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仕事始め
長期休暇が終わった仕事始めの朝は誰しも憂鬱だろう。
朝が来れば否が応でも身支度をして、時間通りに家を出なければならない。
雪の積もった道は幸いにも混雑はしていない。
普段の時間より少しだけ早めに会社の近くにさしかかると、バスから降りた社員たちが 交差点で信号待ちをしているのがみえる。
その中に栗原の姿がちらりとみえた、、と思った瞬間、
彼女もこちらの車の方を向いて、
目が合いそうになったところで こちらが目を逸らす。
初日からなんとも悪いタイミングである。
私がこうも憂鬱なのは 仕事が嫌だからではなく 職場が嫌なのだった。
車を駐車場に停めて、自分の業務課のオフィスに上がる。
「おはようございますー。今年もよろしくお願い致しますー。」
出勤している皆に、いつも通りのトーンで声をかける。
…この1週間少しの間のことなど、まるで何もなかったかのように。
そんな態度は職場では当たり前のことなのだが、なにか嘘をついて生きているような 空虚な気持ちになりながら年明けの仕事を始める。




