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ゲーム世界へ転生したモブ♂、死ぬ未来を回避するために美少女(偽)になる  作者: ゼクスユイ


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第93話 最後の戦いへ

 日本近海に突如として転移してきたそれは、セラフィムの宇宙船の倍以上はあり、島、いや大陸だと錯覚してしまいそうな威圧感を放つ巨大な宇宙船だ。ただ背中にあったはずのドームは割れており、見え隠れする建造物は廃墟にでもなっているのか、崩れ落ちているのが外からでも確認できる。


「でけえ!」


「なにあれ!?」


「君たちが堕天使と呼んでいる者が居た大型移民船だ。とはいえ、あの荒れ方からするに生存者は望めないだろう。どうやら最後の切り札として投入してきたようだ」


「おいおい、アレが船だと? 全長10キロ…いや、20キロはあってもおかしくねえだろ!」


「旗艦だからな。ちなみに若造があの船をベースにしつつも、小型化させて、最小限の資材で造ったのがこの船だ」


「旗艦とはいえ、あんなのを作っていたら資材枯渇するのは当り前よ!」


「でも、逆に言えばあれ以上の戦力は存在しないということね」


「そうだ。となれば、儂らがやることは一つ。白兵戦を仕掛け、敵旗艦を制圧する!」


 一行の足元に魔法陣が展開され、キャプテン以外はドームで守られた地上(正しくは居住区)に飛ばされ、キャプテンは数人のクルーがいるブリッジへと転移する。


「K……いえ、キャプテン。ご指示を」


「ふむ、では、この星の流儀に倣って指示を出すとしよう。野郎ども、錨を上げろッ!転移直後の迎撃態勢が整っていない今こそ、奴の喉笛に噛みつける最大の好機!これより本艦は敵艦に突貫する!」


 キャプテンの号令と共に宇宙船が浮上していくのと同時に、両弦に半透明のビームウィングが展開されていく。ビームウィングが大気中にあるわずかな魔力の流れをつかみ、大空を切り裂くかのように飛翔していく。セラフィムの船を打ち落とそうと敵艦にハリネズミのように備え付けられたCIWSが火を噴くも、それらをくるりくるりと旋回し、戦闘機どころか鳥のように躱していく。


「敵艦の抵抗が激しく……近づけません!」


「艦先端部にバリアを集中!本艦をぶつけろ!」


「無茶です。そもそもバリアはデブリ群を突破するためのもので、軍用目的で使うものではありません。火力を集中されたら、耐えきれません」


「火器管制と下部ブロックのエネルギーを回せば、バリアを高出力で維持するだけのエネルギーは足りるはずだ。ぐずぐずするな。敵は待ってくれんぞ!」


「了解!」


 セラフィムの宇宙船の艦首に薄い青色のバリアが展開され、CIWSとはいえ、1発1発がイージス艦を粉みじんにするほどの砲撃をはじきながら、ドンドンと距離を詰めていく。


「敵艦から副砲が向けられています!一度回避行動に――」


「ならん!さらに速度を上げろ!振りきれ!!」


 敵艦の副砲から放たれたビームがバリアを貫通し、左舷に被弾。だが、セラフィム船はそれに負けずと言わんばかりに速度を上げながら突っ込んでいく。


「高エネルギー反応確認。副砲、再度来ます。避けられません!」


「構うな、突っ込め!」


 火を噴いた副砲が今度は右翼に命中すると同時にビームウィングが消失すると同時に火災が発生。右舷から黙々と黒煙が立ち昇っていく。


「右舷ブロック、隔壁封鎖。艦首を上げろ!敵居住区に不時着する」


 敵艦の砲撃を掻い潜り、崩壊した建物にぶつかりながら減速していくセラフィム船。敵艦の中央近くでようやく止まるも、艦内にいた数少ない船員の天使たちは船の消火活動で慌ただしく動いている。


「ふう……なんとか乗り込めたな」


「ですが、無茶をしたせいで火災を始め、船のあちこちでエラーを吐いています。修理を急ピッチで行うにしても、再起動まで丸3日はかかるかと……」


「やむを得んな。だが、ここは敵陣のど真ん中だ。防衛にも戦力を回す必要があるとなると……リストを送る。この者たちをブリーフィングルームに集まるようにと艦内放送してくれ」


「了解です」


 それからしばらくし、ブリーフィングルームで敵艦の攻略戦についての意見交換が始まる。艦の防衛設備の復旧はミツ子を中心とした上級天使組が行い、その間の防衛は国防軍を中心とした下級天使との混成部隊、敵艦の攻略はセラフィムと親衛隊で行うことが決まっていく中、会議の行く末を見守っていたエクステラが手を上げる。


「その組み合わせで部隊を分けるとしたら、私たち、学園都市組は防衛部隊になるのかしら?」


「そりゃあそうだろ。お前たちはまだ若い。それに今のお前さんは一応、俺の部隊の人間だしな」


「正しくは自由行動のある特別隊員でしょう。だったら、私たちは攻略組に参加するわ」


「……俺の立場上、一旦反対させてもらうが、納得させるだけの根拠はあるんだろうな」


「ええ、もちろん。セラフィムたちの攻略は動力炉が隔壁で守られている以上、敵艦のコントロールルームを制圧することで、敵艦の無力化を狙うと言うもの。ただ1本だけでは敵もその部屋だけを守ればいいと防衛も楽になってしまう。そこで、私たち、学園都市組は陽動部隊になってセラフィムたちの支援をするわ」


「それだと各個撃破される可能性もある。一緒に戦う方がマシじゃねえのか?」


「ええ、もちろん、そのリスクはあるわ。ただ、戦力を集中させてコントロールルームを制圧したとしても、セラフィムが敵艦のセキュリティーを突破できないリスク、敵艦にサブのコントロールルームがあって遠隔操作されるリスクも少なからずあるわ」


「実際、どうなんだ? あの船を小型化させたセラフィム、アンタなら詳しいだろ」


「結論から言うとその可能性はあると言わざるを得ない。私たちがまず制圧しようとしているのは宮殿にあるメインのコントロールルームだが、サブのコントロールルームが艦内の四方に配置されてある。セキュリティーの関係上、サブ端末からメインのコントロールを乗っ取ったり、奪い返したりするのは不可能だが、妨害されるリスクは極めて高い」


「つまり、相手からすれば妨害し続ければ、こちらの最大戦力であるセラフィムをコントロールルームに縛り付けることができるということ。でも、別動隊が居れば話は別。その妨害行為を行っているサブのコントロールルームを1つずつ破壊、もしくは制圧すれば、セラフィムをその楔から解き放つことができる」


「……子供たちを死地に追いやるような非道な奴っていうレッテルをマスコミに貼られるだろうが、俺としては今更だしな。あとは黒木総理、ご決断を」


「念のために聞くが、子供たちの代わりに国防軍で対処するというのは?」


「総理も知っての通り、我が国防軍はあくまでも国防、対人の軍隊であり、対ダンジョン用の装備を始め、モンスターに通じる異能持ちも少ないのが現状です。後方で控えていた自衛隊がこの場にいれば、話は別でしたが、現状は子供たちも戦力としてカウントせざるを得ない状況となっています」


「転移による増援の見込みは?」


「事前に準備をしていればともかく、大部隊の転移となると準備に時間がかかります。幸い距離が離れていないので、一人二人程度ならすぐ来ることも可能でしょうが、制圧任務となると……」


「1個小隊でも数時間はかかるか」


「たった今、先発隊の反応が消えた。数十分後には、この辺りは戦場になっている。悠長に増援を待つ余裕はない」


「……子供たちに協力を仰ぐのも、やむを得んというわけか」


「はい、残念ながら。ですが、彼女たちはT-REXを倒している以上、Aランクのダンジョンの踏破者と同等の実力者であると報告が上がっています。日本にいる探索者でも上澄みレベルの実力者と言って差し支えありません」


「昔の儂と同等か。ならば、儂のSPの一人を連れていけ。彼なら、メタルザウルスのような強力なモンスターが出てきたとしても対処できる」


「よろしいので?」


「構わん。一線を退いた儂が今更ノコノコと前に出るわけにもいかんだろう。若者たちが前線で戦っている間、儂はおとなしくピーチクパーチク喚いているマスコミから非難を受けるとしよう」


「……どうやら話は纏まったようだな。メインのコントロールルームとサブコントロールルームの位置は会議前に送った敵艦のMAPに赤く表示しておく。諸君の健闘を祈る!」



 会議が終わり、アスカたちと合流したエクステラは会議で話し合ったことを伝える。その中には当然、敵の本拠地に乗り込んでいくこともあり、反発される可能性も無くはなかったが――


「上等!どうせなら、どっかに隠れている堕天使も見つけ出してぶん殴ってやるわ!」


「でも、どこにいるんだろう」


「可能性があるとしたら、メイン・サブを含めたコントロールルームのどこかが有力候補だけど、どのみちコントロールルームを制圧しないといけないわ」


「それにしても、俺たちだけで4か所のコントロールルームを制圧できるのかよ」


「リョウくん、もしかして怖じ気づいた~?」


「ち、ちげえし……普通に考えたらそう思うだろ」


「このために今はここに居ない彼の策があるのよ。みみみ、配信は続けているわね?」


「もちのロン!」


「彼って信二君のことだよね?」


「一体何をするつもり?」


「彼が言うには『堕天使が仕掛けるならこのタイミングしかない。なぜなら、和平交渉に出てくるであろう総理や閣僚を暗殺……とまでも行かなくても重傷を負わせれば和平の雰囲気が一気に吹き飛ぶ。後がない堕天使にはまたとないチャンスだ。エクステラパッシング以来、動きが無いのも何かしら大掛かりな仕掛けを施している可能性がある』」


(実際、そうなっているけど、そう思っているなら早く言いなさいよ)


「『となれば、彼女の襲撃に備える必要はある。いくら国防軍や自衛隊が協力したとしても、相手の策次第では戦力が分散される可能性だってある。そこで、今はフリーとなっている元虎西の生徒会長のツテを借りて策を講じた。その策は――』この配信を見て、居ても立っても居られないでしょう。学園都市のSランクとしては」


【当たり前だ。事前に言われた通り、各学校で集めた魔力リソースでそちらに転移する】

【といっても、いくら配信で正確な位置座標が割り出されているおかげで転移のハードルが下がっているとはいえ、学園都市からだと距離が離れすぎている。大人数の転移は無理だろう】

【それに日本近海でダンジョン崩壊を起こしているようなものだ。こちらもモンスターの襲撃に備えて戦力を残さないといけない。せいぜい、各校から数人が限界ってところかな】

【それにしがらみのある大人たちは動きが鈍いのが嫌になりますわ。その点、諸々の事情がないワタクシたち学生ならば、即座に行動を移すことが可能】


「というわけよ。まず、私たちは転移できるだけの広い空間――この船の花畑辺りなら開けているし、多少の座標ずれが起こっても花壇を踏み荒らすくらいの被害で済むわ。そこで、彼らと合流。合流できた人数・戦力次第では二手に分かれることも視野に入れつつ、4つのサブコントロールルームを全て制圧する!」


「――なるほど、そういうことか。少人数で挑むと言っている以上、何かしらの策があるとは思っていたが」


「誰?」


 サングラスをかけた黒服の男性が廊下で話し込んでいたエクステラたちに話しかける。服装からして、お偉いさんのSPだろうかと思っていると、ステラが脳内で反応する。


【おや? この感じ……EX-02じゃありません?】


(EX-02!? 最後の人型EXギアか)


「その様子だと俺の正体をEX-00から聞いたようだな。今の俺の名は暗野仁、政府高官のSPを長年やっている。そして、そこにいるEX-00、EX-01と同じ人型EXギアEX-02が俺の正式名称だ」


「ひかりちゃんと同じ人型EXギア!?」


「ってか、EXギアがSPってどうなっているのよ」


「人型の利点の一つは人間社会に紛れることができる点だ。武器に徹するならそれこそ人型である意味はない」


「その点、EXギア、機械の身体のSPなら高官の代わりに撃たれても平気。なんなら、手荷物検査とかで手元に武器が無い状況でも、武器になって迎撃することもできるってわけね」


「そういうことだ。理解が早くて助かる。今回は総理の命により、君たちに協力しよう。それにこれは個人的な理由だが……俺の紛い物を使われるのは癪ではあったかっらな」


「あら、そう。それなら期待しているわ」


「EX-00のマスターらしく減らず口は叩けるようだな」


【それはどういう意味ですか!】


 ステラがぷんぷんと怒っているものの、心強い仲間が増えたのは事実。エクステラ一行は艦の外に出て、荒れ果てた居住区に開けたスペースが無いか探しに行くのであった。

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