20-1
1か月ぶりくらいの主人公の登場となります
ID422XXXニキ、誤字報告ありがとうございます。
お手数をおかけして申し訳ないという気恥ずかしさとともに感謝の念にたえません。
誤字報告には返信ができないようなので多分、先回りできてるんじゃないかなぁとこの辺にお礼を書かせてもらいました。
バーベキューの時の流れ星みたいなヤツ、明智君は地球外の技術の大気圏突入艇だって言ってたけど、災害対策室に通報したらレーダーには捉えられていないって言われてビックリしたっけ。
何がビックリしたかって、あんだけ盛大に流れ星みたいに尾を引いて目立っておいてステルス性は気にしちゃう感性にかな。
とりあえずスマホで動画を撮影して災害対策室に送信して、あとの調査は災害対策室の人たちに任せて僕たちはバーベキューを続けたよ。
天童さんと三浦君が釣り上げてきた川魚は三浦君持参のハーブ入りの塩でホイル包み焼きにして食べたら美味しかったっけ。特に真愛さんとマックス君は初めて川魚を食べたみたいで興味深々みたいだった。僕もどこかの道の駅で串焼きで売ってたニジマスを食べたことはあったけど、ホイル焼きというのもまた別格だと思う。なんというか蒸されているから川魚の身の柔らかさがダイレクトに伝わってくるね。
まあ調理前に抜いた内臓に原形がはっきり分かる形で虫が入ってるのはちょっと嫌だけど、食べるのは身だけだし、よく熱を通せば大丈夫だよね?
それから締めは焼きソバ! コンロの網を半分、鉄板に交換してからイカ入りの焼きソバを作って食べたら、これがもう最高で、アーシラトさんも「酒のアテにいい!」ってチビチビとイカやソース味の染みた麺をつついてたっけ。
どうでもいいけどアーシラトさん、中東出身の割に箸を使うのが上手いね。日本に住んで長いんだから当然と言えば当然なんだけど意外だったな。魚とか手掴みでムシャムシャ食べそうな見た目してるのに、まぁ、熱いか!
そんなこんなで食べきれるかな?って思ってた食材もほぼ終わり、無事にお開きとなった。アーシラトさんは飲み足りないのか帰りのコンビニでお酒を買ってたけど。
色々とあったゴールデンウィークだったけど、こうやって友達と美味しいご飯も食べられたし良かったんじゃないかな? GW前半のアレも「ボランティアやってました!」って言い張れば普通の学生っぽいでしょ?
ゴールデンウィークも終わり月曜日。
登校して教室の自分の席で授業の準備をしていた僕に明智君が話しかけてきた。
「誠、おはよう」
「明智君もおはよ!」
「これ、カーチスさんがお前にお土産だってよ」
「わ~い!」
明智君から渡されたビニール袋の中には包装紙に包まれた大きいけど薄い箱が入っていた。よくある土産物のお菓子の箱のようだ。
だけど気になることが一つ。
「で、ところでさ?」
「うん?」
「カーチスさんって誰?」
「え?」
「え? じゃなくてさ。僕もお土産貰ったらお礼を言いたいじゃん?」
明智君の反応はまるで僕が予想外の反応を示したみたいだった。
「だ、誰って誠、ビートルレスラーの変身者じゃないか!?」
「うん? あの人は斎藤さん……。ん? 下の名前? えっ!? あの人、ハーフなの?」
「そうだよ。ちょっと彫りの深いただのオッサンだけどハーフだよ……」
「へぇ~! 知らなかったなァ……」
「…………」
「……?」
何やらまだ明智君は言いたいことがあるような。ただ明智君が言うのを躊躇ってるってことは言わなくてもいいようなこととか、蛇足な事だったりするのかな?
でも、そんな顔をされたら僕も気になってしまうよ! というわけで明智君に話を促してみることにする。
「どうしたの? 思わせぶりな顔をしないでよ。気になっちゃうよ!」
「ああ、スマン、スマン。いや、なんていうかホントにど~でもいい話なんだけどな……」
「うん?」
「カブト虫の古来の呼び方でサイカチ虫ってのがあるんだけどな……」
「え? もしかして……」
「うん。多分、誠の想像通りだと思うぞ。斎藤カーチスさんが変身するビートルレスラーは……」
「“サイ”トウ・“カ”ー“チ”スだからサイカチ虫でカブト虫モチーフって事?」
僕の言葉にコクリと頷く明智君。
しょうもな!!
「……あと、これは知ってたか? カーチスさんがハーフなんで思いだしたんだがな……」
「なに?」
「ジャスティスマンティスの変身者のリーさんは中国人じゃなくてアメリカ国籍だって……」
「あっ、それは知ってた!」
リーさんは所謂、華僑の母と、華僑とアメリカ人のハーフの父を持つ中国系アメリカ人で、見た目がアジア系のためにあまりアメリカ国籍だとは世間一般には知られていない。
「うん? ああ、それは知ってたか」
「まあね。自分のコードネームでドヤ顔で“ジャスティス”なんて名乗っちゃうのなんてアメリカ人ぐらいでしょ!?」
去年、埼玉で話した時に聞いた話だとリーさんの名前も「李」ではなくて、アメリカ人の「Lee」らしい。
「ん? なんだ、お前、ジャスティスマンティスさんに苦手意識持ってると思ったら、そういうことを意識してたのか?」
「んん……。そういうわけじゃないんだけど……」
「じゃあ、何でだ?」
う~ん。これは別に苦手意識ってのとはちょっと違うんだけどなぁ~。
「……え~と、ジャスティスマンティスさんってカマキリモチーフじゃない?」
「うん。そうだな」
「だから僕と武器が被るんだよね!」
「被るって……。誠の鎌は“サイズ”で、ジャスティスマンティスさんの鎌は“シックル”だろ」
明智君は物凄い呆れ顔をしていた。まあ、そりゃそうだろう。多分、僕も立場が逆なら呆れるようなレベルの話だ。
「……まぁ、僕たちも分かってはいるんだけどさ。それでもお互いに距離を置くっていうか、微妙にギクシャクしてるっていうか……」
「ギクシャクしてるって……」
「いやいや! そんなに問題は無いよ? ただ、まあ、どこかで一緒になってもお互いに敬語で話すぐらいの距離感?」
去年、埼玉で共闘して以降、ジャスティスマンティスさんとは2度ほど共に戦ったけど、この敬語の距離感は縮まることは無かった。加えてジャスティスマンティスさんは僕よりも結構な年上だというのに敬語で通してきている。彼の正確な年齢? この距離間で歳とか聞けるわけないじゃん?
「そ、そうか……。武器被りとかお前らも大変だな……」
「まあ、これが剣とか銃みたいなメジャーな武器なら気にならないんだろうけどね」
「そういや、誠も銃を使うのに譲司さんとは仲、良かったしな」
とりあえず斎藤さんのお土産の包装を解いて中を確認してみる。中身は予想通りにお菓子で、ハワイ土産の定番のマカダミヤナッツ入りのチョコレートだった。
隣の席で分け前にあずかろうと天童さんが熱い視線を送ってきているので、促されるように中を開けてみる。
「お~! いっぱい入ってんねぇ~」
天童さんが横から覗き込みながら歓声をあげる。
箱の中身は個包装された大きなチョコレートがみっしりと入ってみた。裏を見て内容量を確認してみると、ちょうどクラスの人数+1個の個数が入っていた。
クラスの皆に1個ずつ配って、最後の1つは担任の安井先生でいいかな? ちょうどSHRの時間にすぐなるし。
案の定、チョコを配り終えた頃には予鈴が鳴って安井先生が入ってきた。
僕が事情を説明すると、「ありがとう」と気さくに礼を言ってそのまま教卓の上のチョコの包みを破って口の中へ放り込んだ。職員室に戻ってから食べればいいのに……。そのまま安井先生はモゴモゴと口を動かしながら出欠をとりはじめたのだ。
僕も自分の分のチョコを昼休みにお弁当の後に頂いたけど外国のお土産で、しかも結構、大きなチョコなのにそこまでクドい物じゃない。それでいて日本で売ってるチョコとも違う異国感もちゃんとある。これ、お高いヤツだったりするのだろうか?
僕が当直任務を受けないで他の代わりも見つからなかったらビートルレスラーさん、妹さんの結婚式に出られないかもって聞いたけど、そのせいか随分といいお土産を頂いてしまった。今度、会ったらお礼を言わないとね。
そして月曜日の午後、5、6時限目は体育だった。
週末の体育祭を控え、2時間続けての体育だ。
行進の練習に始まり、全員参加種目、続けてそれぞれの個人種目の練習に移る。
今日の気温は30度を超え、日差しも中々に強かったので休憩を適時取りながらのつもりでも、結構な汗をかいてしまった。
改造人間の僕でもそうなのだから、生身の皆もそうなのだろう。……まあ三浦君だけはサウナ行ってきたの? ってくらい汗をかいてたけど……。
ちなみに僕が生身の人間のように汗をかくのは、僕が暗殺用の改造人間ベースで作られたからで、敵地に潜入した時に周りの人から不自然に思われたりしないようにとの配慮らしい。
そういう配慮ができるなら、そもそも人を拉致して勝手に改造するとか止めて頂きたい。まぁ、もう全滅させたけど。
帰り道、皆で三浦君チでゲームしていこうって話になって、一緒に校門を出たところで僕は意外な人に出会った。「再会した」というべきかな。
「あれ? 犬養さん?」




