再会3
こちらに気づいた向井と栗原は、なんとも言えない 笑顔混じりの複雑な表情で こちらにやって来る。
「どうもどうも、みなさん おばんでございます」
向井は、平然としながらも、おどけたように、しかし強めの口調で こちらに挨拶をかけてくる。
そこに部長たちが 半分冷やかすように絡んで話しかける。
少し後ろにいる栗原は 苦い笑みを浮かべて それを見ている。
わたしは、そんな栗原をじっと見つめる。
言葉に表すことができない 気持ちが湧き上がる。
こちらの視線に気付いているのかいないのか、
栗原がこちらを見ることはない。
栗原さんは何を思っているのだろう。
何も思っていないかもしれない。
一刻も早く、この場から立ち去りたい。
向井にからみ続ける部長たちを制す。
「ほら、邪魔しちゃわるいから 行きますよっ!笑」
そう言って、腕をつかんで向井たちから引き剥がすと、地下鉄駅の方に歩き始めた。
すると 向井だけはこちらの集団について来た。
「なんですか、仲が良いんですね!向井さんはあちらに行かなくていいんですかっ?笑」
栗原の方に行かない向井に、少し嫌味混じりに尋ねる。
「まぁたまには飲むこともね。でももう早く コンビニでタバコ買って吸いたくって・・」
この男は、これを本心で言っているのだろうか。
あるいはこの場を取り繕うためなのか。
それとも、わたしの心中を知った上で、あえて言っているのだろうか。
向井はわたしより年上だが、独身である。
栗原とは仕事上 一緒になることが多いので、社内では噂されていることもあるらしい。
だが、畑に参加している近い仲間内では それはただの冷やかしと認識されていた。
だから、二人の間柄に対してこれまで何も思うことはなかった。




