大いなる旅立ち。9
『あ、あれが京の都……。』
私は遠くに見える京の都を望んでいた。
大きい。
あれがこの国の中心。
あんな街は見た事無い。
『大きいだろう。
儂も15歳の時に初めて来た時は、感動したなぁ。』
『将門殿っ! 早く街を見てみたいです!
さぁ! 早く行きましょう! 秀郷様もっ!!』
私は二人の裾を引っ張って歩き出した。
『お、おい!』
『相変わらずのお転婆だな!』
そして半刻程歩いて、京の都に着いた。
人の往来が凄い!!
何処もかしこも賑わっている!!
下総の国とは全然違う!!
私の眼には、何もかもが新鮮に映っていた。
『アヤメ、それでは田舎者丸出しだぞ??』
『だって、こんな光景久しぶり……。』
『久しぶり??』
その時、突然頭に激しい頭痛が襲った。
『アヤメ殿、どうした??』
よろける秀郷様が、私を包んでくれた。
『どうした!? 大丈夫かっ!!』
『す、すみません。
何故か頭に痛みが。』
将門様は、何かを考える。
『うむ、やはり京の都に連れて来て正解だったのかもしれぬな……。
この都にはアヤメにとって何かが有る。
よし、儂はこれより摂政、藤原忠平様の所に行く。
その間は、忠平様がお貸し下さった寺で待っておれ。』
『ならば、儂がアヤメ殿を見ておろう。』
『秀郷様!?』
『その位の礼はさせてくれ。』
『秀郷殿。』
『察するに、アヤメ殿にとって、この京の都は自分を見つける何かが有るのだな?
ならば、儂が案内仕ろう。』
『私が、私を見つける??』
『これも何かの縁じゃ。
儂も其方に借りが有るしな。
力になろうぞ。』
『ま、将門様!』
『秀郷殿、アヤメを宜しくお願い申す。
黄昏時には戻る所以。』
『分かり申した。』
『アヤメ、自分を取り戻して来い。』
『は、はい。』
将門様は、笑顔でその場を去って行った。
私を取り戻すっていっても、どうすれば……。