旅のはじまり3
「なんとか着けました、吉崎さんはどうですか?」
一杯目のグラスが空になったころ、返信のメッセージが届いた。
こちらは、まだ北海道で足止めをくらって 気合いを溜めるために一杯やっていることを伝える。
「東京めっちゃ暑いですよ。ビール飲んで気合い入れて下さい!」
そういえば、栗原と何気ない会話をするのは久しぶりだ。同じ部署の時は 毎日顔を会わせていたから。
そんなことをふと思いつつ 、たあいもない話を何往復かして やりとりを終わらせた。
「じゃあ、良い東京の夜を。」
気がつくと 店は満席になっていた。
ようやく入った搭乗口のロビーは、疲れの色がみえる人々で溢れていた。
公共の場の床に、ためらいなく座り込んでいるこれだけの数の大人達を見たのは 初めてのことかもしれない。異様な光景にみえた。
出発時刻はさらに遅れていた。この先、何時に宿に着けるかわからない。
品薄となった売店を眺め、いくらかの飲み物と、売れ残っていたスナック菓子を調達した。
ガランとした商品棚にありながらまだ在庫が潤沢であった、ジンギスカン味のポテトチップスと、スープカレー味の 柿の種。まさか道民でありながら これを買う日が来るとは思わなかった。。
夜食をつまみながら 搭乗開始のアナウンスを待ち続けた。
深夜11時を回った頃、わたしはようやく北海道を飛び立つことができた。




