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すこしずつ話を進めていきます

家畜の糞の肥料化はクリストフが中心になってすこしずつ始まった。ということで今日はもうひとつの目標 時計の製作に取り掛かっている。

まずは歯車の材質だが木材でやってみるか。この世界では屋敷や砦などは石でできているが他の大半の家は木でできているし領内に何ヵ所かある水車小屋は木の歯車を使っている。耐久性という面ではわからないが歯車をつくる技術はあるからやりやすい。

金属を使う所は振り子の錘と動力にするための錘でそれ以外は木で出来そうだ。


「リュート 水車小屋の歯車を作ったのはだれだ?」

「水車小屋ですか? それならたしかエピネ村のダンが作っていたと思いますが」

「じゃあそのダンに依頼したいものがあるから明日来るように伝えてくれ」

「かしこまりました。ニースを使いに出します。」

「あっ リュート 硬めの木の見本を持ってくるように言っておいて」

「硬めの木ですね。いっておきます」


ふう 自分で買いに行かなくていいというのはいいな

そのかわり屋敷によびよせるので他の人にばれやすいというのは欠点だがな


とか考えていると ドアがノックされた

「エリク ちょっといいかしら」

「どうぞ 母上 なにかありましたか?」

「ええ すこし話せるかしら」

「わかりました マリア 果実水かなにか持ってきてくれ  それで母上 話とは?」

「ねえ エリク あなた豚の糞を食べようとしたって本当?」


「うっ  」マリアが果実水を持ってくる前で良かった。なにかを飲んでいたら間違いなく吹き出していただろう。


「母上 なんの話ですか」

「ああ かわいそうなエリク 頭をうっておかしくなってしまつったのね。あのねエリク糞は食べるものじゃないのよ。」

「ちょ ちょっと待ってください なんで僕が豚の糞を食べなきゃいけないんですか?」

なんかとんでもない誤解があるみたいだ。

「なぜってハンスとクリストフが話していたのを聞いたのよ あなたが豚の糞をって」

「いや たぶん勘違いですって どうしてそう思ったのか説明してくれませんか? 」


…………………………………………………………




結局 ただの母上の誤解だった。

クリストフと父上が肥料について話しているのを聞いて早とちりしたようだ。肥料について説明し勘違いであったことを伝えてもまだ信じなかったので最後には父上を読んできて説明してもらってようやくおさまった。それにしても実の母に豚の糞を食べようとしていると思われるのはさすがにつらいものがある。でもそれだけ心配かけてしまったということかもしれない。今度なにか親孝行でもしないとな。




翌日 俺は屋敷で木工職人のダンとあっていた。

ダンは50代半ばくらいの渋いオッサンでいかにも職人といった風貌だった。


「バーレン男爵が長男エリクと言う。今日はよく来てくれた」

うーん やはりこういうしゃべり方は疲れるな

「木工職人のダンと申します。お会いできて光栄です。」

「うむ 早速だが今日頼みたいのはな リュート」

「はっ」

リュートが机の上に図面を広げる。

「これはっ 歯車とこの 爪の付いた歯車?でございますか?」

「実は時を刻むものを作ろうと思ってな それは脱進機といって一定の間隔でまわるためのものなのだが、かなり正確ではないと回らん それに削れたりひび割れたりするのも困ると思ってお主に相談したくてな」

「それで硬い木をということで……」

「ああ 良い木はあるか?」

「硬くて削れたにくいとなるとこちらとこちらになります」

そういって持ってきた籠から木片を2つ取り出した。

「これだけか」

「はい これ以外はいずれも硬い代わりにひび割れやすいものばかりでして」

「して この二つの特徴は?」

「こちらの茶色いのがコイアの木でしてひたすら硬く加工もしにくいのですが頑丈さは随一です。一方こちらはニーの木でして硬いのですが水に弱く水と触れることが多いととくに腐りやすいです。」

「まあ 一長一短だな。コイアのほうは形が正確にしにくいがニーの水に弱いとなると湯気でも木が傷みかねないか。 よしわかった両方作ってみてくれ。もちろん代金は二つ分払おう。それからこの機械を入れる箱にあたるこれも作ってもらいたい。40日もあれば出来るか?」

「も もちろんです 是非やらせて下さい」

「ああ 期待している  あっそうだ これを使ってくれ」

用意していた定規を渡す。

「これは 定規 ですか」

ダンは不思議そうな顔をしている

「そうだ 渡した図面は全てそれを基準にしているから他のものを使うとずれが出るかも知れないからな」

「なるほど 不明にして思い至りませんでした」

「じゃあ頼むぞ」

「では失礼致します」



「ふうー」

ダンが出ていくとすぐに擬態モードが解けた

「どうだリュート なかなかそれっぽかっただろう」

「はい なかなか見事な出来栄えでした」

「でもさすがに疲れるな」

「エリク様 これからはそういう場面も増えるでしょうから今のうちになれていた方が良いかと」

「まあそれも一理ある そう言えば鍛冶屋に持っていった図面はどうだった?」

「はい 先程渡してきたらこれなら黄銅がいいと ひと巡りで出来ると」

一巡りは八日のことで一巡りが五回でひと回り40日そして十回り四百日と二日で一年402日となる。

「黄銅か まあ妥当だな もうすこしゆっくりやってもいいから出来るだけ完全な円になるようにと言っておいてくれ」

「わかりました 伝えておきます」

よしよし しばらくはやることもないから読書と散策でもするかな

「あっ そうです 旦那様からですが午後は毎日ルドルフと乗馬の訓練をするようにとのことです。 それから体も問題無さそうなので剣の方もとのことです」

「うっ」

「ではもう昼食の時間ですのでこれで」

どうやらしばらくは落ち着いて読書はできないようだ




糞の勘違いは実話がもとになってます

まあ食べるじゃなくてどろだんごならず糞団子作った疑惑だったけど




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