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四ノ宮晴樹の異世界漂流記  作者: 四ノ宮晴樹
平凡極まりない少年が異世界に行くそうですよ?
4/5

ちゃっかり仲間も増えたんでこのまま続けて行こうか迷ってる

のれんをくぐり抜けると、そこはだだっ広い広場だった。

そこにはすでに40人ほどの人がひしめいていた。どの人も困惑した顔を浮かべている。中には泣き叫んでいる人もいるようだ。

「さて。もうすぐしたらギルド内オリエンテーションが始まりますよ〜。」

「分かった。」

「はーい!」

何故咲が依亜(いあ)の声に反応できたのかというと、依亜が沙希の脳内に埋め込まれているチップに声が聞こえるように設定しているらしい。さらに、ここに連れてこられた人間は皆沙希や俺のように脳にチップが入っていてそれでメニューなどが開けるようになっているのは最近の技術の進歩もあって当たり前のように浸透していた。

そんなこんなで五分ほどたち、天井に取り付けられたスピーカーから声が聞こえてきた。

『これからギルド内オリエンテーションを始めます。』

ざわざわと会場が騒ぎ始める。

『まず、あなたたちがこの星へ来た理由は、この星を開拓し将来の移民計画を実現させるためです』

群衆はさらに騒ぎだし何事か叫んでいる者もいたが、他の声によってかき消された。

『そして、我々は統率しやすいよう1072人の人を16のグループに分けることにしました。これが小ギルドです。小ギルドではひとりをギルドリーダーにし、各々の能力に応じて6班に分かれてもらいます。』

『まず一つ目のグループは〈攻略(こうりゃく)班〉これは6班中2班もしくは3班に担当してもらいます。

二つ目は〈採集(さいしゅう)班〉これは1班だけです。あくまで目安ですが。

三つ目は〈商業(しょうぎょう)班〉2班に担当してもらいます。物をギルド内で簡単に売り買いすることが出来ます。

最後は〈調査(ちょうさ)班〉これは攻略班と同じようですが、少し違います。これは次の段階で説明します。』

そこまでを一気に喋り終え、それを聞いていたギルドのメンバー達は理解することに必死でヤジはもう飛んでこなかった。

「ハル(にい)、わかった?」

「ああ、ギリギリな。要は今から班分けするって事だろ。俺は商業班がイイな。無難に。」

「さっすが平凡主義者だね。案外違ったりするかもよ。」

『それでは、〈調査班〉の説明をします。ここの地下は、武器庫になっていていつでも武器を取り出せます。

ですが、それだけでは殺人などが多発してしまう為人型の物にはセーフティーが働くようになっています。

一方この星には【神器(しんき)】というものがあり、ああ、これは電子書籍を確認してもらえると話が早いので助かりますが。その【神器】にはもちろんセーフティーは取り付けられていません。

そしてこの【神器】を正しく使いこなせる人間は珍しいのです。もうおわかりでしょうか。

【神器】を使いこなせる人のことを我々は〈能力持ち〉と言っていますがその〈能力持ち〉それぞれのギルドの中に1人ないし2人いるはずです。そこで、我々が唯一手に入れた【神器】、【勇者(ゆうしゃ)(さかずき)】が皆さんの前にあると思います。それに触れて、水が溢れたらあなたは〈能力持ち〉ということになります

。少し話題が逸れましたが、【神器】を正しく使いこなせると言う事は人を簡単に殺せると言う事につながります。故にわれわれは〈能力持ち〉の人間は〈調査班〉に入っていただくことに決めました。

ではどうぞ、【勇者の杯】に1人ずつ触れてみて下さい。』

すると一斉にメンバーたちが動き出した。

慌てて俺らも追いかけ、列に並んだ。


◇◆◇◆◇


神器を使えるかどうかの試練を受けるため列に並んだ俺は、妹の沙希と人工知能の依亜と列が進むのを待っていた。

「そういえば依亜は〈能力持ち〉とかに分類わけ出来るのか?」

「あ、一個人として認められるということですか?もちろん無理ですよ。バカですか?」

「依亜ちゃん依亜ちゃん。疑問形じゃないよ。ただのバカだよ。」

「っ!なんだと!俺は成績いいぞ!」

「この世の中成績でバカとかバカじゃないとか決められないよ、お兄ちゃん」

沙希が呆れた顔をして首を横に振る。

「ごめーん、バカみたいな話してるとこ悪いんだけどー」

「誰がバカだ!……って、誰?」

いきなり話しかけてきた小さな女の子に目を向ける。

「てかちっちゃいな。何才?」

「え、ボク15才だよー。ちっちゃくないよー」

どう見ても小さい。15才とは思えない。

「ボクも混ぜてもらっていーかなー。」

「ああ、いいぞ。依亜、頼む」

「りょーかい晴樹様ー。……はい!終わり!」

「わわっ!女の子の声が聞こえる!AI搭載してるの?」

「ま、まあそうだな!あはは……!」

実際は搭載じゃないのだろうが。


そうこうしてるうちに自分らの番が回ってきた。

並んでる順番は、沙希、俺、女の子となっている。

「はあぁ!溢れろ!やぁ!」

沙希が何度触っても杯は反応しない。

「これ絶対偽物でしょ……」

そうやって傲慢不遜な妹様は引き下がって行った。

「パパッと終わらせよ」

そう言って、俺は杯を手にとる。

途端、ザアアアアアと水が溢れてきたので、思わず杯を落としてしまう。

軽く言っているが、実はものすごい勢いだったりする。

俺はおろか、沙希や後ろの人々までがビショビショに濡れてしまった。

俺は周りの人に謝り倒したが、ほかの人たちはそれどころではなかった。

なぜ自分の年齢にも満たない少年が〈能力持ち〉なのだと。

「依亜依亜!俺〈能力持ち〉だぜ!やったー!」

「ええ、そうですね。同時に〈調査班〉なんてまるで異端児の集合体みたいなところに入れられるんですけどね……。」

「うおお!お兄ちゃんすごいな!感心したよ!」

二人で列を離れ少女の様子を見守る。

「まあどう考えても外れ……


ザアアアアアア!


ギルド内の人々は、先ほど以上に驚いた。

12歳ほどの(本当はもう少し年上だが)少女が〈能力持ち〉と判別されただ。驚いて当然だろう。

しかし本人は、「うっわぁ……。びしょびしょになっちゃった。どーしよ。」

現状を理解すらしていなかった。(決して現実逃避などではない)

「「「はぁ……」」」

三人で一斉にため息をついた。


みんなびしょびしょになったのは言うまでもないだろう。

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