


『UREEYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!』



「また彼は戦闘中に大笑いを……何の言い合いをしてるのかしら…?」


 トールVSダミアン。左右連絡通路と水路幅を合わせて10mにも満たない近距離戦闘(CQB)での激しい舌戦。罵しり合いながらの物理的高火力砲撃の撃ち合い。まずの論戦?はトールに軍配が上がった。

 

 ダミアンは通路上から、トールは段差下の水路側での攻防。

 水路前後の方では、カレンとトアが同じく戦闘中の為に、流れ弾が飛ばぬよう、立ち回り範囲も考えながら、高速で縦横上下にフェイント。リロードしつつ回避。 弾数は残り60発。


 対するダミアンは、その高視力、動体視力強化スキルにて最小限の動き。紙一重でトールの超音速で放つ『M27 IAR 一時的【改】88(アハトアハト)』の砲射撃をほいほい、ひらりひらり、よいしょと躱す。


 その一発一発が致命的で、必殺の一撃。外れた弾丸に至っても、床や壁を激しく破砕しまくり、その破片が周囲に派手に舞い飛び交う。

 この飛び散る破片も、紙一重の攻防に大きく影響を及ぼす為、破砕破片の飛散方向と範囲を精密に計算。回避行動を取らなければ絶対絶命。

 

 20mm弾の威力は、1mmの甲版に対して弾頭2cmの直径で凡そ15倍。

約30cm程の大穴を空けられる。

 大戦時の戦闘機、空戦比較では、7.7mm機銃弾では機体には小さな穴を空け、パイロットかエンジンに当てない限りは落ちない。

 20mm機関砲では、機体をバラバラに大破させられる程の高威力。


(──あー、Θ=tan-³b/a。高低差2m相対距離1mから6m範囲。

射撃仰角度Θは、63.434948822922から18.434948822922度。

 MG213、20×135mm。質量120g。初速1050m/s─KE=0.5×mv²──運動エネルギー66150 [J]。これを踏まえてのリップル連射。至近距離にて射速減衰無し。

 一次元の着弾分布、f(x)=1/ルート2πσ exp(-(x-μ)²/2σ²)──爆破範囲及び、床石材爆砕衝撃による破片の仰角、水平角、速度計測。飛散範囲は──……)


 この生死の境目が薄氷の如く朧気。死神が嗤い、大鎌を首筋に当てられている刹那の閃きの中0.0062秒。

 トールの脳内では射撃角度、運動エネルギー、射爆理論などの各物理計算が高速思考加速にて超速ルート演算。最適の回避計算が成され、動きの幅が最小限。緻密に効率化され、唯一の生存ルートを叩き出す。


(──この状況下で警戒するのは、左腕のM35火炎放射器。大戦時情報では総燃料11.8ℓ。燃料はガソリン.タール。射程距離25から30m。1秒間放射して10から15発。連放射されれば、気体燃焼と違い焼夷液体は燃焼が広がり、回避が困難極まるだろう。──だが、それはソロ戦闘の場合)と、0.00035秒。


 これはパーティ戦。三局面に分かれた変則的な戦闘模様。だが、各戦況を見定め状況に応じて、臨機応変な操舵に立ち回れるファンタジーなファンタジスタ。スーパー司令塔(ボランチ)がフリーの状態。


「リディ!この場が炎上した時は──」

「フォローは任せてって言ったでしょ!」


 言い切る前に、心強いレスポンス。何とも頼もしく返ってきた。


「ハハ、さすがだ! オーケイ!各データ打ちこみ完了。後は全集中(ゾーン)──完全戦況管制(イーグルアイ)展開」


 この戦闘に置ける各情報データが確定し統制。トールは精神超集中。視覚情報から、脳内フェーズドアレイ気探(レーダー)により死角無し。明確化された俯瞰視点の3次元モデル情報映像に切り替える。


『UREYY!?何ですとー!?』


 ほんの僅かの間にトールの動きが別人のように変容。まるで一瞬先の未来が見えてるかのような無駄の無い動きに、ダミアンは驚き当惑する。




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