酔客
「よしざきさんー、どこで待ってたぁー?」
妻は私のことを普段から苗字で呼ぶ。元々が高校の後輩だった名残である。
飲みに行ったのを車で迎えに行くと、しばしば強く酔って帰ってくるのだが 今日もそのようだ。
「石山通の喫茶店にいたよ」
嘘ではない。
「そーなのーぉー?わたしはねぇー ・・、なんだっけ、あれ お店のなまえわすれちった!まぁーいいかぁ、よしざきさん!ね!!」
そういって運転しているこちらの左肩をバンバンと叩いてくる。
それでも 今日はすぐに車で拾えただけ良い方だ。いつかは空が薄明るくなるまで車で待たされたことがある。
そんなおかけで深夜のドライブがくせになった感もある。
街中から抜けて、すっかり通りの少なくなった国道を家に向かう。
迎えに行く前にコンビニで買っておいたミネラルウォーターのペットボトルを、キャップが開いたまま持ってウトウトしはじめるので、手から取り上げてホルダーに置く。
いかにも酔いが回って 少し苦しそうな寝息を立てはじめら。
これはマンションの駐車場に着いてから、自分の足で歩いてくれるかどうかが心配である。
人の面倒を見るのは嫌いではない。だが、たまには自分より強い誰かに面倒をみてもらいたくなる、、
そんな気持ちの根源は こんな日常にあるのかもしれないな、と。栗原が酒に強かったことを思い出しつつ、だがあまり考えないように
片側3車線の道を、家まで少し遠回りなルートを選んで車を走らせる。




