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残業
誰もいなくなったオフィスは仕事がはかどる。
夜になると誰にも声をかけられず、電話も鳴らないから 当然ではあるが、
なんと言うか、栗原が同じ社内にいないと思うだけで少し気持ちが軽くなって調子が出るような気がする。
井田さんは 社内の効率化を進めるために仕事で使うツールの改善を提案してくれる。
それを形にする仕事は私の担当である。
9時、10時、、つい時間を忘れて作業に没頭してしまうのである。。
つい2年前には栗原が時間をかけて手作りしていた決算書類がある。
それをボタンひとつで作成するプログラムを作っている。
本当はこんなことを栗原がいるうちにしたかったように思う。
あの頃も、大変そうに作業する栗原を傍目に見ていて 助けられないのが少し辛かった気がする。
そんなことを想いつつ、井田もいなくなったオフィスで 、一人モニタに向かって考えながら手を動かす。




