134/164
呼び出し
週が開けて何日かたった、3月末の午後。
「いま、ちよっと話せる?」
はるかから社内メールが届く。
なんだろうか、嫌な予感がよぎる。
怒られる筋合いのある事はしていない。
フロアに行くと、またガラス扉で仕切られた打ち合わせスペースに通される。
はるかが後ろ手で扉を閉めると、お互い立ったまま、
はるかは笑顔の裏に 少し神妙な面持ちのような表情でこちらを見る。
「あの、ザキにはちょっと、言いずらいことなのですが・・・」
神妙な面持ちから、少し含み笑いに変わる。
「いや、聞きたくないな」
と言ってみるが 聞き入れられそうにはない。
「あのね、りっこ、彼氏出来たって」
そんな話だろうと察しはついていた。
そのこと自体は意外と驚かない。
だがここは、はるかにはあえて
オーバーリアクションで返しておく。
「えーーぇ! いやーー、そっかー、はぁーぁ… そうかぁ…」
「残念だったね」
薄く笑いながら 少しも気持ちのこもっていない、なぐさめの言葉をかけられる。




