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年末10
深夜1時近くなるとさすがに疲れて、やや眠たくもなってくる。
赤の他人に身の上話をした所で、なんだか空虚な気持ちが増すだけであることも わかってきた。
そろそろ引き上げようか、と思ったのだが
まだ席の時間が残っていた。
こんばんは~、失礼しますー。
来なければよかったかな…という気持ちになりかけていた時
そちらの方をみて、一瞬、心臓が大きく動いた。
そしてスッと全身の血の気が引いた。
私の目の前に、
栗原さんが立っているようにみえた。
次の瞬間には、それは背格好と表情の雰囲気が似ている別人であることはわかった。
(・・いや、栗原さんのほうが美人であるだろうか・・・・。)
彼女がソファの隣に腰掛ける。
このような形でまた思い出させられるのは予想外である。
栗原さんに関わるこれまでの数々の”偶然”の出来事が 走馬灯のように一気に思い起こされて、
こんな気持ちの波が この先いつまで続くのだろうかと 情けなさの涙が出そうになる。




