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うるさい客人

週一ぐらいで更新したいとは思ってる。思ってるのだよ..

先の見えない廊下に辟易しつつ、手元の紙を頼りに歩みを進める。等間隔で両側に並ぶ扉の向こうは、一つとして同じものはない。

そのうえ、実際に使っている部屋など十分の一にも満たないのだからこの上ない無駄だ。

更に、使われていないはずなのに埃一つなく清潔なままだ。薄々分かってはいた事だが、


「まさか、この空間全てを常に管理し続けている…?」


もし本当に、際限無いこの空間を

彼一人で維持しているなら。

それはあまりにも、『格が違いすぎる』

自分が未熟なのは事実だが、それにしても…


「やっほー」


「…」


バタンッ


今、何かが居た気もするが気のせいだろう。

言い忘れていたが、現在ここの主は不在だ。

どうしても外せない用事があるらしく、

泣く泣く出かけて行った。

今の俺になって初めての一人。

当然この機会を逃す手はないと、

ここの探索許可と地図を貰ったのだ。


「無視して閉めちゃうなんて酷いじゃんかぁ」


「幻覚?」


「いやいや、本物だって」


本物とは。偽物があるのか。

仮に主不在であろうが、あの神が作り出した空間だ。

人間はおろか、並みの神では視ることすら出来ないはず。

つまり間違いなく、この軽薄そうな顔をした男は並みの神じゃない。

俺よりも格上なんだろう。

だとしても、この男は侵入者(排除対象)だ。


「殺らなくちゃ」


「うわっ!?」


即席で創り出したナイフを手に間合いを詰める。

首元へ一直線に投げつけ、避けようと体を反らしている間に後ろへ回り込む。

再び創り出したナイフをその脳天に突き立てようとした瞬間、


「危ないなぁ、でも君じゃ届かないよ?」


男の神気に触れた途端ナイフは消滅した。

この男の言う通り、今の『俺』の刃じゃ届かない。


「知ってるよ(・・・・・)」


なら、ここのもの(あの神が創ったもの)を使えばいい。

袖口に隠してあったペンを逆手で驚きの浮かんだ眼球に…


「ストップ!!」


「っっ、」


急に背後に現れた気配にバランスを崩したものの、受け身を取る間もなく誰かの腕に抱きあげられた。


「ギリギリだったねぇ」


「なんで..」


「いやぁ、約束があったことすっかり忘れててね。コイツと二人にしちゃ危ないと思って慌てて戻ってきたのさ」


ぞんざいに示された先にはぽかんと口を開けたまま固まっている男。

腕の中で一瞥をやり、頭上へ視線を移す。


「この軽薄そうな顔をした男は貴方の…」


「ただの顔見知りだから覚えなくていいよ」


「そうですか」


覚えなくていいと言うなら覚えなくていいのだろう。

もとより覚える気も無かったので素直に頷く。


「ちょちょちょっと待って!?」


「一人にしてごめんね?何かされなかった?」


「別に、なにも」


「無視なのっ?」


「お土産買ってきたからお茶にしようか」


「紅茶?」


「そう言うと思って紅茶に合うケーキにしたよ」


「ごめん、ごめんなさい!言いつけ守らずに勝手に入ったの謝るから無視しないでよぉ…」


とうとう泣き崩れた男。

なんというか、


「「うざい」」


「ひどいっ」


「用が無いならさっさと帰ってくれるかな」


「はいはいわかったよ」


軽く髪を整えながら立ち上がった男は、薄い唇を歪めて恭しく一礼した。


「改めまして、御上の秘書官を務めておりますセイドと申します。お会いできて光栄です、兄上」


「…は?」


あに、うえ?

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