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祝十話


フラー伯領へ その2です

次の日の朝いよいよ出発だ。昨日で全て滝の下に運び終えたようなので今日はほとんど手ぶらだ。


アドレ村を出て5分ほど歩くと砦が見えてくる。

「エリク あれがマドハル砦だ。今は専ら関所としか使ってないがな。 これでも一応領境だ。常に60人ほどが詰めている」


砦の横の道には木で柵が作られていて見張りの兵士が三人ほど立っている。マドハル砦をすぎると道は川から離れ細くて狭く急だ。所々階段になっている。それも自然に段になったもので整備されておらず足場が悪い。

「エレナ エリク ゆっくり降りろ 一昨日の雨でぬかるんでる」


三時間ほどしばらく歩くと不意に開けたところに出る。

「よし ここから船だ」

俺と母上が石に腰かけて休んでいる間に昨日のうちに積み上げてあった麦をいくつかの船に積み込んで行く。積み込みは20分ほどで終わり昨日より少し小さい船に乗ってバックミンを目指す。


景色は昨日とは違い 両側が山になっている。時折右の岸に道がはしっているのが見える。見たところ思ったより使われているようだ。

「父上陸路は使わないのですか?」

「いや この川は流れが速いから荷物を積むと登れなくなるだから帰りは空だな  あとはそうだな 家畜をのせることはできないからその時は陸だな  いつもくる商人もそうだ」

この川の速さは人が歩くより少し速い。確かにこれを荷物満載で漕ぐのは大変だ。




船に乗ってはや五時間 いい加減この景色が飽きてきた頃にようやく両側の山が開けた。

「そろそろ関所だな」



しばらくすると前方に木の柵が見えてきた。あれが関所か

「止まれ」

「バーレン男爵だ 王都に税を納めに行く途中だ」

「しっ 失礼しました」

「通っていいか?」

「あっ お待ちください 上の者呼びますので」


すぐに川岸の小屋から騎士らしき男が出てくる

「お待たせしました。 確かに男爵だ。 お通ししろ」



関所を抜けるとすぐに村が見える。見たところあまりアドレ村やドーパ村とは変わらないようだ。それにしてもこのパン固いな。今食べているのはいつも食べている小麦の柔らかいパンではなく、保存に有利な固くて酸っぱいパンだ。むせるので水筒から水を飲む。この水筒はククルの実というものの中の果肉を取り除いて乾かしたもので地球でいう瓢箪に近い。

「ふー」水を飲んで一息つく。二日も乗っていると船の旅もすっかりなれたものだ。







すーすー


あれ 目の前に母上の顔がそれに頭も何だか温かい

「あら エリク 起きた?」

母上に膝枕されていることに気づいて顔が真っ赤になる。あわてて体を起こす。昼を食べて暖かくて寝てしまったらしい

「エリク もう恥ずかしがっちゃって」

「は 母上 もう八才なのですから」

「もう こないだまで『おかあたま』ってよんでたのに」

姉上と同じことを言ってるな  母上と呼ぶようになったのは八才になってからだが『おかあたま』なんて舌っ足らずはせいぜい5才までだ。

「母上 それはそうと  バックミンまではあとどれくらいですか?」

「あら もう見えてるわよ」

母上が指した方を見ると石の城壁で囲まれた街が見えた。



バックミンのすぐ外の港に着くと父上より少し上の貴族らしき男が近づいて来る。

「お久しぶりです。バーレン男爵」

「一年ぶりだな ポステリオル男爵」

「ポステリオル男爵?」それってたしか

「ああ エリザの婚約者はポステリオル男爵の息子だ」

「君がエリク君か フラー伯領ポステリオル男爵という よろしく」

ポステリオル男爵が頭にフラー伯とつけたのは事情がある。断食には大きく分けて領地もちと領地なしがある。領地もちは例えばバーレン男爵のように国王から領地を与えられている男爵で領地なしは各地の公や伯に仕えて男爵位をもらったもので何々公何々男爵と名乗る。

「はじめましてポステリオル男爵 バーレン男爵が息子 エリク・フラー・バーレンです。」

「おお これは丁寧に  あっお嬢様もお久しぶりです」

そうか母上はもともとフラー伯の娘だからお嬢様呼びになるのか。

「久しぶりですね ポステリオル男爵 お父様はいるかしら?」

「ええ いらっしゃいます  ではこちらに」


ポステリオル男爵に案内されて馬車に乗り込む。少し狭いが何とか収まった。バーレン領には馬車はないので初の馬車だ。思ったより揺れるしそのわりにゆっくりだ。


門を越えると城壁の内側の町並みが見えてくる。思ったより木の建物が多い。というか民家はほぼ木製で下の部分が煉瓦になっているものがちらほらある。あるところを越えると急に石の建物ばかりになる。おそらく貴族街だろう。

貴族街らしきところに入って5分、馬車が止まる。

馬車を降りると目の前にドーパ村の屋敷とは比べられないほど大きな館が建っている。


「ようこそ おこし下さいました バーレン男爵」

初老の執事然とした男性が挨拶をする。

「おお サミュエル 案内を頼む」

「旦那様がお待ちです どうぞこちらに」


館の廊下を案内されて歩く。廊下のところどころに歴代当主の肖像が飾ってある。

「こちらでございます」


いよいよ祖父母との対面だ。

「あら エリク 緊張してるの」 

道中はそうではなかったがここまで来ると緊張する。

優しい祖父母であることを祈って一歩踏み出した。


うーん 話が進まない



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