旅の宵2
荷物も置きたいので、一度 宿に戻ることにした。
満員の山手線で一駅となりの大崎に移動する。
到着の車内放送が流れて、降りようとした頃、LINEの通知が来た。
通知画面をちらりと見る。
「暑くて、ヘロヘロですね・・!」
気軽な返事に、すこし 安心した。
共通の話題がある酷暑日で、むしろよかったかもしれないな。
改札を出て、一度 宿の部屋に戻ってから返信を送る。
「ほんとにね!笑」
「いま打ち合わせ終わって、夜どうしようかさまよってるんだけど、栗原さんは暇してません? してなければいいんだけど!」
今度は、すぐに返事が来た。
「わたし暇です!ホテルに戻って一息ついてました。飲みに行きましょうか!」
よかった。どうやらあの約束は有効だったらしい。
・・むしろ気にしすぎた自分が、自意識過剰であっただろうか・・。
そう思うと、なんだか恥ずかしくなる。
しかし栗原にはそこは悟られていないだろうから、まぁよいとするか・・・。一応、年上としては、落ち着いていて頼れる同僚としての姿を見せたかった。。
栗原の方のホテルは、新宿駅のそばだという。
「そっちの方が店多そうだし、新宿行くねー!」
そう送って 今降りた駅に引き返すと、また山手線に飛び乗った。
「来て頂けるんですか!ありがとうございます!新宿駅って、ちょー迷子になるんですよね!(><)」
確かに、新宿駅は構造が複雑で、人も多いので 待ち合わせの難易度は高い。
ホテルの名前を聞いて、近くの駅出口を指定した地図をLINEに送る。
程なくして、こちらが先に新宿駅の南口に到着した。
「南口の白い歩道橋の下にあるパン屋の前にいます~」
そう送って あたりを見回しながら待つ。
さすがに日本一のターミナル駅、帰宅ラッシュでもあり、すごい人混みだ。
都会の喧騒 という言葉を、絵に描いたような景色である。
交差点の前にできる信号待ちの人の群れ。信号が青に変わるとそれが一気に動き出す。
見知らぬ人々の群れ。
その中から、見慣れた姿が見えた時、これまでにない安心感を覚えた。




