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友だち

「ゆりさんは この仕事長いの?」


「この店はまだ2ヶ月くらいで その前はエステで働いてましたー」


「そうなんだ、夜の仕事大変そうだよね。変なお客さんもいそうだし」


「でもここの飲み屋さんはお客さんいい人多いし、私は昼の仕事とかできないから今がいいかな」


「そっかー、地元は遠いの?」


「旭川の方です!」


「へー、いつから札幌に来てるの?」


「高校卒業して 地元で少し働いてからこっちきました」


「地元でなんの仕事してたの?」


「不動産屋さんでしたよー」


……、


…そんな 質問と答えがだらだらと続く会話をしながら、ウーロン茶のグラスを傾ける。


こんなとき己の会話スキルの低さに辟易とするが

お互いに興味があるわけではないから いいとする。


こんな通りいっぺんの身の上を聞いたところで

私は彼女のことを少しでも好きになれるだろうか。


そう考えながら 世間話をしているうちに決まった時間が来たことを告げられる。


次の予定あるので延長はしないことを伝えると すぐに男性店員が会計を持ってくる。



支払いを済ませながら、、


「ねぇ、こないだ連絡先交換してくれなかったけど、今日はLINE教えてくれますか?」


そう寄られる。


そういえば、前回来た時はどうも気が向かずに断ったことを思い出した。


「・・あー、そうだね、いいよ 交換しようか」


そう言って スマホにQRをかざす。


「またきてくださいー、まってます!」


そう言って見送られる。

雑居ビルの廊下の明るい光の下でみる ゆりさんは、薄暗い店内とは少し印象が違って見える。


「はい、またきますねー」


そう言って軽く手を振って店を後にする。


・・・・・・、


財布はだいぶ軽くなったが、心の重さはどうだろう。。



妻からの帰りの連絡はまだ来ない。


駐車場から車を出して 最初の目的地だった喫茶店に向かうと、

今度はすんなりと入ることができた。


タバコの煙が漂う店内。

空いている席に座って アイスコーヒーを頼む。


スマートフォンを開いて 栗原からの返信はない事を一応確認してから、小説の執筆ページに移動する。



数ヶ月前の東京行きの出来事を思い起こしながら文章に落とし込んでいく・・・、

我ながらよく細かいことを覚えているものだ。

感情に絡んだ記憶は忘れにくい、と聞いたことがある。

これを上書きしてくれる人は・・・ 現れるだろうか。



・・・・・・、

しばらく執筆していると だいぶ酔ったらしい妻から連絡がきた。


そしてまた夜の街へ タクシーと並んで入っていく。



年末に中国で発生したらしい 正体不明のウイルスの噂が

少しずつ大きく聞こえてくるようになってきたが、

すすきのは深夜もまだまだ賑わっている。

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