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引退変身ヒーロー、学校へ行く!  作者: 雑種犬
第23話 わんだばだばだば!
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23-3

「……ねぇ、明智君。長すぎない?」


 様々な官庁や企業などのロゴはまだ出続いている。

 自衛隊とか警察は分かるよ。外に戦車があったもの。人海戦術で警備網をしいてくれてるんでしょ。

 重工業や兵器産業に携わる大企業や建設会社もまだ分かる。ドラゴンフライヤーの周囲で作業をしてる人たちでしょ。

 でも今、画面に流れてきているのは大手飲料メーカー、この前は大手製パン会社だった。


「……俺もそう思うんだけどなぁ……。この資料を作るのを手伝ってくれた人が内閣府のお役人さんでなぁ。そういうの協力先は全部、載せなきゃ駄目だって言うんだ……」

「へぇ……。ん? じゃ、パン屋さんとかも?」

「ああ、外にヒーローが大勢いただろ?」

「うん」

「アクアファイターさんとB.D.S.F.A.Rも来てるんだけど、見たか?」

「見てないけど、ああ、それで!」

「そういうことだ。お前らも後ろに積んであるのは好きに飲み食いしていいぞ」

「どういうことだ?」


 天童さんが分かっていないようなので説明してあげるとしよう。

 アクアファイターさんは某大手飲料メーカー広報部所属のヒーローで、パワードスーツを使用するものの戦闘能力は高くない。だが救助活動などで定評のあるベテランヒーローだ。

 B.D.S.F.A.Rは某大手製パン会社の保有する人間より少し大きいくらいのロボット。こちらの戦闘能力は皆無だが戦地であろうが大災害の被災地であろうが確実にパンを届ける能力を有している。その名前はブレッド・デリバリー・システム・フォー・オール・レギオンズの頭文字だそうな。

 そして会議室の後ろにはパレットや段ボール箱で大量の飲料品やら菓子パン、総菜パンが積んであった。彼らが持ってきてくれたのだろうね。


「へぇ~! でも話を聞くだけじゃ大して強くなさそうだけど大丈夫なのかよ」

「彼らも要救助者の捜索のために結構なセンサー類を持ってるからな。何もオフェンスだけが必要な仕事じゃないさ。それに彼らだけじゃない。今回の作戦においては連絡の取れる日本中のヒーロー、それに各国も協力してくれている」

「マジか! 凄えな!」

「それもこれから説明してやるさ。……お、そろそろいいな……」


 明智君がノートパソコンを操作すると画面の左に僕たちがBBQの時に見た流れ星のような物の画像が、画面の右にはその後にアカグロとかいう営利目的犯罪集団が銀河帝国の名を騙って地球に送ってきた通告の文面が表示される。通告の方は音声もだ。


「……と、こんな具合で日本政府は俺たちが見た大気圏突入艇で地球に逃れてきたラルメ皇女をテロリストとして捜索していたわけだが、その時の事は草加会長以外の皆は犬養さんの話で知っていただろう?」

「まあ、地球が破壊されるって話になってるとは思わなかったけど……」


 なんでも異星人の巡洋艦が惑星破壊爆弾なる超兵器で地球を狙ってる事を公にする事は破滅的な混乱をもたらす事が予想されたために伏せられていたそうだ。

 そりゃそうだ。惑星破壊爆弾だなんて名前だけでその効果が分かる、ある意味で優しい物の存在を公表してしまったら自暴自棄になってしまう人はいくらでもいるだろう。


「ま、そんなわけで広い地球のどこにいるか分からないテロリストを1週間で捕まえられるか分からなかったので元々、迎撃手段は用意していたんだがな。もちろん交渉を最優先事項として……」

「それが外のドラゴンフライヤーと背中のミサイル?」

「半分、正解だ。背中のアレはミサイルじゃない。アレはロケットだ。誠が乗りたがっていた、種子島から運んできたな……」

「ああ、だから今、種子島に行ってもロケットは無いって……」

「その通り」


 話が変わったのが昨日か今日の時刻が変わった前後だったらしい。

 なんでも巡洋艦が完全に掌握される前に艦内のマスティアン星人なる種族が彼ら独自の通信法であるテレパシーで銀河帝国に通信を送り、銀河帝国のマスティアン星人から地球のマスティアン星人にテレパシーが送られ、そのマスティアン星人が事態を知らせるために深夜にもかかわらず政府機関に駆け込んできたそうな。


「ふ~ん。でもさ、よくそのマスティアン星人とかって地球にいたよね? 少数民族なんでしょ?」

「それは確かに幸運だったな。なんでも地球で仏教の修行してるらしいぞ」

「はぁ? マジ?」

「マジも大マジだ。ZIZOUちゃんさんとこの寺に世話になってるらしくてな……」


 銀河帝国って何万光年も遠くにある国なんでしょ? そんな所から修行に来るとか、お釈迦様凄いな!


「まあ、そんな事情で地球にいるわけで遠くの仲間にテレパシー通信で仏教の布教をゆんゆんしてたらしいぞ。そういう事で向こうのマスティアン星人も地球に同種族がいると分かってテレパシー通信を送ったわけだ」


 うわぁ……。テレパシーで布教されるって何ソレ? 想像するだけでなんかヤだ! 電話とかメールと違って受信拒否とかできないでしょ? テレパシーって……。


「という事で宇宙巡洋艦がアカグロという犯罪者集団に乗っ取られていると分かったわけで、政府は交渉を継続してるフリをしながら巡洋艦を撃沈する事に決めたわけだが……」

「わけだが?」

「昨日の内にアカグロの物と思われる大型降下艇がこのH市に降りている事が判明した」

「えっ?」


 それじゃ外の戦車やヒーローたちは異星人の妨害を阻止するための護衛なのかな?


「敵の目的だが皇位継承者のラルメ皇女を殺害して銀河帝国へ政情不安をもたらす事だと推測されている。あわよくば生け捕りにして身代金をブン取ってから殺すつもりなんだろうがな。そういう訳で敵の降下の目標はラルメ皇女だが、俺たちが巡洋艦を沈めようとすれば当然、それを阻止するために動く事は予想できる……」

「ど、どうするの?」


 確かに蒼龍館高校周辺の警備は物々しい。

 だが異星人と地球人の技術格差はそんな警備など物ともしないかもしれない。なにせ地球人の作るロケットの燃料はひどく不安定ですぐに爆発してしまう代物なんだ。遠距離狙撃1発で僕たちは宇宙へ行く手段を失ってしまうかもしれない。

 だけど明智君は僕が思いつくような不安要素なんかすでに対策済みだったようだ。


「対策としては2つ。まず1つはロケットを隠す事」

「あ、あんなデカい物を隠せるの!?」


 全長80メートル以上のドラゴンフライヤーもそうだけど、その背中に乗ったロケットも負けず劣らずに大きい物だった。そして周囲で作業を進める大型クレーンや高所作業車なんかも背が高い。

 とても隠し通せるとは思えない。


「無理だと思うか?」

「無理だよ! それこそ魔法でも使わない限り……」

「魔法を使わない限り無理か……。なら使おうぜ!」

「あっ!」


 明智君が言わんとしている事に気付いてマックス君と山本さんを見る。

 2人は得意気な顔で笑顔を浮かべていた。

 魔法使い、いるんだった。それも知り合いに。


「蒼龍館高校のある山の中に要石を用いた結界を張ってな。そこに気配遮断の魔法陣を展開してある。今は結界への魔力供給はアーシラト殿が担当しておる」

「私たちも色々と手伝ってるんですよ! オジキさんが来るまでは私が宇宙に行くかもしれないからって、私は魔力を温存してますけど……」


 山本さんが! ん? それじゃ「プランA-893」の893ってヤクザの事か! 安直すぎる……!


「で、もう1つの対策だがな。ラルメ皇女本人と少数のヒーローに陽動役になってもらう。陽動だと異星人に気付かれないように情報を伏せたままな!」

「……情報を伏せたままって大丈夫なの?」

「大丈夫、大丈夫。……とは言い切れないがな。皇女が持ち込んだ案件だ。少しはリスクを分担してもらおうぜ」

「ええ……。よほど腕に覚えのあるヒーローが護衛を担当しているんだろうね……?」


 昨日、降下してきたという大型降下艇がどの程度の物かは分からないけど、それでも「大型」というくらいなんだから多数の兵隊を乗せているのだろう。もしかしたら大型兵器も搭載しているかもしれない。

 そんな敵を相手に事前情報無しでラルメ皇女を守り抜けるヒーローなんてそうはいないんじゃないかな?


「ああ、現在、皇女は天昇園にいることが分かっている。そしてブレイブファイブの5人にも偽情報を流して天昇園に向かってもらう」

「て、天昇園!? 大丈夫なの!?」

「ん? 誠も知ってたか?」


 ゴールデンウィークの後半に市災害対策室の当直任務に就いた時、天昇園という老人ホームの戦車部隊については目撃していた。

 旧式の今にも壊れそうな戦車に乗っていたのは骨と皮ばかりといった具合のお爺ちゃんだった。とても異星人の犯罪者集団と戦えるとは思えない。


「知ってるけど無理っぽくない? 銀河帝国とか結構、ヤバめの国なんでしょ? 皇女様に何かあったら地球が危険で危ない!」

「大丈夫、大丈夫……」

「ホントに!? ホントに大丈夫なの!?」

アソコ(天昇園)に関しては心配するだけ無駄なんだよなぁ……」


 そういって明智君はそっぽを向いてしまう。

 その姿はそれ以上の説明を拒否するものだったけど、なんというか明智君にも理解できていない存在について聞かれているような哀愁の漂った横顔だった。


「……まあ話を元に戻して、皆様、お待ちかねの作戦プランをこれから説明するぞ!」




 明智君がノートパソコンを操作して図説を交えながら説明してくれた内容は以下のようなものだった。


 1.ドラゴンフライヤーはロケットを搭載して高度100kmまで上昇。なお迅速な上昇を可能にするために蒼龍館高校周辺の魔法陣で「浮上」の大規模魔術を併用する。

 2.高度100kmでロケットに点火。高度500kmで左右両サイドのブースターを投棄し、3段目と分離。3段目は降下艇を展開して戦闘の余波に巻き込まれないように地球の陰に隠れる。

 3.2段目には迎撃機へ対しての護衛が展開しているために1段目との分離は任意のものとする。

 4.1段目に搭載されている蒼龍館高校技術部が制作していた宇宙用スクーターを改造した対艦攻撃機に僕が乗って巡洋艦を沈める。

 5.僕と護衛は降下艇まで戻って地球へ降下する。


 うん! 凄い大雑把!

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