3話「元勇者が過去の恩もあるのであの人を救います②」
題名を変更しました!!
初めての出会いを振り替えつつ余韻に浸る。
「ほんと懐かしいわね~。あの時はあんなヤンチャだったサランが今では、こんなにも見違えて美しい品のあるお姉さんじゃない!!!私とても嬉しいわ」
金髪だったサランはどこへやら、今は清楚さを感じさせる黒髪に透き通るような美しい青色の瞳。
元ヤンだった事を感じさせないほどすっかり見違えていたのだ。
「そう言って頂けて嬉しいです!!あの時は、無礼を働いてすみませんでした」
サランは過去の自分の態度に謝罪をした。
毎回の事ながら自分が転生させた者が成長して戻ってくるのは、死んでしまった事への切なさの反面、再会できる喜びがある。
「いえいえ!こちらこそよ。あの時は若気の至りだからね。まぁそんな時もあるわよ」
私は、サランの謝罪を受け止める。
というのもあの時は、怖さこそあったものの今になってみれば、若い頃にああいった経験をするのは、珍しい話じゃないのだ。
女神職に就いてまだ2年目だが、多くの者達を導いた経験からそう感じてしまう。
「ん?ってか!どうしたのその格好は…」
過去の話に気を取られていたが、よくよく考えてみるとサランは青色を基著とした銀色の鎧に身を包んでいる。
そして、右の腰に携える黒色の鞘には一本の立派な剣の存在があった。
「あ!!この格好ですか?実は私、魔王を倒して勇者になったんです」
目線を反らし照れた感じで頬を掻きながら、そう言ってきた。
「え!?魔王を倒して勇者!?ほんとに!?」
衝撃だった。
自分を変えたいと魔王が居るレベル2の異世界を自ら、志願したサランが魔王を倒して勇者になって戻ってくるとは。
レベル2とはいえど、魔王を倒して勇者になることは素晴らしい功績である。
補足だが女神職の特徴として、転生するまでが仕事であり、転生した先の人生や出来事については本人から聞くまでは分からないのだ。
「わ~!!凄いじゃない!!あのサランが勇者!?本当に…成長して私嬉しいわ……っ」
徐々に涙が溢れ落ちてくる。
成長したサランの姿に涙を浮かべ、その涙を手で拭い喜びを噛み締める。
まさに、旅立つ我が子が立派になって戻ってきた母のような気分だ。
「もう~!!そんなに泣かないでください!これじゃ~、昔と一緒じゃないですか!」
サランの方もメリアの涙に感化されて涙を流す。
「違うわよ…っ!前は、怖くてだけど今回はあなたの成長した姿に感動したのよ!」
涙を浮かべ慈愛に満ちた、温かくも少し切ない笑顔を溢すメリア
昔と今では涙の理由が違うのだ。
こういった所にも自分の成長や経験を感じてしまう。
でも、涙もろさは変わっていない。
「メリア様こそあの時よりも成長されたようで私も嬉しいです!!」
サランの喜びで満ち溢れてる表情。
昔よりも思いやる事が出来て尚且つ他人の幸せを自分のことのように喜べるサランの心身共に成長した姿も嬉しいのだ。
「そんな、全然よ!私もまだまだだもの。あ、その話で、思い出した!ねぇ!聞いて!そういえばさ!朝一からまさかの人が来て。その人がね…」
メリアは、さっきの涙を浮かべていた表情と打ってかわってため息をつき、目を細めて呆れた表情で、朝一のライの訪れた経緯をありのままにサランに愚痴るように話した。
「って…いう訳なのよ!ほんと呆れちゃうわよね。サランもそう思うでしょ!?」
一通り愚痴を言ってサランの方を見ると不思議そうな表情を浮かべていた。
何か違和感を抱いているようだ。
「どうかした?何かおかしかった?」
サランの不思議そうな表情にこちらまで疑問を抱く。
「ん?いや!あ、やっぱりライもここに来てたんですか」
「もしかして知り合い?」
何かライについて知ってそうな感じだ。
「えっと…。それがライとは、元パーティーメンバーでして、実は転生して日もあまり経たない頃に私を庇ってゴブリンに殺された経緯がありまして。」
「え~~!?それほんとに!?」
「はい、彼がいなかったら私は勇者にはなれなかったと思います…」
あまりの衝撃に身を乗り出す。
それもそのはず、三度目の死に呆れ、尚且ついつまで経っても変わらない彼の姿に怒りすら覚えていのに。そんな彼が、サランを助けて魔王を倒す命運をかけた戦いの礎を築いた一人だったとは。
「それは、申し訳ない事をしたわね」
あの時は抱かなかった罪悪感が今になってこうして感じさせる。
見た目や言動で判断してしまったあの時の自分を悔いたい所だ。
「どうにかして戻せないんですか?」
サランは困惑や悲しみが伺えるような表情で私にそう訴えかけてくる。
「ごめんだけど、一回転生してしまったものはもう戻せないのよ」
サランの願いも虚しく、その願いは女神職の規定でも定められていて叶わないのだ。
「もし、出来るとすれば再び死んで、ここに訪れる事があればだけど…。ライが次、死んでしまったら四度目の死により二度とこちらには訪れられなくなるわ」
女神職の規定として、一度転生してしまったら戻せなくなる上に、転生出来るのは三度までという規定があるのだからだ。
「そうですか…。なら!!私がその異世界へ行くことは可能ですか!?」
まさかの発言だった。
ようやく勇者になりこれから幸せに暮らせるというのに、前回よりも苦渋な道を歩む決断をするとは。
「え!?大丈夫なの!!その決断で。大変な世界なのよ!ほんとにいいの?」
私は、そんな決断をするサランの姿に不安を抱く。
「はい!!私を救ってくれた恩人ですし、元勇者なので!またその世界を救ってあの人と幸せに暮らします!」
「ほんとに!?それでいいのね…」
「はい!!大丈夫です!!やってみせます」
サランの凛とした姿は勇ましさに溢れていた。
「わかったわ…。ほんとに、ほんとにごめんなさい。絶対に救って幸せになってね!」
メリアは何度も頭を下げて謝罪をする。
罪悪感で胸が一杯だった。
例え、人生が3度あるとはいえど、その貴重な人生を1度でもこういった形で失うことはあまりに惜しいからだ。
「サラン様への恩もありますし!全然!気にしないでください!世界を救えてあの人に恩を返せれば全然大丈夫ですし!」
サランの決断に感動しつつ自分の過去の過ちに、胸が締め付けられる想いだ。
「どんなスキルがほしい?望むならどんなスキルでも授けるわ!役職は何がいい?」
今、自分が彼女に出来る精一杯の事だった。
「彼を救えるほど、強ければなんでも大丈夫です!!役職は勇者でお願いします」
やる気に満ち溢れた表情を浮かべている。
「わかったわ!せめて!謝罪の意味も込めてあなたには素晴らしいスキルを授けます」
謝罪の意味も込めて授けた能力は、時間を一分だけ止めれる能力である。
でもその代償として寿命を1時間ごとに失うというものだった。
「あと!!この聖剣もおまけであげます」
そう言って差し出したのは一つの赤く光る剣だった。
「この剣は相手を想う力に反応するの。だから、ライを助けたいという想いがあれば絶対に勝てるわ!頑張ってね」
私がサランに出来る精一杯の事だった。
「ありがとうございます!!有り難く頂戴いたします!!」
自分の過去の過ちを拭ってくれる形で転生を決断したサランの姿が切なくも勇ましく見える。
「それじゃ…。転生させるわね。ほんとに!ごめんなさい。あなたのご武運をお祈り致します!!」
私は今にも泣き出しそうな涙をぐっと堪えて手を振る。
「サラン…。またね」
「うん!……メリちゃん。行ってくるね!バイバイ
「…….!」
別れ際に呼んだ親しみのある呼び名。
少しずつ魔方陣に飲まれてきながら、優しく微笑み手を振り返すサラン。
サランの元へ駆け寄りそうになる足を、必死に理性で止める。
最後の最後まで凛々しくもあり、少し切なさを感じるサランの表情は私の脳裏に一生刻み込まれることだろう。
次回は魔王をラブコメの異世界に送る話です!!
勇者の死因は4話で!!
よろしくお願いします!!




