年末3
夕方、研修会の大会議室で準備をする、
会場が開くと 社員が次々に入ってくる。
その中に、はるかや栗原の姿もみえた。
それぞれ同じ部署の人同士で座っているので、栗原は向井と並んで席に着いて話をしている。
こちらは仕事をしつつ、決して意識はしたくないのだがつい気にしてしまう。
そんな気持ちで会場全体を見渡す素振りをしていると、
人がたくさんいる中で、座っている栗原の視線だけが、こちらの方にずっと向いているような気がした。
胸がドキッとする。
いや、気のせいであろう。そう自分に言い聞かせる。
たまたまこちらを向いただけか、私の方向にある別の何かを見ているのだろう。
・・仮に、本当に私を見ていたとしても、それは好意的に向けられているものではない。
しかし。好意的ではなくとも 何かしら気に留められている、ということもあるのだろうか・・。
こちらはこの数ヶ月、24時間ずーっと 寝ても醒めてもあなたの事で悩んでいるのですが、そちらはいかがでしょうか・・?
もし私にテレパシーの超能力でもあれば、そう送ってみたいものだ。
会場全体に目をやりながらも、栗原の方だけは直視しないようにする。
だが、目の端では 栗原からの視線をしばらく感じ続ける。
こうして他人の顔色など伺ったところで、何かがわかるはずはない。
人の気持ちと、行動は一致しない。
今の私自身を他人が見て、栗原のことを考えているなどとは 誰も思うはずかないだろう。
ひとりで何かを考えたところで、
新しいことが分かるはずなどはなかった。
もう考えることをやめたい。
だが思考が止まってくれない。
もう、いっそのこと。




