猫さんと鮭おにぎり
エピソード.4猫さんと鮭おにぎり
「あ~。今日もいい仕事なかったな。」
職安で仕事探しをした帰り道。今日は気分転換に公園で昼食をとることにした。今日は、紅鮭おにぎりだ。自動販売機で買ったお茶を飲みながらおにぎりを食べ始める。
「旨い。やっぱり鮭はおにぎりの王道だな。」
おにぎりを食べていると、鋭い視線を感じた。
「にゃー。」
「あっ!猫だ。」
私の足元に痩せた黒猫がいた。
「にゃー。にゃにゃー。」
「なんだ?お腹空いているのか?」
私は、おにぎりの鮭を一切れ黒猫にあげた。因みに…私は、猫好きだ。この世界!いや、この宇宙中の全ての生物の中で猫こそが一番可愛い生き物だ。黒猫は私が、差し出した鮭を加えた。
「さあ、遠慮しないでお食べ。」
喜んで食べ始めるかと思ったが猫は、鮭を加えたまま走り始めた。野良猫だから人を警戒しているのかな?私は、気になり猫のあとをつけてみた。猫は、近くの草むらに入っていった。
「そこか!」
私は、黒猫に追い付き。草むらを見た。
「にゃーにゃー。」
「にゃにゃにゃー。」
複数の猫の鳴き声と共に私の目に飛び込んできた光景は……3匹の子猫に私から貰った鮭を分け与えている黒猫の姿だった。
「あいつ。自分もあんなに痩せてお腹を空かしているくせに自分は一口も食べずに子猫達にあたえるなんて……。」
私は、とても感動した。私は、残りのおにぎりからも鮭を取りだし。黒猫の近くに置いて、その場を立ち去った。
「親って凄いな。」
なぜか…涙が流れ出ていた。
家に帰った私は、実家の両親へ電話を掛けてみた。久しぶりに両親の声を聞いてなんか、安心した。それと同時にまた涙が流れ出ていた。
「あの子猫達。元気に育ってくれればいいな。」
職安に行くときは、当分、鮭おにぎりだな。
何だかんだでエピソード4まで、きました。
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