年末12
ゆきさんに見送られて 店を出る。
賑やかな通りですぐにタクシーを拾って乗り込んだ。
揺られて 深夜の車窓をぼんやり眺めながら、この先の身の振り方を考える。
結局のところ、私は栗原さんと
どうしたくて悩んでいるのだろうか。
「職場の人を好きになった」
と端的な言葉で さっきは説明をした。
だが、そう言った時、
なにか自分の中で違和感があった。
以前、はるかにも「栗原さんを好きということを認める」とは言った。
だが、そもそも 好きだから?悩んでいるのだろうか。
東京と札幌で飲みに行って、それで
その後に勢いで誘いすぎて やんわり断られて。
その直後、向井と飲みに行っているところに出くわした。。
それからまともな会話はしていない。
それが未だに心に刺さっているのはなぜだろうか。。
・・・思い起こすと、
札幌の”二次会”で栗原さんと飲んでいるとき、
話の流れで「向井さんとはどうなの~?」と冗談半分で聞いたことがあった。
二人が社内で噂されることがあっても、仲間内で特に気にしたことはなかったが、なんとなく聞いてみたのである。
そのとき栗原さんは、
「向井さんとは 仕事の関係です!」と笑って答えた。
わたしも「そうなんだ」と 笑って話を終わらせた。
本当は、その後に「じゃあ俺は?」と 付け加えて尋ねようかとも思ったのだが、
それは ただの酔っぱらいのウザい絡み、
ひとつのセクハラになってしまうなと、自制したことを思い出した。
もしあのとき、その軽い一言を飲み込まずに口に出していたら
社交辞令で返されたとしても、あとから会話の糸口に使えていたかもしれない。
・・・・・・。
少なくとも、私の中に栗原さんへの関心があることは確かである。
そして栗原さんはこちらに関心はないだろう。
だから文字通り 片想い である。
だからといって、好きです などと伝えたいわけではない。
ただ、偶然が重なって、どうにもしようのなく気持ちの悪い ”片想い”をしているのだという事実を伝えたい。
・・・あえて聞きたいとすれば、
向井と比べて 私はどう思われているのか?
私もまた”仕事の関係”となるのか、それよりも少しは ”ひとりの人”として 関わってもよいと感じてくれているのか。
それとも逆に、仕事で関わりがない分 だけ、
私は ”向井以下” であるのか。
本当に 向井とは仕事の関係 なのか。
そうして考えがループしだす。
栗原さんは、私が午前3時まで飲みに付き合わせたことを 向井に言ったのだろうか。
栗原さんのことを信じたいけど、信じられない。
その疑心暗鬼による不安感が、この問題の根底にある。




