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第八十二話 ちょこっとカオス劇場『サンデレオ~ガラスの靴を履くのは女子だって誰が決めた?~』その 1

『サンデレオ~ガラスの靴を履くのは女子だって誰が決めた?~』


 原案    女流作家 M

 脚本    前田一世

 演技指導  ダークネス向井


 

 配役


 インデレオ 権之内貴一

 ニンデレオ ゴライアス・ダライアス

 サンデレオ 前田一世

 

 魔女    天界より下界に降りし高貴なる女神セピア

 お姫様   神名勇


 語り手   ???


 その他モブ 我がクラスの愉快な仲間たち


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【第一幕】


 場所:サンデレオ達の実家居間


 あるところに小金持ちの商人の家庭があった。

 一代で家業を不屈のものにした商売人の父、ありあまるガッツで夫をしっかり支える母、そしてそんな二人のかすがいとなる屈強にして愛くるしい三人の息子からなる素敵な家庭だった。

 三兄弟の末っ子サンデレオは、弾ける若さのままに弾けた人生を送るシティボーイだった。



サンデレオ「ああ~良い天気だ!こんな良い天気なのに家に籠って職人仕事なんて勿体ない。街に繰り出してあれこれの娯楽、あるいは快楽を貪りたいぜ!」


インデレオ「は~っはは!サンデレオときたら元気すぎて困ったものだな。さぁそんな元気なお前をもっと元気にするインレデオ特製プロテインジュースだ。グビリと決めちまいな」


サンデレオ「ありがとう兄さん。ごくごく、ぷは~不味い、もう一杯!」


インデレオ「はっは~、いくら不味くてもお代わりはないぜ。一日一杯、たくさん飲んだら栄養の取りすぎだ」


サンデレオ「助かったぜ。ノリで言ったものの、本当に二杯目が来たらマジでどうしようかと悩んでしまう不味さだったからな」


ニンデレオ「お~い、マッチョな兄さんと愚弟の極み~。何をそんなにはしゃいでいるんだい」


サンデレオ「あ、ニンデレオ兄さん。やめてくれよ愚弟なんて、それも極みだなんて……照れるじゃないか」


ニンデレオ「はっは~サンデレオってば相変わらず照れ屋さん!」


インデレオ「そういえば店の方はどうなってるんだ?」


ニンデレオ「ああ、予約注文の方は順調に入ってるぜ。そうそう、それだよ。そのことを二人に言いに来たんだ。僕たちの家は今まさに書き入れ時寸前の盛り上がりを迎えているんだぜ。ここで僕ら三兄弟の品もジャンジャン世に売り出していかないとって父さんが言ってるんだよ」


インデレオ「まったく、父さんも息子のデビューが待ち遠しくってたまらないようだな」


サンデレオ「はぁ~地味な職人仕事かい。嫌だなぁ~。僕は街に繰り出してギャルやギャル男のダチと明日をも知れぬスリルある人生をキャッホーに過ごしたいよ」


インデレオ「おいおい、サンデレオ。お前の友人関係をはじめとしたプライベートのことにガミガミと口を挟むことをしたくはないが、それでもお前、仮にもインテリの家系の出の者にしてはIQ低めの言動が目立つぞ。その人生キャッホー組な仲間に感化されたな~。まぁそれも悪くない人生の刺激だよな」


サンデレオ「ふふっ、父さんならもっとガミガミいうところを、インデレオ兄さんは理解力が広いからいいよね」


インデレオ「おうよ、むしろキャッホーなギャルを紹介して欲しいぜ。お前と違って俺ほど堅実に生きている無骨者には御縁無き命だからな」


サンデレオ「ははっ、そいつは良い。まぁギャルでもギャル男でも、いつかは家の顧客になる日が来るかもだしね。仲良くした方がいいさ」


ニンデレオ「なに!じゃあ僕だってギャルとキャッホーしたいよ!」


サンデレオ「皆、キャッホーって言葉をとても便利に使うんだね」


インデレオ「とまぁ、おふざけは程々にしてだな。なんたって俺たちはもはやパンピーではない。プロ入り前ではあるものの、客に対して上質の物を提供しなきゃならない責任ある職人の道を歩いてるんだ。バカ話もそろそろ切り上げにして仕事に取り掛かるべきだな」


ニンデレオ「何時になくインデレオ兄さんがやる気だぜ」


インデレオ「おいおい、そんなことないだろ。お前の人生の中で俺が真面目だったことならまだまだ幾つでもあっただろうが」


サンデレオ「ああ、タンスの隙間に500円玉が転がり込んでしまったのを回収するインデレオ兄さんの姿には、男のマジを見たよなぁ~」


インデレオ「やめろやい。500円に執着するみみっちい男だと思われるだろ」


ニンデレオ「いいんだよそれで。500円くらいのことで一生懸命になるありふれた存在、それが僕らの兄さん。親近感が沸くこの距離感が心地良いのさ」


インデレオ「ニンデレオ……お前……生意気も言うが、やっぱり可愛い弟だぜこの野郎!」


サンデレオ「あ、二人でじゃれあってズルい。僕も仲間に入れてよ」



 三人兄弟はこんな感じでやはりお道化けてばかりの関係性なのでした。

 そんな三兄弟のことを見ていた謎の人物がいた。



魔女「うわぁ、まったく見てられない聞いてられない。あんた達、なんてバカで意味のない頭の痛くなるようなやり取りを行っているの?これが一流職人の息子三人のやり取りなの?」


インデレオ「いかにも!これが一流職人を父に持つ息子達のまごうことなき姿だ!とくと見よ、え~と……え?何?誰なのお前。扉も窓も締め切った状態でいつどうやって入ってきたの?」


ニンデレオ「怪しげなる黒衣に身を包み、箒に跨がりて浮遊するその様。間違いない、これはサンデレオの持っている二流ファンタジー小説に出てくる魔女というやつだよ」


サンデレオ「なんだって!魔女!いたのかよ、本当にいたのか!すげぇ!というか僕の趣味をディスらないでよ」


魔女「ふっふふ、いかにもこの私は魔女。大いなる魔法をいともたやすく使ってのける大魔女である。いや、というかこの私の存在こそがある種とんでもない魔法。そう、私こそが魔法だ!」


インデレオ「どうやら思考回路にもマジックがかけられているようだぞ。弟達油断するな。優秀なおつむが持っていかれる妖術をかけられるかもしれない」


魔女「お前達のようなおバカのおつむを今さらどうにかしようなど思わないよ。安心しな。ところでお前達、さっきから聞いていれば職人だとか、品を作るとか言ってるけど、結局何を作る職人なんだい?」


サンデレオ「なにって、絨毯だよ。今時代は絨毯だからね」


魔女「え?そうなの?」


 サンデレオ達兄弟の実家の家業とは絨毯職人だった。

 三人は一通りの修行を経て、そろそろ客に売れる自分のデビュー商品を作る段階に差し掛かっていたのでした。

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