⑥
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隣の羊亭に入ると朝といっても少し遅い時間の為か既にお客さんは他におらず、シーナが掃除をしていたが音に気づいたのか俺のことに気づいて近づいてくる。
「イール君!来てくれたんですか!」
「あぁ、飯もうまかったし約束したからな。もう終わってしまったか?」
「うれしいです!でももうおとうさんかまどの火を落としちゃったみたい……手の凝ったものは無理かもしれないけど簡単なものなら出せそうだけど…」
「あー……じゃあ掃除の邪魔などをするのも悪いから今日はかえ(グー)……」
断ろうとしたが俺の腹は我慢の限界の為か抗議してきて少し恥ずかしくなる。
「ふふっ、遠慮しなくても大丈夫ですよ?」
「すまないがお願いしてもいいか?」
「はい!じゃあ椅子に座って少し待っててくださいね!」
席に案内されるとそのままシーナは奥に消えていく。
少しするとシーナと男性が料理を持ってやってくる。
そのままシーナは俺の隣に料理を持って座り、男性は俺の前に料理を置いて話しかけてくる。
「君がイール君だね?昨日は娘を助けてくれたらしいね。遅くなったがお礼を言いたくてね。ありがとう」
「あぁ、たまたま通りかかっただけだから気にしないでください。昨日もシーナさんから料理をご馳走してもらいましたし」
「そういってくれると助かるよ。ウチはかまどのままだからもう火を落としてしまっていてね。残りもので悪いがお代は結構だから娘と一緒に食べていってくれ」
そういわれ、隣で食べようとしているシーナのことを見る。
「私もまだ朝ご飯食べていなかったから一緒に食べようかと思って。」
「いや……仕事の邪魔をしたようで悪いなと……」
「気にしないでください!それにイール君と話したいと思ってましたから……ダメでしたか…?」
そういって上目遣いでこちらを見てくる。そんな顔で見られたら断るに断れない。
「いや、ダメじゃないけど……」
「じゃあそういうことで二人仲良く食べていきな」
そうシーナの親父さんがニヤニヤしながら言い、奥の厨房に戻っていく。
「それじゃあ食べましょう!いただきまーす」
「……いただきます」
とりあえず出された料理に目を向ける。残り物と言っていたがパンとサラダとグラタンが目の前にある。
(もしかしたらシーナの親父さんが食べる予定だったものだったんじゃないか?悪いことをしたな……)
少し罪悪感を覚えながら手を付ける。昨日食べた赤ワイン煮込みも美味しかったがこのグラタンも濃厚でとても美味しい。一口食べると罪悪感もどこへやら、スプーンが止まらない。
「ふふっ、本当に美味しそうに食べますね。」
隣からシーナが話しかけてくる。料理に夢中になって存在を忘れかけていた。
「ああ、本当に美味い。昨日の料理も美味かったしシーナが言ってたように料理を食べるためにくるお客さんがいるっていうのも納得だわ」
「お口に合ったようなら連れてきてよかったです!」
そのままシーナと話をしながら一緒に食べるが王都でも白髪赤眼は不吉とされているはずなのに最初からこうも気安く話しかけてくれることに少し戸惑う。ローブで隠しているが流石にこの距離でいれば見えているはず。それなのにこの子はこんなにも普通に話しかけてくれ、楽しそうにしてくれている。最初は何か思惑があるのかと警戒し、偽名を答えたが話していても無邪気な感じで裏があるようには見えない。また彼女と話しているとレーナと重なってしまいどうしても冷たくできない。
そんな感情もあってかいつの間にか彼女に対して警戒することもなくなり、騙しているのも申し訳なく感じたため謝り、打ち明けることにする。
「すまない。イールって名前で言ったが本当はイーライって名前なんだ」
するとびっくりした顔を少ししたがまたすぐに笑顔に戻る。
「そうなんですか?じゃあイーライ君ってこれから呼びますね!でもなんで打ち明けてくれる気になったんですか?」
責めるでもなく怒るでもなく何でもないように言ってくれる。そんな彼女にフードを脱ぎながら答える。
「俺はこの通りこの国じゃ忌み嫌われてる白髪赤眼だから前の村でもあまり話しかけられたりもなかった。
それなのに君は今日もだけどこうして親切にして話しかけてくれる。最初は何か裏があるんじゃないかって思って警戒してたからついとっさに名前を偽ったんだよ。でも接していくうちに打算で接しているんじゃないんだろうなと思ったから申し訳なくなって……」
「そうだったんですね……あの時はすごい怖かったところを助けてもらったことで何かお礼しないとと最初は声かけたんですけど……でもフードの奥に見えたイーライ君の顔を見たらすごい悲しそうな……今にも消えてしまいそうな表情に見えてどうしてもほっておけなくて……このまま一人にしてたらダメだって思ったからなるべく元気になってもらおうと私も必死に声かけてて……あははすいません。要領を得ないですよね。」
なんて言ったらいいのかわからないのか頬を掻きながら言葉を紡ぐ。
「まぁイーライ君のことがほっておけなかったんです!私もこの黒髪で色々揶揄われたことあるのでそんな見た目で話しかけないなんてことはしないですよ!それにもう私たち友達じゃないですか!」
「友達……」
「はい!こうして一緒にお話ししてご飯食べたらもう友達です!それともイーライ君は私と友達だと嫌ですか?」
また彼女は上目遣いで聞いてくる。ずるい。そんな聞き方をされると断れない。
泣きそうになるのを我慢して彼女に向けて手を出しながら言う。
「……いや。そうだな。俺たちは友達だ。これからもよろしくなシーナ」
「はい!よろしくです!」
こうして王都で初めての友達が出来た。




