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第八十六話 ちょこっとカオス劇場『サンデレオ~ガラスの靴を履くのは女子だって誰が決めた?~』その 5

魔女「ふふっ、どうしたの絨毯職人の金の卵」


サンデレオ「おお、魔女。お前は我が友の魔女ではないか」


魔女「友になった覚えなんてないのだけど」


サンデレオ「ならば今刻め。今から我々は友人同士だ」


魔女「はいはい。で、どうしたのよ?」


サンデレオ「いや、僕が金の卵って話が出るあたり、君は僕とお姫様のことを見ていたのではないか?」


魔女「ふふっ、実はね!」


サンデレオ「で、魔女よ。今までこの僕を放っておいて一体どこへ行っていたんだ?」


魔女「見たいドラマの再放送があったからそれをしっかりゆっくり家で見ていたの。で、終わったから、あの三流職人は一体どうしてるかしらと思って今に至る」


サンデレオ「ふふっ、君は欲望に正直、そして物言いもまた同じ。潔き魔女だな。そこでだ魔女、君を友と見込んで是非頼みたいことがある。聞いてくれるね?」


魔女「どうするかは話を聞いてから考えよう」



 サンデレオから魔女への頼みとは一体なんだったのでしょうか。それはすぐ近い未来で知れることとなります。



【第七幕】


 場所:魔法の世界 バトルドーム



名レフェリー「ダークホースの快進撃が止まらぬ!クールビューティーな格闘ヒロインここに爆誕!またもや彼女が怪物男をワンパンチでKOだぁ!このワンパンウーマンめ!」


格闘戦士2「うう……やられた~」

 

(格闘戦士2、モブスタッフにより担架で運ばれる)


名レフェリー「さぁ、どこの勇ましき戦士が彼女の快進撃を止めるのか。次の選手にご期待だ!」


(覆面戦士闘技場に入場)


覆面戦士「ふふっ、お嬢さん。この覆面の下に潜む顔がどんなのか期待が膨らまないか?」


お姫様「膨らまない」


覆面戦士「ふっふふ、この天邪鬼さんめ。本当は見たいのだろう。見るが良い、こんな顔でした~」


(覆面戦士、勢いよく覆面を取る)


お姫様「なに!お前は!」


サンデレオ「そう、僕こそがあなたのサンデレオです!」


お姫様「なんだお前。まだ痛い目に合いたいのか?」


サンデレオ「いいや。快楽こそが我が至福。痛みまでもを青春の共にするつもりはない。なかったがしかし、怒りと憎しみではなく、愛のみを込めた君の鉄拳であれば、それも至福として受け止めよう」


お姫様「気持ち悪いヤツだな。結局痛い目に合いたいのか?」


サンデレオ「じゃあそれでいいや」


名レフェリー「それではこれが決勝戦だぁ!レディィィ!ファイッ!」


サンデレオ「ア~チョチョチョ!」


(サンデレオ、テレビで見て覚えたままの異国の拳法ぽい技を放つ)


お姫様「ぬるいぬるい。そんなのが当たるか。当たったところで私に傷を負わすことなど出来んぞ」


(全てかわした後、お姫様の鉄拳が飛ぶ)


サンデレオ「ぐぉ!!この痛みは、リアル!」


お姫様「なんだお前、まるで素人ではないか。そんな腕でよくこの決勝戦に上がってこれたものだ」


サンデレオ「そりゃそうさ。本来ここに立つはずの彼には魔法で眠ってもらって代わりに僕がいる」


お姫様「魔女の力を借りたか」


サンデレオ「ご名答。頭の切れるお姫様だ」


お姫様「お前の目的は何だ?勝てる見込みなくしてどうしてここに立つ?」


サンデレオ「君が固く握りしめた拳を開かせるためさ」


お姫様「何?」


サンデレオ「ならば僕だって問おう!君こそ、何のために武力を欲す!」


お姫様「それは先ほど言ったことだろう」


サンデレオ「違う。君は他人を従わせる力が欲しいだけなんだろう?そのために武力を欲すのは不純だ」


お姫様「何だと!他所者が知ったような口を利くでない!」


サンデレオ「いいや、短い時間で僕が知り得ただけのことは口にさせてもらうぞ!」


お姫様「黙れ!」


(お姫様、怒りの鉄拳を放つ。サンデレオの腹にクリーンヒットする)


サンデレオ「ぅおお!そんな小さな手でよくもこれほどの破壊力を産むものだ。だが、僕は屈せんぞ!僕は拳では語れない。脆弱な職人だからな。だから口で嫌という程語ろう!」


お姫様「うるさいうるさい!」


(お姫様、降り注ぐ雨のごとく連撃を放つ)


サンデレオ「ふふっ、利かん……と言いたいところだが、かなり足腰に来るんだなこれが……息がある内に叫ぼう。いいかお姫様、君はまず大衆を軽んじるな。そして自分の価値を低く見積もるな!」


お姫様「何?」


サンデレオ「僕の住んでいる国に王族はいないが、代わりに政治家っていうおじさん達がいて、そいつらが国のリーダーを張っている。彼らはたくさん学問を積み、政治の勉強もをして責任あるその仕事につく。しかし!それでもしっかり良い政治が出来るとは限らない。人よりたくさん勉強した経験者でも、躓くときには躓く。そして民は実力のない者を自分たちのリーダーとしていつまでも祭っておくことはしない。時期を見て見限る。自分達のリーダーを自分達で見極めわめないと、個々の幸福が遠ざかることになる」


お姫様「……」


サンデレオ「僕が言わんとすることが少しは分かってきたかな?つまり、人は力に付いてくるのではない。真に心ある者にこそ惹きつけられる。君の場合、魔法も格闘技も使えずとも、民を良き方へと導く熱い心があれば、それで民は君を認めると言っているのだ。いくら学問を積み、金があり、親がたくさん土地を持っている者がリーダーでも、心が民に向いていない者は一様にして三流の腐れ指導者に過ぎない。君は格闘技を逃げに使っている!国を想う君のことを慕ってついてくる民を大事にする心こそを君は育てるべきだ。今一度言う、民を舐めるな!人は同じく人のことをしっかり見ている。そして君は君を見限っては行けない。今こそ自分を見よ!」


お姫様「……」


サンデレオ「ここまでして言葉が届かぬのなら、僕も職人の命であるこの拳を固めてぶつけよう。さぁ、思い知れ!これが絨毯職人の金の卵の黄金ナックルだぁぁぁ!」


(サンデレオ、魂の一撃をお姫様に届ける。だが、全く効き目がない)


サンデレオ「ふふっ、職人が無理しすぎたぜ」


(へなちょこパンチを放って体力がゼロになったサンデレオ、地面に崩れ落ちる。同時に意識も落ちる)


名レフェリー「試合終了!優勝は美しき格闘家に決定だぁ!!」


魔女「まったく、ダサい試合を見せてくれちゃって。本当に情けない。でもお姫様の心には数発痛いのが届いたようね」



 サンデレオは燃え尽きた末、固き闘技場の床に沈みました。それを受けてお姫様の心はどう動いたのでしょうか。

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