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動揺7
「じゃあ、お疲れさま~」
そう互いに言いながら解散し、
わたしは Tくんと2人で地下鉄の改札の方に向かう。
終電に間に合うように早足で歩きながら
Tは いま同棲をしているという彼女の話をしてくれる。
「へー、そうなんだ。あははっ 、それは大変だね~」
プライベートな話をしてくれる彼に対して
生返事ばかり返すことをとても申し訳なく思いながら、
どうしてもその会話に集中することはできない。
混み合う地下鉄に乗り込み 彼の話を聞きながら
わたしの頭は、先ほどの別れ際の はるかの様子とその言葉を何度も反芻している。
元々、はるか本人も想定をしていたはずの、Mさんの送迎の誘いなのに なぜあの場で断ろうとしたのか。
わたしの気持ちを汲んでくれていた・・?
一人で不安になっていたが、はるかも本当は 気にかけてくれていたのだろうか・・・。
Tが先に降りて地下鉄の車内で1人になる。
スマートフォンを取り出して考えているうちに 自分の降りる駅に着いた。
改札を出て 家の方に向かう。しかし、そのまま帰る気にはなれない。
自宅マンションの通り向かいにある、雑居ビルに入る。
その2階の奥にある、小さなバーの扉を開ける。




