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うるさい客人2

書きたいことがありすぎて、中々文章が纏まらない...

今、俺の前では前代未聞の神VS小鳥の口喧嘩が勃発中である。もはや何でもありだ。卓上に積み上げられた菓子を口に運びながら観戦してはや10分。


「ピー!ピピ、ピ、ピー!」


「知らなかった、で済むわけ無いだろう。暫くその姿で反省していろ」


「ピピッ!?ピー!」


「問題ない。仕事に支障の出ない範囲に設定してある」


「ピピ…」


「中々似合ってると思うが?」


「ピー!」


「騒々しいな…いっそ焼き鳥にでもするか?」


「ピィ…」


WINNER,神。小鳥、撃沈。ぶるぶる震える小鳥は泣いているんだか怯えているんだかよくわからない。というか、小鳥相手になんて容赦のない…器の小さい神だな。


「何か言ったかい、少年?」


「何も」


相変わらず、心中はバレバレらしい。

誤魔化すように紅茶を口に運ぶ。


「味が、違う…?」


「ああ、今回は同じダージリンでも、ファーストフラッシュにしてみたんだ」


「この前より早摘みってことか?」


「そうそう。紅茶って言っても何種類もあるからね。色々と試してお気に入りを見つけるといいよ」


おきに、いり?俺が?俺の?お気に入り?すぐ壊れるのに?また壊される?

ああ、ヤラレルマエニヤレバイイノカ

段々と思考に霞がかっていく。


「はい、あーん」


「な、なに、むぐっ」


「美味しい?まだまだあるよ」


「いや、だからいらな、んぐっ」


何なのだこの神は。いつにも増してこちらの話を聞かない。抗議しようとしては口に突っ込まれ、更に抗議しようとしては突っ込まれるという悪循環。終わりの見えないそれに、俺は諦めて咀嚼に集中することにした。


「ん?」


代わりに半眼で睨め付けてみたものの、返ってきたのは変わらぬ微笑であった。舌打ち混じりに視線を反らした先にいた小鳥と視線がかち合ってしまい、これまた視線を反らす。そういえば、俺はついさっきまで何を考えていたのだろうか。


「何で反らすのっ?」


「喋った..」


「御上から支配権を奪ったからね!」


「手加減してもらっただけじゃないの?」


「うぐっ..」


小鳥、再び撃沈。

こっそりその体を視てみると、先程まで全体を覆っていた神の神気(青)が一部別の神気(緑)に侵食されていた。

薄々分かったかもしれないが、この小鳥、実はセイドと名乗った例の侵入者である。俺に名乗った途端、お仕置きと称して小鳥に変えられたのだ。どうやら『兄上』発言が気に入らなかったらしい。


「うん、目の使い方も結構上手くなってきたね」


「可視化は難しいけど慣れると便利」


神にはあっさりバレたので感想を伝えると満足そうに頷いた。もしかしなくても、セイドが小鳥にされたのは俺に視させる為だろうか。ということは、支配権を奪わせたのもわざとだろう。だとしたらあまりにも憐れだ。


「ちょ、ちょちょっと待った!今可視化って言った!?」


「それが?」


「まさか神気の事じゃないよね!?」


「そうだけど」


「...御上」


「何だ」


「私、兄上は神核生成からまだ一週間だと記憶しておりますが」


「その通りだ」


「何でもう()が使えてるんですかっ?」


「さぁ、何でだったかな」


「もしかして、この前の''汚点全滅事件''に兄上が関わってたりします?」


「.....」


「するんですね!あの事件で神界全体が大混乱になったんですよ!?」


「あそこまでやれるとは思ってなかった」


「分からずにやらせたんですか!?」


「腕試しに良いかなぁ、と」


「そんな理由で仕事をやらせたんですか!?」


「ああもう、煩いなぁ」


「ピッ!」


あ、戻された。

神がさっと腕を振った途端、より濃密な神気に包まれた小鳥。完全に(・・・)体の支配権が神に移ったはずだ。


「さてと、少年」


「何か」


「丁度良いから、少し神気の練習をしてみようか」


「まさか、コレ(小鳥)で?」


「そうとも。何度か僕達でやって見せたように、ソレ(小鳥)に干渉してごらん」


ほら、と小鳥を鷲掴みにした神は手中のそれを投げて寄越した。弧を描いて見事こちらの膝に落下してきた小鳥にはもはや意識すら残っていないようだ。


「なに、やる気がなければそれでも構わないよ。ただ、ソレは君が干渉しない限り元には戻れないだろうがな」


軽い脅しだ。ただし、俺自身には大した効力も無いが。今の俺に、この小鳥を元に戻せなかったとてさしたる不利益はないのだから。

音もなく立ち上がった神を追って視線が上がる。


「...今度は何処に?」


「実は、最低限の用事だけ済ませて戻ってきてしまったからまだやることがあってね。部下の催促も煩いし、さっさと済ませてくる事にしたよ」


「そうですか」


「そうだねぇ、ただ練習するだけじゃつまらないか。ふむ、じゃあこうしよう。今まで沈黙という賢い選択をした君へのご褒美を兼ねて、もしソレに干渉出来たなら、ソレに質問する事を許そう。僕のことでも、君のことでもね」


「.....」


「ふふ、どうせ暫くは戻らないからゆっくり考えて決めると良いよ」


ぽんぽん、と俺の頭を軽く叩いて神は姿を消した。

後に残ったのは冷めきった紅茶と菓子の山と、小鳥を膝に乗せた俺だけだった。



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