動揺4
2時間ほどで一次会がお開きとなり、賑やかな通りに出た。
時間はまだ 9時よりも少し前である。
「2軒目 どうする?」と だれとなく言って、その流れになる。
皆の帰りの便を考えて、駅ビルに入っている居酒屋を探して歩き始める。
一団で歩く道すがら、あえて はるかから数歩先に距離をとって歩く自分がいる。
どうせアタマ数としてみられているだけなのだから、
先頭を切って 2軒目の店を探す役になることにする。
そうして楽しんでいると振る舞うことで、気を紛らわせているのかもしれない。
何軒か候補を考えて、すこし後ろを皆と歩いているはるかに確認する。
「どこでもいいよー、ザキについていきますー」
そう一任される。楽しんでいると思ってくれていればよい。
「ここ、どうかなー?空いてたら、ここにしましょうかー」
駅ビルの飲食街の中で、適当な店を見つけて皆を案内する。
通された個室は 一軒目と同じような 掘りごたつの部屋である。
わたしの後から来たはるかに、
「どうぞどうぞ、詰めて」
と、それとなく奥の席に案内して座らせる。
そして自分は、また対角線のところに座ることにした。
・・・・・・、
こんなつまらないことで 一人で気忙しくなっている。
今日の会の主賓である Mさんとの会話が
上の空にならないようにと、意識を保つことに 神経を使う。
Mさんだって、こちらがそんな気持ちで隣で会話をしているなどとは、思わないだろう。
それもまた、なんとも言えない申し訳なさと苦しさを感じる。




