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引退変身ヒーロー、学校へ行く!  作者: 雑種犬
第3話 男子高校生が深夜に見るビデオとは!?
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3-1

『民明プロダクション ロゴマーク』


 白浪が唸る、耳障りなヘリのローターとエンジンの轟音。

 やがてカメラのフレーム一杯に、いや収まりきらないほど超巨大航空母艦が飛び込んでくる。空母は荒波を物ともせずに大海原を突き進む


「皆さん! 私は今、東北地方沖の上空のヘリにいます!ご覧ください! ARCANAの巨大空母は刻一刻と本州に接近しています!現在、自衛隊の対艦ミサイルは全て迎撃され損害を与えることはできていません!」


 声を張り上げるレポーター。ヘリの轟音に掻き消されまいとするためか、迫り来る危機を目にしてか。

 ふいにカメラが向きを変える。

 水平線の彼方より黒い飛行物体が空母に迫る。青い光を発しながら迫る物体に対し、空母からはビームとミサイル、機銃による迎撃が行われるが命中弾を得るとこはない。


「アレは!?速すぎてカメラに捕らえきれません!!」


 物理法則が怪しく思える回避運動を取りながらも空母へ接近。ついに甲板上に降り立ったそれは人の形をしていた。


「デビルクロー!?デビルクローが現れました!!先程の飛行物体はデビルクローです!」


 レポーターが彼の名を叫ぶ。何度も。寄る辺無き弱者、戦う力を持たぬ者には、それだけができる事かのように


 逆立って風に逆らい棚引く黒髪。

 斜めについた小さく丸いカメラアイは緑に光る。

 肩と膝は山羊の角を模し、指先は鋭い。

 全身を覆う装甲は甲虫を思わせる艶を出している。


 デビルクロー、それが彼の戦う時の名だ。

 タロットカードの大アルカナ15番目のカード「悪魔」をモチーフにした改造人間。

 その名の如く禍々しい姿をして、その名の如く創造主(ARCANA)に反旗を翻す。


『BGM 「斗え!デビルクロー!!」アコースティックVer』

『数秒毎に画面が静止し、クレジットタイトル』

 甲板上に降り立った(デビルクロー)にARCANAの尖兵ロボットが大挙して襲いかかる。

 肘打ち、正拳、裏拳、回し蹴り、飛び膝蹴りに背負い投げ。

 デビルクローがその力を振るう度にロボットがスクラップへ姿を変えていく。

 頭上から空戦ロボットたちの強襲!腰のホルスターから引き抜いたモーゼル風のビームマシンピストルの連射に、空戦ロボットたちはデビルクローにたどり着く前に全滅する。

 エレベーターから姿をあらわした重爆ロボットが迫る。


「ハっ!!」


 気合いを発して自身の5倍近い巨体の胸元に飛び込む。


「デビルクロー!パンチ!!」


 発声と共に指先に展開したエネルギーフィールドで巨体の胸板を貫き、勢い余って自らの体ごと突き抜ける。そして腰を深く落とした状態で着地、フルパワーで稼働を始めた冷却機の熱風で長髪を棚引かせゆっくりと立ち上がる。

『BGM ここまで』


「……何度も言ってるけど、それは(パンチ)じゃなくて貫手(スピアーハンド)だよ。兄さん」


 いつの間にか(アイランド)型艦橋の上に一人の子供が立っている。一見、女の子とも見まごうほどの低い背と整った容姿、中性的な声、しかし、デビルクローはその子が男であることを知っている。

 その子は彼の実の弟だった。


「そうは言うけど、誠。子供が俺の真似してるのを見ると、兄ちゃん、コレでいこうと思うんだよな」

「いや、子供が真似するって突き指の危険があるから止めてください」

「おっと、危険な事する悪い子なら、ここにも一人いるじゃない?」


 デビルクローの挑発にも弟は動じる様子は無い。


「ふんっ!「一人」じゃなくて「一体」さ。それよりもどうしたの?ずいぶんと遅かったけど。もう3日くらい前から歓迎の準備してたのに……」

「そいつは済まなかったな! 道に迷ってニューギニアに着いちまったんだ。」

「……兄さんはGPSとか自動航行機能(オートパイロット)とか使っちゃいけない宗教にでも嵌まってるのかい?」

「ナンダソレ?」

「…………折角、『皇帝』に改造して頂いたというのに。書き換える脳味噌が元々、入ってないから洗脳が効かなかったんじゃないの?」

「俺に洗脳が効かないのは、お前の顔を真正面から見れないような生き方はしないって刻んでるからさ。脳味噌じゃなく心にな!」

「へー、すごいすごい。じゃ、そろそろ殺しあおうか。兄さん!!」

「来な!誠、今日こそお前を分縛ってでも連れて帰ってやるぜ!」

 

 ビシッ!と実の弟へ人差し指を突き付けるデビルクロー。弟が肘を曲げ腕を曲げる形を取ると、手首に無骨なブレスレットが表れる。


「変身!」


 ブレスレットに嵌められている円環「ホイール・オブ・フォーチュン」が光を集めながら猛スピードで回転を始める。光は闇を引き寄せ少年は闇に包まれる。闇が晴れた時、そこにいたのは大鎌を携えズタボロのマントを羽織った死神であった。


 ヘリのカメラがズームして死神を大写しにする。死神が大鎌の柄を肩にかけたところで画面がノイズ混じりに暗転。


『タイトル挿入 「復讐の死神 デスサイズ」』

『BGM 「Black Death」by Black blue fish』

特撮ヒーロー物の変身シーンって大好きです。

マコっちゃんの初変身シーンは悪堕ち状態になっちゃいましたけど。

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