キャラクタークリエイトあるある(あるのか?)
すみません。 長いのが書けないです。
「フヒヒヒ」
黒寄りな灰色スウェットの上下で身を包み、中肉中背で特徴らしい特徴のない、いかにもな なろう系主人公みたいな顔つきをしている。
それで、ちょっと気持ち悪い笑い声を出している思春期男子がここにいた。
ココとは? と訊かれそうなので言ってしまうと、この男子の自室。
時間は深夜に差し掛かっており、眠気が良い感じに悪さして普段なら考えないような、やらないような事を実行してしまいそうになる魔の時間である。
「むふっ」
彼は部屋のベッドに寝転がり、スマホゲームのアプリをインストールし終わった所だ。
「操作する主人公キャラをクリエイト出来るタイプの3Dゲームって、好きなんだよねぇ」
妙に独り言が多いが、それはまあ彼の個性だと思ってスルーして欲しい。
それでアプリを起動して、早速操作するキャラをクリエイトする場面になった。
「性別……少し前まで男キャラだったけど、ふと思ったんだよね。 なんでゲーム画面で同性のキャラを熱く見つめなきゃならないんだって。
それに、操作してるとアレがチラチラ見える訳ですよ。 それを嬉しく思わない思春期男子は、そうおるめぇよ」
なにやら言い訳をしながら、性別選択で女を選ぶ。
「恋愛要素があるタイプでも、ツボにハマらないヒロインを攻略するより、どツボのマイキャラを見続ける方がなんと建設的か」
…………まだ語ってる。
……………………いや、これはもしかしたら女子キャラを操作するのにまだ抵抗を感じてて、それを誤魔化す為にグチャグチャ言っているだけかも。
性別の選択が終わると、身長・体型・肌の色・髪型・顔・(無装備時の)初期衣装などの設定をまとめて行える項目が現れた。
それをホイホイと設定していく思春期男子。
そのためらいの無さから見て、他のゲームでも同じ見た目のキャラを創っているのだろう。
「やっぱりこんな感じじゃないとなぁ」
と言える数を創っているクセに、長々と言い訳しないと性別選択できないのは、一体どういう事なのだろうか……。
最後の項目、無装備時の衣装選択に差し掛かった。
「初期服かぁ。 ……ん? このゲームはRGBバーで服の色を決められるんだ」
大抵は決まった複数種の衣装とその衣装の配色が用意されていて、その中から選択するのが主流なのに、なんとも珍しい。
「やっぱり、いつも選んでいる色がメインかなぁ」
なんて言いつつ全部の衣装デザインと配色の具合を確認しながらRGBバーを調節している時に、ふと何かが見えてしまった。
そして思ってしまった。
「無地のピッチリ服を選んで、色を肌の色と合わせたら、全裸みたいになるんじゃ?」
それは、悪魔の囁き。
それは、倫理観との戦い。
それは、我に返った時の虚しさとの戦い。
「こう……案外難しいな。 肌の色と少し違うだけで、筋肉プリントTシャツ並に違和感が出ちまう…………あぁ! 行き過ぎた!!」
激戦を繰り広げた末に、思春期男子は――――
「よし! 光の加減でどうしても一緒にはならないけど、肌に極めて近い色にできた!!」
欲望に負けたらしい。
「…………あれ? 外が明るくなってきてる」
だが、睡眠欲には勝ったらしい。
ソロプレイがメインのゲームならそれでも良かったんでしょうが、思春期男子が始めようとしたのはMMORPG。
公序良俗がどうとかで、始めて1時間も経たずに通報されて運営から凍結を喰らいましたとさ。