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街の散策

考証は適当です

調練場から南に下って市場を目指す。

市場が近づくとだんだんにぎやかになってくる。

「この辺りから市場だな。 この辺りは門から近いから肉や野菜なんかの悪くなりやすい食糧が多いんだ」

「なるほど 結構色々な野菜があるんですね」

ぱっと見ただけでもウリ系のもの、なすに似たもの、人参のようなもの いくつかの葉っぱ類が売られている。ここを見るとやはりドーパ村は田舎だなぁと実感する。ふと視線を向けると赤紫の葉っぱが積み上げられていた。

「店主 それはなんだ?」

「ん ああ これはえーと紫カンラン様とおっしゃいます?」

「ぶっ」敬語がむちゃくちゃだ。なんだ紫カンラン様って

「店主 今は敬語はいい 無理に使っても聞きにくいだけだ」

「すまねえな」

「それでその紫カンランっていうのは普通のとどう違うんだ?」

「ああ 最近見るようになった野菜でな 腐りにくくて苦味が少ない まあその代わり育てる時に水を多めに使うから育てるのは大変だな」

この色 アントシアニン系の色素か? だとすると

「店主 これを三十束売ってくれ」

「へい毎度」


銀貨を払って店を出る。

「エリク様それはいったいどうなさるので?」

「ああ バーレン領にもって帰る いつも領に来る商人に運ばせてくれ」




もう少し市場の奥に進むと保存のきく穀物が増えてきた。

「この辺りは穀物を扱う大店が多いんだ あそこを見て」

指された方を見ると石でできた大きな建物が等間隔で並んでいる

「あれは倉庫ですか?」

「ああ そうだよ あの裏には門から石畳が引いてあって馬車やロバが通りやすくなってるんだよ」

「なるほど」

とふと横を見るとなにかがこっちに突っ込んでくる

「エリク様!!」

バシッ

なにかは護衛の槍に阻まれて地面を転がる。

「エリク様! 大丈夫ですか?」

「ああ問題ない 義兄上は?」

「ああ こっちも大丈夫だ それよりこれだが」

地面に横たわっているのは12才くらいだろうか、まだ幼さの残る少年だ。そして地面に散らばっている

「なんだこれは」

「これはクエンの実だね」

何だかレモンににている。いわゆる柑橘類と言うやつだろう。


「こっちです あっ いました」

何やら商人らしき若い男が兵士を何人か連れてきた


話を聞いてみると少年がクエンを盗んだのを周りの人から教えられた商人が近くを通りかかった兵士に事情を説明して犯人を追いかけたそうだ。商人は兵士と俺たちににお礼としてクエンを配ると帰っていった。


「ちなみにこいつはこのあとどうなるのだ?」

隊長格の兵士に聞く。

「はっはい 今確認致します」

と言うと少年の背中をめくる。

「こやつの場合印はひとつなのでむち打ち50回辺りになるかと」

「印とはなんだ?」

「はい 死刑にならないくらいの罪を犯した罪人の背中に押すものでしてこれが3つになると死刑となります」

「ちょっと見るぞ」

確かに背中に×印がひとつある

「これは焼きごてか?」

「はい 刑罰もかねて行われます」

「説明ご苦労」

12才の子供にむち打ちか。現代の地球とは価値観が違うのだ。俺が感情で口を出すのは法を曲げる行為に他ならない。法を作る貴族自らが法を破れば誰がそれに従うだろうか?それに先人も言っている『仁あって人を殺せぬ者は将足り得ず』とな。

気を取り直して布地の市場を見る。

並んでいるのは麻の布が多い

あれはそめた羊毛のようだな さすがに絹はないようだ。

「世にも珍しい羊のなる木から取れた布地だよ 南方産だ 少々高いが着心地は麻とは比べられないよ」

食糧のところより呼び込みの声が多いな。それにしても羊のなる木とは不思議な木だな

「義兄上 羊のなる木なんてものがあるのですか?」

「ああ リコポデウムのことだね なんでもイーストリル王国のさらに南の島に生えているそうだよ」

「へぇー 一度見てみたいです」

「うーん 熱いところにしか生えないそうだから難しいかもね」

ゴーン ゴーン ゴーン  日暮れの一時間前の鐘の音だ


「エリク君 そろそろ帰ろうか」

「もうこんな時間ですか」



館に向かってゆっくり歩く。

「義兄上今日は案内ありがとうございました」

「いや こちらこそ なかなか楽しかったよ」

そう言って俺の頭を撫でてくる。

「あっそうだ 言ってなかったけど 街の東南の方にはあまり行かないようにね。」

「なにかあるんですか」

「うーん なにかあると言うより単純に治安が悪いんだよ」

「わかりました 気をつけます」

スラムみたいのがあるってことかな 

まあわざわざ関わる必要もないか




翌日 

昨日のうちに税の大型船への積み替えが終わったらしく父上たちは今日王都に向かうようだ。

「では父上お気をつけて」

「ああ 行ってくる」


お祖父様たちと船団を見送る。フラー伯領の税も同時に納めるのでかなりの威容だ。



見送りが終わったあとお祖父様に許可をもらって館の書庫に来ていた。バーレン領の書庫とは違い整っているし蔵書も圧倒的だ。


まさに知識の泉だ。


さーて どれから読むかな




紫キャベツの変わりにキャベツの原種のほうを紫にしてみました


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