第二問: 高校生活を始めなければならない。(2)
タイミングよく、とでも言うべきか。始業の鐘が鳴り校門は閉じられた。
智ちゃんに荷物ごと投げられた私は、見事に新入生を誘導していた教師の真ん前に顔から着地した。
「…」
「…」
や、やめて。そんな可哀想な子を見る目でみないで!!痛む顔面といたたまれない気持ちで起き上がると、ふと、気づいてしまった。
注目されている。
周りの視線が突き刺さる。無数の目が私を見ている。
当たり前だ。あれだけ騒いだのだから。
当たり前だけど、智ちゃんが傍についてくれていたので気が大きくなっていたらしい。なんだかんだ言っても心配してくれている智ちゃんはここに来る間私を心配して気にかけてくれていた。
その智ちゃんはもう遠い門の外――…
様子がおかしい私に気付いて駆け寄ろうとするけど、重い鉄柵は閉じきっている。
私は一人。
ひとりだ。
ひとりになったら、めだってはいけない。みんなにきづかれてはいけない。いけないのに、わたしはいまみんなにみられている。みられたら、くちがひらく。くちがひらいたら―――…
…あ。だめだ。
「姉貴!!」
徐々に体が小刻みに震えだし、したたかに打った顔面から痛みと血管が脈打つ音を感じる。
先生が怪訝な顔をして覗き込んだ。
「ちょっとあなた、大丈夫?」
伸ばされた手を必死で払い後ずさる。
見ないで、触らないで、笑わないで――
「姉貴!しっかりしろ!!…クソっ!!!」
頭を抱え込み髪を掻き掴み何度も首をふる。
こないで、みないで、だれもわたしにさわらないで―――――
とん、と背中に何かがあたる。
「うわっ…とと」
じんわりと熱が伝わる。
あたたかい。
「なんなんだよ…って!ちょっ!!!あんた顔色ひどいぞ!!!」
そうか。私は今ひとに倒れこんでいるのか。
だったら、はやく、にげなきゃ――
そう思うも体は動かず、背中の温もりを感じながらわたしは意識が遠くなり
やがて消えた。