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年賀はがき

「あけましておめでとう!また飲みに行きましょうね!」


などと、送れるはずはない。


なんといっても、栗原さんと私の最後のやり取りは、


『ごめんね、もう誘われたくないんでしょ笑』


である。


私が複雑な思いを込めて送った その字ヅラを

栗原さんがどんな風に読んだのかはわからなない。

その事が 今 どれほど彼女の記憶に残っているかもわからない。


わからないが、かといって なにもなかったかのように

いつものような年賀状を送る気にはなれない。



5枚セットの年賀はがき。

裏面には干支のイラストが大きめに印刷されていて、

その下に2、3行のメッセージを書くスペースがあるものを選んだ。


このスペースで何かを書くとしたら?

これまでの非礼を詫びるべきだろうか。



・・といっても何を詫びるのか・・、


東京で飲みに行ってごめん。

帰ってきてからも誘ってごめん。

その後もまた誘ってごめん。

他の人と飲んでるとこに出くわしてごめん。

それからずっと 片想いしてて、ごめん。



・・・そんな 気持ちの悪い一人語りの告白をして どんな目に遭うかはともかくとして、

ここで 「ごめんなさい」と詫びる ということは何か違うような気がしている。


栗原さんにとっても “謝られる筋合い” がない状態で 突然謝られても 困らせるだろう。


何かを話せる前提すらないのである。



こうして謝るということを考えていると、

逆に栗原さんに対して、クレームのひとつでもつけたい感情すら湧いてくる。


・・・・・・、


もし、あなたがもう少し人の気持ちを考えて

気づかって 接してくれていたら こんなことにはならなかった。


私は 栗原さんに気をつかってきた。


元々、東京で飲みに声をかけたのは、

先に約束をしたから、それを反故にするのは悪いかと思っていたからである。


一緒に飲みに行ったことを 秘密にしておこう と提案したのは、

栗原さんが 元々 職場で誘われるのがあまり好きではないようにきいていたので

私と飲みに行ったことが “誘い水”になって 他の人に誘われると申し訳ないと思ったからである。


たがそれを まるで好意のように捉えられているような気がして 心外である。


私は、こんなに気にかけて接しているのに

なのに、栗原さんは、栗原さんは、、


・・・・・・、


なーんて。


そんな自分勝手な言い訳を、

頭の中でパラパラと考えられてしまう自分が

それまた惨めに思えてくる。



悪いのは全て私である。

栗原さんは悪くない。



だが、

ひとつだけこれは言いたい。



“避けられている” と思うほどに、

意識はそちらを向いてしまうのが 男の性«さが» なのである。


あのとき、避けずに関わってくれていたら、

またいつでも話せるという安心感があれば、

こんなに思い詰めることは きっとなかった。

栗原さんも片想いなどされずに済んだのに。



・・・これもまた 栗原さんからみれば、

わたしの自分勝手でしかないか。。



逃げられると追いかけたくなるのが 男の性 なら、

追われると逃げたくなるのが 女の性 らしい。

そんな話は よくきくことだ。



・・・・・・、


せめて謝るのではなく、率直に気持ちを送れば

何かの キッカケになるだろうか。



新宿の雑踏の中で、暑さにバテながら

一緒に酒を飲んだことが楽しかった。

決して友達などとは思っていないが、

初めて職場で気を許せる人が出来たような気がした。


・・・、




ざわめきと暑さに酔いし 旅の宵

なればうれしは 職場の友かな




なーんて。



書こうかどうか迷いつつ、年賀はがきの白いスペースを眺める。


今年も残すところ あと12時間ほどである。




100話を超えて、

やっとのことで 年を越せそうです。

年末の一人語り長すぎ。

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