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旅のはじまり1
夜の空港は、時間のわりに人で溢れていた。
振替便の手続きを待つ行列が 出発カウンターのあちらこちらに出来ている。
それを横目に、自動チェックイン機で支払いを済ませると 東京行きのチケットがすぐに発券された。
しかし出発の予定時刻は、さらに1時間半遅れとなっていた。
まだ2時間以上 余裕がある。
かさ張る荷物を預け、搭乗券を胸ポケットに差し込む。
長い夜になりそうだ。
気付けに、一杯ビールでも。そんな場所を求めてターミナル内をさまようことにした。
多くの飲食店は店仕舞いを始めている時間である。遅くまで開いている 落ち着いた照明のカフェバーは、同じ境遇と思しき先客達ですでに埋まっていた。
あきらめかけたところで、普段はあまり気に留めない一軒の店が目に入った。
地元のプロ野球チームをコンセプトにしたスポーツバーだ。
幸いにも、まだ他の客たちには見つけられていないようで 店内は空席が目立つ。
野球場を思わせる開放的で明るい雰囲気の店なのだが、全体的にチームへの愛を感じさせる趣向に、一瞬 入ることを戸惑う。
しかしこれも旅の醍醐味であると思い直し、ここを今宵の拠り所とした。




