プロローグ
何か適当に思い浮かんだので。
プロローグ含め3パートまでで更新はどうなるか分かりません。
私はただただ頭を低くして謝っていました。
「大変申し訳ございません!」
「あの、そんなに謝って頂かなくても……」
と言って下さるのは魔界商業ギルドの私の担当者で、今年450になるナイスミドルのバートンさん。
「ですよね!?謝るくらいならさっさと会社立て直すなり清算するなりしろって事ですよね!?」
「いや、そうではなくですね、こういうのはよくある事ですので。シュタインさん、毎年どの程度の会社が倒産していると思います?全体の1割弱は倒産してるんです」
「いえでも、それとこれとは別と言うか、バートンさんにこうしてご迷惑を……!」
「いえいえ、これも仕事のうちですし、慣れていますから」
「す、すみません」
何かもう謝罪しか言えていないですが。
あ、すみません。
私、魔王をやっておりました、トーマス・シュタインと申します。
私の会社は倒産しました。
魔界不況の煽りを受けて、業績が急激に落ち込んでそのままドボンと言う。
よくあるパターンらしいです。
「それにですね、シュタインさんの所は倒産と言っても、従業員の退職金も払えて借金も殆ど無く綺麗に円満解決していますし」
「あ、はい。方々尋ねて回っても、回復する手段も見込みもないって話で結論が出ましたし、そこで借金をした所で焼け石に水でしたから……何とか丸く収まるうちにって思いまして」
「そうですね、返せない借金はいけません。人の話を聞かずに無計画にだらしなく方々で借金をこさえて従業員の賃金を下げ続けた上に残業代も払わないで給料の出ない休日出勤が当たり前になり、そのくせ本人はもう返せないって分かってるから豪遊を繰り返し経営を省みない、後はお前が何とかしろと何の権限も無い私に押し付けて逃げる輩の多い事と言ったら……!」
「あ、はは」
バートンさんの方もかなり倒産に関しては苦労しているようです。
「あ、すみませんつい愚痴を。とにかく書類の確認を終えてしまいましょう。これが終われば会社に関してやらなくてはいけない事は無くなりますから」
「あ、はい」
そうやって一つ一つの書類の確認を終えて、同日中には会社の倒産申請は完了。
一か月後、倒産申請は通り、会社は綺麗に消えてなくなりました。
魔王シュタイン、無職シュタインになりました。