第4話:幼馴染
ハルトは無料で宿に泊まれると思ってたのか…(笑)
振り向くと、そこに同い年くらいの少女が杖を持って立っていた。声は聞いたことがあるけど、記憶にない。
「久しぶり、ハルト!アスロにはもう会った?」
でも、アスロを知っているということは、知り合いなのだろう。だけど思い出せない。名を聞かなくては。
「あー、えぇっと……非常に言いにくいのですが、どちら様でしょう…?」
俺が恐る恐る尋ねると、彼女は静かに笑った。それが怖いったらありゃしない。
「“どちら様”?まさか私を忘れたの?ハルトくん?」
「うっ。す、すいません…」
「はぁ。こんなことだろうと思ったわ。私はメルスナ。小さい頃あなたの家に行ったでしょ?思い出した?」
ああ、そうだ。彼女はメルスナ。俺の幼馴染で、昔よく父さんと彼女が遊んでいたなぁ。数年前にここに引っ越したんだっけ。小さい頃に比べて、すごい美人になっている。
だからわからなかったのかな。
「あぁ。思い出した。久しぶりだなぁ、何年ぶりだ?会うのは。」
「そーゆーのいいから、あなたがここにいる理由を教えてよ。」
「あー、それはねぇ…」
俺はメルスナにすべてを話した。すごいスキルを手にしたこと、殺人という罪を被せられ村から追放されたこと、これまでのことを。
すると、メルスナは頬をぷっくりさせながら言った。
「ひどーい!ハルトにそんな事するなんて!許せないわ、その…バサトってやつ!でもハルト、ここに来たからにはもう大丈夫よ!この私があなたを守ってあげるんだから!」
「いや、もう守られるような歳じゃないよ。」
彼女は幼い時から格闘術を叩き込まれてて、小さい頃は魔物から守ってくれたことがあった。でも、俺はもう大丈夫だ。ずっと剣の訓練をしてきた。職業を手に入れた。もう守られるようなやつじゃない。俺は強くなったんだ。
「そういえば、メルスナ、お前は何の職業をもらったんだ?格闘家か?」
「気になる〜?実はねー、私最上魔法使いになっちゃいましたー!」
「え、マジで!?」
魔法使いは、授かる確率が高い職業だ。冒険者になりたいが能力向上の努力はしたくないという人向けで、魔法使いは魔法書を読めば、魔法が使えるんだ。だけど、上魔法使い、最上魔法使いなどのランクが高い魔法使いは、授かる者が少ない。ましてや最上魔法使いは才能と鍛錬がなければ到底授かることのできない職だ。
「え、でもさぁ、あなたもすごくない?なんで剣士でそんなに属性操れるのよ?」
「それはな、アスロと剣の特訓をしてきたからだ。地獄のような日々を送ったよ。でも決して諦めなかった。強くなるためにな。」
「なんでハルトってそんなに強さを求めるの?」
「お前、俺の父さん知ってるだろ?俺の夢は厳密には、強くなって困っている人を助けることなんだよ。父さんのように強くなって、他人を助けるんだ。といっても、剣術はあってもまだレベル1で魔法はよくわからないけどな。」
「あなたならなれるわよ。というか私もあなたの手助けをするつもりだしねっ!」
「ほ、本当かっ?助かるぞ!」
「それよりあんたさ、今そこの宿屋から追い出されてなかった?どうしたの?」
「それがさ…」
俺は金がないことを話した。
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