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給与未払い

【作者からのお知らせ】

いつも本作を読んで頂きありがとうございます!

さて、いよいよノベル第一巻が5/19に発売されます!

改稿を重ね、新エピソードも書下ろし、より一層面白くなっておりますので、ぜひぜひお手にとってくれると嬉しいです!


よろしくお願いします!!

 世界を崩壊させた戦いから一年が経過した。

 あれから魔界、人間界ともに復興が進んでいる。

 まだまだ元通りには遠いけど、着実に理想へと近づいていた。

 世界は平和になった。

 人々が、悪魔が、亜人種が手を取り合い、生きるために足掻いている。

 これこそが俺たちの望んだ光景なのかもしれない。

 命を懸けて戦い、失ったものも多いけれど、今ここにある光景を宝だと思おう。

 

 さて、いい話で終わればよかったんだが……。

 残念ながら無理そうだ。

 俺も人間だからな。

 生きるためにはお金がいるし、何をするにも無一文じゃやってられない。

 頑張って働いてもなけなしの給料しかもらえなかった勇者時代。

 その辛い日々を乗り越えて、ようやく巡り合えたはずの好職場……だと思っていた。

 実際楽しい。

 この城での生活は充実していた。

 その点はリリスに感謝しているし、これからもよろしくって気持ちだ。


 ただ、捨て置けない事実がここにある。


「リリス……」

「な、なんじゃ……?」


 どれだけ居心地がよかろうと、日々が充実していようと。

 俺の眼はごまかせない。


「いつになったら給料、払ってくれるんだ?」

「ギクッ!」


 リリスはわかりやすい反応を見せる。

 目を逸らし、オドオドする。


「きゅ、給料? なんじゃそれ? 人間の言葉はわからんのじゃ」

「おい……」

 

 俺は聖剣を抜く。


「う、嘘じゃ! 冗談じゃ! お願いじゃからその物騒なものをしまえ!」

「……そうか」


 とりあえず聖剣は納めてやった。

 ただし怒りは収まっていないし、追及を辞める気もない。

 

「もう一度聞くぞ? いつになったら給料を払ってくれるんだ?」

「うっ……」

「俺がここにきて随分と経つよな?」

「そ、そうじゃのう」


 あの日、彼女の策にのって王国を裏切り、魔王リリスの部下になった。

 一世一代の大博打だ。

 今でもその選択を間違いだとは思わない。

 ただし、その時に交わされた条件は、未だほとんど守られていなかった。

 一番酷いのは給料が未払いであることだ。

 

「あれから一度も、給料を貰えていないんだが?」

「そ、そうじゃったかなぁ?」

「……おい」

「は、はい! そうでした!」


 リリスもビビり過ぎてしゃべり方がおかしくなっている。

 最初のうちは目を瞑った。

 こんな辺境の城、しかも彼女一人の魔王軍。

 財力なんてないのは明らかで、仕方がないと思っていたから。

 でもさすがに長すぎる。

 これまで、かなりの大仕事をこなしてきた。

 大罪の魔王と戦ったり、世界最強の魔王サタンの亡霊と対峙し、世界も救った。

 最強の勇者としての責任を果たしたと同時に、魔王リリスの部下として最大級の功績を残したといっても過言ではない。

 それなのに……。


「一切お金が入ってこないのはどうなんだ?」

「し、仕方がないじゃろ! 復興のために使ってしまったのじゃ!」


 この一年、破壊された魔界を復興するため俺たちは奮闘した。

 ルシファーたちと共に生き残りの仲間を探し、唯一綺麗に残っていたこの城を起点に、悪魔たちの生活基盤を取り戻した。

 復興開始から約八か月で形になり、ルシファーたちも各々の領地に戻っていった。

 ここから先はそれぞれに領地を再興し、大罪の魔王として魔界を統治するため。

 

「あいつらが悪いんじゃ! 助け合いが大事じゃというのに金を要求するんじゃぞ!」

「仕方ないだろ。この世界に無償の善意なんて存在しない」

「ゆ、勇者のぬしがいうのか……」

「俺だから言えるんだ」


 勇者だって人間、金がないと生活できない。

 それを嫌というほど実感しているのは、世界中探しても俺だけだろうからな。


「そう言われても金がないから払えんのじゃ!」

「……はぁ」

「なんじゃその特大のため息は!」

「そりゃ出るだろ。一応お前、大罪の魔王の一人なんだぞ?」


 現在、大罪の座についている魔王はリリスを含め四人だけ。

 残る三席は空いている。

 大罪の力が誰に宿ったのか、一年経過した今でもまだわかっていない。

 目下捜索中だった。


「仮にも現魔界の支配者の一人が、金がなくて部下の給料も払えないとか……世も末だな」

「そんなこと言われても無理なものは無理なんじゃ! 金がほしいなら自分で稼ぎに行けばよいじゃろう!」

「そうか? じゃあ俺がいなくなってもいいんだな」

「それは嫌じゃ。絶対嫌じゃ!」

「……そこは素直だな」


 こういう子供っぽさは可愛いから、この先も失わないでほしい。

 なんて思う俺も、大概彼女に依存しているな。


「仕方ない。彼女に相談するか」

「誰じゃ?」

「決まってるだろ? うちの経理担当サルカダナスに」

【作者からのお願い】

同時刻に新作を投稿開始しました!

タイトルは――


『【告】――〖○○〗がインストールされました。つまり無敵です!』


ページ下部にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!

リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。


https://ncode.syosetu.com/n4763if/

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『残虐非道な女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女の呪いで少女にされて姉に国を乗っ取られた惨めな私、復讐とか面倒なのでこれを機会にセカンドライフを謳歌する~』

https://ncode.syosetu.com/n2188iz/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

第一巻1/10発売!!
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