動揺3
当日、土曜日の夜。
札幌の街中。ビルの地下街にある居酒屋に 集まったのは 私を含めて6人だった。
男女3名ずつで 皆、違う部署の顔ぶれである。
今回産休に入る同期のMさんを中心に、
個室の掘りごたつ席に身を詰めあって座る。
最初に到着した私は 個室の一番奥の席に入ることになり、
次に来たMさんが私の右隣に座った。
私の正面には、仕事で関わりが多いシステム部門のF課長
右斜め向かいは あまり関わりが少ない同期の女子Sさんが座る。
そしてSさんの横、私からは対角線となる位置に、最後に到着した はるかが座った。
はるかの向かいには、営業部の若手男性のTが座っている。
飲み食いをしながら皆で会話をする。
しかし、6人ともなると、3人ずつや、2人と4人の組み合わせで会話が進むことが多くなる。
私は自然に F課長と、仕事の話題での会話が多くなり
離れた席とは 会話が少なくなる。
F課長とは仕事での関わりこそ多いものの
年齢、立場の違いもあって ここでの話題には困るところもあった。
F課長との会話の切れ目に、
なんとなく、はるかの方に目をやる。
はるかは、正面に座るTの方を見つめながら、笑顔で話をしている。
はるかは外向きの笑顔が上手である。
だから、傍目には Tと とても楽しんで会話をしているようにみえる。
ただそう見えるだけの事で、はるかとTの間に何かがあるわけではない。
こちらに聞こえてくる会話も、当たり障りのない中身であることから それがわかる。
それでも、微妙に手が届かない距離で、他の人と楽しそうな様子で話す、はるかの姿をみると
なんとも言えない空虚な気持ちになって、
そんな自分自身に 動揺した。




