デミタス・ハンバーグという騎士団長
「剣は相棒、思いが強ければ裏切る事は無い」
これは私が幼き頃にお爺様より教わった我が家の教えだ。ハンバーグ家は代々、騎士の家系で女である私も例外なく騎士となった。周りの女の子がお人形遊びをしているとき、私は剣を握り 周りの女の子が好きな異性を見つけ始めたとき、私は名工の剣の素晴らしさを父親から教わっていた。そして、父と同じように騎士から騎士団長になると私の回りに同性の友達はおろか、男の友達もいなかった。同性からは野蛮人といわれ、男からはゴリラ女、オーク女と陰で言われる始末。悲しくなり涙を見せると父は怒り剣を振れと私に言う。こんな生活が嫌になった時、田舎から騎士見習いの男が来た。
【ジョナサン】
彼は周りの噂など気にせずに私に声をかけてくれたのだ。だんだん彼を自分の団員の仲間という目線から、気になる異性という目線に変わっていった。ある日、父から縁談の申し込みの話が来た。相手はこの国のそこそこ名前が知れた貴族の息子だった。気乗りしないままその息子と顔合わせをし、あとは若いもの同士で…という流れになった。国の流儀でこうなると男のほうがデートに誘う物である。私も誘われかれこれ2時間も待ったが奴は来なかった。雨も振り出したとき、その人が現れた。
「団長、風邪をひきますよ。傘をお持ちしたので使ってください」
巡回中のジョナサンだった。もうダメだ。私はこの男しか今後、二度と異性を好きになれないだろう。剣術のLvがMAXでも努力を怠らず、我が家系に現れるLv限界突破の兆候も見られる。だがあいつには好きな相手がいるそうだ。自分の胸の中のモヤモヤを打ち消す為にひたすら剣を振るうと父が来た。
「デミタス、剣に迷いが見られるな。どうした?」
「何でもありません!」
「そうか、いい話があったのだがな」
「?新しい剣でも手に入ったのですか?」
「これだ」
見せたのは何処にでもあるような短剣だった。
「これは?」
「これは曾々々祖母さまが使用していた武器だそうだ。倉庫を掃除していたら出て来たのだ。同じ女なら使えるのではないかと思ってな」
受け取った私はその剣をまじまじと見た。何処にでもある短剣にしか見えない。しいて言うなら騎士団員に配給している短剣と瓜二つというところだろうか。柄を握ると頭の中に声が響いた。呪いの道具かと思われたが違った。
『剣を握りし我が血を引く子女へ。この剣を思い焦がれる者の血をすわせ1年肌身離さず携帯せよ。さすればその者はお主を愛するだろう。だが恋敵がいる場合はこの剣は、お主が思う相手の度合いによって如何なる名工が打った剣すらかなわない得物になるだろう。これで排除せよ ~チーズ・ハンバーグ~』
ありがとう、ご先祖様。貴方様のお陰で私の胸のモヤが晴れました。そうですよね、邪魔者は排除してしまえばいいんですよね。次の日、模擬戦と言い訳をつけてジョナサンの血をたっぷりと短剣に吸わせた。くふふ、1年後が楽しみだ。
だがそう上手くはいかなった。魔王退治になぜか私も同行させられることに決まったのだ。本来なら父が行くべきなのだがあの…名前が思い出せないがそいつが駄々をこねたそうだ。剣の錆びにしてやろうか?
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旅を続けて半年がたつ。短剣からジョナサンの氣が感じる。これだけで生けていけそうだ。だが邪魔者を排除したいがなかなか隙がでない。まぁ、あの…名前が思い出せないがそいつがチョッカイをかける性なのだが。まぁいい。早く魔王を倒しにいこうか!
to be continued