重荷
驚きよりも、知りたいことがある。
「いやーー、彼氏出来たって本人にきいたの?」
嫌そうに尋ねてみる。
「うん、さっきお昼に顔合わせたときに ”もう春だねー” って話しかけたら 『そういえば、わたしにも春が来ました』っていわれて。聞いたら彼氏できたって」
そんなタイミングではるかに報告するとは、それほど誰かに言いたい気持ちなのだろうか。
「へー、そうなんだ・・・、相手は?どんな人か聞いた?」
話の流れから 職場の人ではなさそうということはわかるが、
「んー、それが これもザキには言いずらいんだけど。Oさんの友達なんだよね」
Oさんは、自分やはるかと同期の女性社員だ。
「この前 2月に りっこ達と Kさんの家で女子会するって言ったしょ」
それは確かに聞いていた。
そんな会が催されると聞いて、はるかが栗原になにか余計なことを言ったりしないか、
自分が悪い話題にあげられるのではないか、何かが動くのではないか…と心配をしていたのだった・・・・。
「Oさんに最初は、私に『紹介しよっか?』って言われたんだけど、年下だっていうからいいやって断ったら、りっこに紹介する事になって。付き合うことになったみたい。ザキに言ってなくてごめんね」
そう言われて、もはやどんな感情で応じればいいかわからない。
ただ、自分の悪い予感というのはよく当たるものだと感心して 泣きそうである。
「焼肉屋でみたのも、その彼だったのかな」
「そうかもね」
ひとつも申し訳なくなどなさそうなはるかの目を、冷たい目で見つめ返して 無言で訴える。そんなことしかできない。
そして重い気持ちを一人で背負わされて、慌ただしい仕事の場へ戻るしかない。




