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第2話

さて、今僕とユーリは街に来ている。家から一番近い街だ。一番近いと言っても、家から歩くと‪3時‬間かかるところにある。けれど、僕たちはいちいち歩いていくという原始的な方法をとるのではなく転移魔法で一瞬で街まで行ける。2年間魔法を教えていただけあって、ユーリはもう一人前と言っていいくらい魔法が使える。転移だってお手のものさ。


「うわぁ……!!」

愛弟子は目を輝かせ辺りを見回した。まぁ当然の反応だろうねぇ。

あの森とは比べられないほど開けた土地に、沢山の店やら宿屋やらがあるのだから。

「こっこれがあのブレスレットですか師匠?!」

ユーリが目をつけたのは綺麗な青い石で出来たブレスレット。

それは写真を見せた時に、ユーリが物凄く食いついていた物だった。

確か昔このような青い宝石を見た記憶がある、と言っていたような。

そして実物を見たユーリは感銘を受けていた。

「あぁ、買ってあげようか?」

考えるのは後にしよう。生真面目なこの子がこんなに子供っぽいのもレアだしね。

「えっあっいや師匠に買ってもらうわけには…その」

口から出る言葉は否定しているがその視線は完全にブレスレットに行っている。

僕はユーリの頭を軽く叩くと「これ下さい。」と店の主に金を渡した。

「毎度ありがとう。」

主は満面の笑みで商品をユーリに渡す。

「あ、ああありがとう……ございます!」

ユーリは心底嬉しそうにそのブレスレットを腕につけた。

その後も街を周り、色んな店を見た。

ただ僕はもっぱら盆栽のお店見てたけど……。

そろそろお昼時か、という時にふいに後ろから声が聞こえた。

「あれっシエルさんとユーリ君?」

「やぁ、タカ」

それはいつも僕らの家に食材を運んでくれているタカだった。

愛用のほうきに乗っているのはもはやお約束になっている。

「二人共珍しい……っていうかユーリ君に至ってはここに来るの初めてじゃないか?」

「うん、良いサプライズになるだろうと思ってね。」

「さすがシエルさん、変わってないね、そういう所。」

タカはユーリが来る前から友好関係があったから、無論昔の僕の事も知っている。

ユーリには、話したことはないけれど。

「そういうタカも、相変わらず転送魔法が出来ないじゃないか。」

僕も負けじと言い返す。

「ちょっ…それはユーリ君の前で言わないでくれよ!」

「タカさん……転送魔法出来ないんですか?!」

そぅらユーリも食いついてきた。

タカは完全に焦燥の表情に覆われている。しかし

「ぼっ僕はほうきに執念をかけているから…!だっだから転送魔法を練習する時間がなかったんだ!」

と苦し紛れだが全うな返事を返してきた。

「確かにタカさんほうきの扱い凄いですよね…!」

あ〜あ…ユーリまで納得してしまった…

こっち見てドヤ顔してるし…

と、タカは何かに気がついたようで短く声をあげた。

「そういえばさ!シエルに渡して欲しいってエバーノの奴が…」

言ってたんだけどよと言いつつ、ポケットを探り圧縮魔法で小さくなったであろう何かを取り出す。

エバーノは時たま連絡を寄こす僕の腐れ縁の悪友だ。

何回かは僕の家に遊びに来る奴だからユーリも知っている。

受け取った僕が解除魔法をかければ、それは少しずしりと重い。

それは。

「……宝箱ですか?」

綺麗で細かな装飾が施された箱だ。

確かにダンジョンなどで見かける宝箱と目の前の箱はそっくりではある。が、これはおそらく彼のいうあの子関係の何かだろうそう思い、箱を開ける。

「スッゲー!」

覗き込んだ宝箱の中身にタカは目を丸くした。

ユーリも横で興味津々に覗き込む。

僕の開けた箱は二重構造で上に3つ、下に3つの大粒の宝石が入った宝石箱だったのだ。

そしてどうやら宝石箱の中には宝石だけではなくメモも残されていたらしい。

ユーリが取り出して読み上げると次のようなことが書かれていた。

「『ちょっと旅に出て行くからそれまでこの子のことよろしく頼む。』と書いてありますよ…師匠…」

げんなりとでもいうようにユーリは私に向かう。

「おそらく奴のドールだな!」

タカの言ったドールとは魔導式のカラクリ人形のようなものだ。

エバーノといえば宝石ではなくドールを日々製作し、性能向上に余念がない奴だ。

だから彼のドールは非常に高品質で自立式稼働も可能であることに加え、魔法も使えちゃう優れものだ。

前は4体いたはずだが、もう2体造っていたようである。

大方、ドールを圧縮魔法で圧縮したのちに軽い封印魔法で宝石の中に封印したという寸法だろう。

僕にかかればこんなことも分かっちゃうのだ!

はてさて今回の旅も何しに行くことやら。

これに関してはタカも知らなかったようだし、今日街に出ていなくてもきっとタカが家に来た時にこの箱を渡されていたから結果オーライ!と思っておこう。

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