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第四話 君は黄金の大地を目指せ!

 遥か古からちょっと前まで、黄金の大地ネオゴチャラティは幸福と微笑みとほんのちょっとのいざこざで賑わっていた。溢れんばかりの生命がここから発し、そして骨を埋める。命のバトンを繋ぐレースは終わりなく続けられていた。ここに生まれて幸せでない命など私は終ぞ見たこがない。


 そんな平和な大地が、ここへ来てその栄華を失いつつある。事の根っこは複雑なのだろうが、話して聞かすのなら簡単だ。明らかに様子がおかしいのである。


ある時からエターナルモシャリシャス、こちらの世界に来るにあたって私が学習して覚えた植物でいうところのトウモロコシにあたる食物が謎の大量発生を始めた。

 物事にはなんだって適したバランスというものがある。食べれば美味しいものだが、そんなにエターナルモシャリシャス、もといトウモロコシが増えたら、それはそれで困る。そんなにたくさんいらない。もう飽きた。


 次なる問題にはほとほと頭がイカれそうになった。エターナルモシャリシャス……いや、以後はトウモロコシで表現を統一しよう。トウモロコシは、やはりこちらの世界でのトウモロコシ同様、調理を加えればパチンと弾けるポップコーンになる。ネオゴチャラティではこれをシャイニグパチコンという。これは料理名と共に、食材が弾けるその現象事態をも示す。例えばタラコ、これは熱を加えるとプチプチ弾けて飛び散る。タラコが弾けるこれもやはりシャイニングパチコンと呼ぶのである。ちなみにこちらの世界でもタラコのことはやはりタラコという。なんたって同じ鱈の子なのだから。


 白く膨らんだ状態のポップコーンが大地を覆い尽くす。ありえないことだし、なによりも画的に馬鹿らしいから想像が追いつかないだろう。しかし、我々の暮らす世界ではそれが現実となっている。


 固い大地を踏みしめてこそ、人は安定した一歩を踏み出せるもの。だが、白いものの中に足が埋まってモコモコするようなら歩きにくいし、もっと困るのは乗り物がまともに走れない。交通の妨げともなるこの異常発生はもはや自然災害であった。


 これらは住民達が可能な限り刈り取っては食う。それで追いつかなくなったら火炎放射器で燃やすなどして対処していた。しかし、人ごときの力が、人よりも先行して生まれて栄えたネオゴチャラティの大地の力に叶うはずがない。

 このトウモロコシ、またはポップコーンは、人々によって減らされる間にも次を生み出し、処分が追いつかない。このままでは黄金の大地ネオゴチャラティは、真っ白けっけになって終わってしまう。


 自然の力が人々に襲いかかる構図が確立してしまったが、それまで互いは寄り添って共生していた。このパワーバランスが著しく崩れたのには、はっきりとした原因があった。ことの仕掛け人が存在し、そいつの情報はすっかり割れている。


 犯人は最果ての地に居城を構える男ドブジル。こちらの世界にやって来るにあたって取り組んだ事前学習の一つとして、トライアングルだかペンタゴンだか言うゲーム会社から出たRPGの代表作をプレイした。あの手のゲームに登場する悪の魔王というのがドブジルとイコールする。


 これはヤツの侵略行為である。ヤツはトウモロコシの異常発生、そこから転じて人々の住まう街々をポップコーン攻めにして足を使わず簡単お手軽に地上を征服しようとしている。


 だがここは、古くから人々が仲良く笑顔で共生するのが売りとなる平和の地である。この素敵な黄金の大地を恐怖の魔王ドブジルにみすみすくれてやって良いものだろうか。否、答えは明白。そんなことは許してはならない。何としてもこの黄金の大地は、色合いと輝きをそのままに子々孫々に至るまで守り抜かねばならない。


 全ての民がこの現状を打破する一筋の光を求めいる。その希望の糸を手繰り寄せ、終わりゆく大地に送り込むことで平和を約束させる。それがこの私、特級勇者派遣大使ゴライアス・ダライアスの任である。

 そして私の役目は完遂しつつある。どうしてって?見つけたからだ。全ての闇を貫いて光を呼ぶ存在を、つまりは選ばれし勇者を!


 さぁ我が手を取れ、選ばれし勇者よ!

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